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1「終わりの丘」
風がやんだ。
目を開けると、知らない丘の上に立っていた。
夕焼けが街を染めている。
私の前で、三人の見知らぬ人が笑っていた。
「やっと終わったな」
「これでいいんだ」
「お疲れさま、セツナ」
言葉の意味は分からない。
でも、みんなの顔には涙と笑顔があった。
誰かが私の肩を叩き、
もう片方の手で握手をしてくる。
「これで、もう誰も迷わない」
私は何も答えられなかった。
何が終わったのか、誰が迷っていたのか、
そもそもこの人たちが誰なのか
――全部分からない。
でも、彼らの声は優しく、温かかった。
空の色が、少しずつ夜へと変わっていく。
私はその変化を見つめた。
それが、すべてだった。