乳搾り
モグの手が、そっと伸びた。
その指先が触れた瞬間、世界が沈黙する――そんな錯覚を覚える。
それは、柔らかさという概念を超えた何かだった。
押せば戻る、撫でれば波打つ、そしてそこには熱があった。
静かな熱、生命の鼓動を宿した熱。
グリムの太ももは、単なる部位ではない。
“生き物”だった。
モグの指は、無意識のままに滑り、弾み、沈み込む。
まるでぬくもりの海に触れたかのように。
その心地よさに、理性の奥がほどけていく。
「すごい……これは……」
モグは思わず息を漏らす。
「ふふ……♡ 気に入りました?」
グリムの声が耳元で揺れる。
視線を上げれば、彼女が艶やかに微笑み、ぺろりと舌先を覗かせる。
「――まだまだ、味わってもらいますよぉ♡」
その一言が、火を点けた。
モグは顔を太ももへと寄せていく。
頬が触れ、次いで額、そして――すべてを預けた。
――沈む。
雪のような肌に、地熱のような体温。
押し返す弾力は、拒絶ではなく、包容だった。
まるで山の懐に抱かれるかのように、モグの意識が吸い込まれていく。
グリムの太ももが、うねった。
熱がそこに集い、まるで生き物のように収縮し、かすかに蠢く。
その律動に合わせて、モグの顔は両腿の間へと導かれていく。
重さはない。苦しさもない。
ただ、ひたすらに心地よい。
柔らかさの海に浮かぶ泡のように、モグの意識がたゆたう。
ふとももとは、世界であり、安らぎであり、母の胎のようだった。
何も考えられない。
何も言葉はいらない。
圧迫感のない幸福。
光に包まれるような、音のない抱擁。
その中で、モグは静かに――笑っていた。
「ワシは……ワシは……ぁぁあああぁあ~ん♡」
(ああ、ふとももとは、神だ……)
フェルの頬は、赤く染まっていた。
その表情はどこかとろけていて、視線もふわふわと漂っている。
「……シンヤさんになら、全部……任せます……」
か細い声が漏れる。
「可愛がって、ください……♡」
シンヤは一度だけ優しく笑って、そっとフェルを抱き上げる。
ふわりと軽い身体を、そのまま自分の膝の上に乗せ、対面に座らせた。
柔らかい――
太ももと、そっと沈むようにフィットするお尻の感触。
その感触は甘く、やさしく、確かにそこにいる存在を伝えてくる。
そして、背中から覗く小さな尻尾が、落ち着かないように揺れていた。
「緊張、してるのか?」
シンヤが問いかけながら、そっと尻尾に指を添える。
優しく撫でるたびに、フェルの身体がぴくりと震える。
フェルは思わずもたれかかってきて、胸元に頬を埋める。
「シンヤさん……♡ シンヤさん……♡」
甘く、震えるような声で名を呼ばれ、シンヤはその背を抱きとめる。
「少しずつ慣れてきたな。……次は、これ、触れてもいいか?」
フェルは、目を閉じてこくんとうなずく。
シンヤの手が、そっと胸元に触れる。
布越しに伝わる、ふわりとした温かさと、弾むような弾力。
わずかに感じる、ミルクのようなやさしい香りが、心を和ませる。
(……ああ、これが――)
胸のやわらかさを手のひらいっぱいに感じながら、シンヤは思う。
(胸って……最高だな)
そんな率直な感想が、今はとても自然だった。
フェルは身を預けるように寄り添い、安心しきった表情で小さく呼吸を繰り返していた。
ぬくもりと信頼に包まれた空間に、時の流れが緩やかになる――
空間には心地よいぬくもりと、余韻のような静けさが漂っていた。
モグはふとももに顔を埋めたまま、うっとりと夢見るような表情を浮かべており、
一方のシンヤも、フェルをやさしく膝に抱いたまま、肩越しに彼女の息遣いを感じていた。
「……ふふ。フェル、よく頑張ったわね」
グリムが、どこか姉のような視線でフェルに声をかける。
フェルは恥ずかしそうに笑い、でもどこか自信に満ちた表情を浮かべる。
「……シンヤさんが優しくしてくれたから、です……♡」
「ふふっ……さて。じゃあ、おふたりにちょっと。とっておきの提案をしても、いいかしら?」
グリムの瞳が、ほんのりと艶を帯びる。
少し体を乗り出しながら、彼女は小声でささやくように言った。
「裏オプション――"乳搾り"。
ミルネア娘たちの中にはね、ときどき、特別な“満たし方”が必要な子がいるのよ」
その言葉に、モグが目を丸くし、シンヤも驚いたようにフェルの方を見る。
「……フェル、大丈夫か?」
シンヤは、あくまで彼女の意思を尊重するように、やさしく尋ねた。
フェルは一瞬だけうつむいたが――
その瞳を上げたとき、はっきりとした決意が宿っていた。
「……シンヤさんなら、大丈夫……です。
その……いっぱい、可愛がってください……♡」
その言葉に、シンヤの口元がやさしく綻び、モグも「これはたまらん……」と唸る。
やがて、ふたりの手が、それぞれのミルネア娘の胸元へとゆっくり伸びていく――




