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異種族エンカウント ~王女の命令で始めたら、異種族娘が可愛くて文化になった~  作者: ある
第一章 ~この世界、接客の基本は触れ合いから~ スライム娘
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スライムの弾力

 部屋に入ると、まず香りが変わった。涼やかで、どこか甘くとろけるような匂い。壁は半透明のゼリー質でできており、淡く揺れる光を反射して、幻想的な色彩を放っていた。


「ようこそ、シンヤ様。お友達も、ご一緒に……ふふっ、嬉しいです♡」


 青いスライム娘――ミィナ。瑞々しい透明感のある身体に、濃い青の髪が揺れる。両目も宝石のように透き通っており、どこか幼さの残る優しい表情で笑いかけてくる。

 シンヤは軽く手を挙げ、腰の袋から小さな丸いクッションを取り出した。


「さっきの差し入れ。"Type S"ちゃん、うまく使ってくれな」


「わぁ……♡ ちゃんと防滑加工も追加されてますね……! ありがとうございます!」


 ミィナが頬を紅く(ゼリー越しに色が変わった)染めて跳ねた。その様子に、部屋の外で待機していた他のスライム娘たちがざわつく。


「またシンヤさんかぁ……!」


「次は私が担当したいなぁ〜!」


 モグが目を丸くし、ティルがわずかに眉を上げた。


「……なんだお前、けっこうモテるじゃねえか」


「これは……観察に値するな」


 シンヤは肩をすくめると、ミィナに向き直った。


「今日は俺じゃない。こいつらをもてなしてやってくれ」


「はいっ! ではまず……どちらから?」


「モグだ。こいつ、ふとももには一家言いっかげんある。思いきり頼む」


「了解です♪ ふとももモード……展開します♡」


 ミィナの身体が、ふわりととろけた。下半身のゼリーが、じわじわと形を変え、やがて2本のなめらかで柔らかな“ふともも”が現れる。丸み、弾力、厚みの全てが計算されたように美しく整っていた。


「……っ」


 モグは無言のまま、静かに腰を下ろした。ふとももに包み込まれるように座ると、目を閉じ──


「こ、これは……。沈み込むのに、反発がある……だが、戻りは優しい……っ。これは、ふとももではないのに、ふともも……そのものだ」


 感動のあまり、語彙を失っている。


 ティルも興味深げにミィナの変化を見つめていた。


「ふむ……この弾力、エルフの森にいる“ソフォラ種”に近い。百年級のふとももだね」


「百年級ってなんだよ…」


「年輪を刻むような肉付きだ、ということさ。いい仕事だよ、これは」


 モグはふとももをさすりながら、虚空を見つめてつぶやいた。


「もう……ワシは何もいらないな……」


「まだ死ぬなよ」


「ふふ♡ お二人とも良い夢見心地のようでうれしいです。…モグ様、その、手さわりが…なめまわす…んぅ……ようで、くすぐったいですぅ~」


 シンヤは笑いながら、次の段取りへ移る。


「ミィナ、次はティルの番だ。こいつ、意外とぬくもりに弱い」


「はいっ、では……添い寝モード、いきますね♡」


 ミィナの上半身がふわりとティルに伸びていく。布のように広がったゼリーが、ティルの背に沿ってぴたりと寄り添い、全身をやさしく包み込んだ。

 頭の後ろにはちょうど良い高さの胸元クッション。腕のあたりには微細なぬめりが流れ、呼吸のリズムに合わせてやさしく動く。


「……これは……あたたかい。湿度も一定、呼吸圧も……心地いい。ちょうどエルフの森林陽光下レベル……。なるほど、わかってるじゃないか」


 ティルの瞳がゆっくりと閉じていく。


「人肌、いや……木漏れ日の温度だね」


「は? 木漏れ日って温度か?」


「比喩表現だよ、モグ」


 シンヤは肩を揺らして笑った。


「ふたりとも……まあまあ満足そうで何よりだ。だがな、まだだぜ。ミィナの本気は、これからだ」


 ミィナがにっこりと意味深に微笑んだ。


「ここからが、本番だ。果てるなよお前ら」

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