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03.Vampによる殺人事件

《前回のあらすじ》

【2032年 過去】

 Vamp(バンプ)捜査課に所属する、高橋雅史・本田優太・生駒部長。

 高橋はVampである利沙の捜査協力を受け入れた。——Vampの能力であるサイコメトリーとは……。

 日本でもVamp(バンプ)による殺人が、この一ヶ月の間に急激に増加していた。首に牙の痕がある死体が発見されるようになったのだ。死体を隠そうという配慮も感じられない。海外に比べて圧倒的にVampの数が少ない日本では、獰猛なVamp事件は珍しい。——多分、同一犯であろう。このまま放置しておくと死体が増えるのは確実だった。


 早速、Vamp捜査課の高橋と本田が捜査に乗り出した。


   ☆


 高橋が出勤してすぐ、ハーブティーを手にした本田が話しかけてきた。

「またVampによる殺人事件ですね。現場に向かいますか。」


「殺人の頻度が高まっている。一刻も早く犯人を見つけて始末しないと……。三浦さんも連れて行こう。サイコメトリーの力で何かわかるかもしれない。」

高橋は利沙の能力を試す良い機会だと考えていた。


 Vampを乗せる車は特別仕様だ。窓ガラスはフェイクであるため、太陽の光が遮断され、車内は真っ暗だ。外の様子は全てモニターで見ることができる。昼間は常にロングコートを着て、肌を見せないようにしているVampだが、それだけでは車に差し込む陽の光は耐え難いらしい。


 高橋、本田、利沙の三人は、その特別仕様車で現場に向かった。


   ☆


 現場では、女の死体が人けの少ない路地に横たわっていた。血を吸われたのだろう、首には牙の痕がある。Vampにやられたのは一目瞭然だ。——夜、一人で歩いているところを襲われたのか……。


「朝から死体はきついっすね。それにしても、Vampの血液の摂取量は半端ないですね。この死体の体重が仮に50㎏として、血液は体重の13分の1だから、4ℓ弱。それを一気に飲み干すなんて……。Vampの満腹中枢はどうなっているんですかね。」

本田は異常だというように顔をしかめた。


「Vampの胃袋は底なしなんだろう。」

高橋は利沙に聞こえないように小声で答えたあと、死体を念入りに調べ始めた。


「歳は40くらい。服装からして、仕事帰りに襲われたんだろう。鞄の中身は荒らされていないようだ。カードなどから身元がすぐにわかるはずだ。家族が帰りを待っているだろうに……。三浦さんお願いしていいですか。」

利沙は敬意を表すように優しく死体の手を握った。その仕草から、彼女の育ちの良さが窺われる。


「この女の人、犯人の顔を見ていないわ。顔を見る間もなく一瞬にして襲われたのね。読み取れることは、犯人の服装や体格から大柄の男だということ……。——あっ、腕にタトゥー、十字架だわ。犯人は腕に十字架の入れ墨がある男……。」

利沙は高橋と初めて会ったときの怯えた様子とは違い、はきはきとした口調で言った。


「Vampには、十字架は効かないんですかね。」

本田は利沙の言葉に興味津々だ。

「どんなふうに過去の映像が見えるんですか? 僕に触っても、僕の過去が全部見えてしまうんですか?」


「三浦さんが困っているだろう。」

高橋も興味はあったが、流石に本田をたしなめて言った。


「……全部見えるわけではありません。断片的に映像が飛び込んでくる感じです。見える映像は、きっと当事者の強く印象に残っている事柄だと思います。捜査のときは断片的に見えた映像から、私が見たい映像を探す感じですね。」

利沙は律儀に答えた。


「そうなんだ~。三浦さんに簡単に触れることはできませんね。」

「それは大丈夫です。サイコメトリーの読み取る能力は自分の意志でシャットアウトできますから。私に読まれたくなかったら言ってくださいね。」

本田はふざけた様子で肩をすくめた。


 現場から凶器の牙が見つかるはずもない。一通り現場を見たあと、周辺の聞き込みもしたが、あっという間の犯行だったのだろう、これといった情報は得られなかった。


「そろそろ、捜査本部に戻るか。」

三人はVamp用の特別仕様車に乗り、現場をあとにした。


   ☆


 警視庁に戻った高橋は、殺人事件に関する報告書を作成していた。


 一段落ついた頃には太陽の光は弱まっていたが、外はまだうっすらと明るかった。太陽が昇っている間は、誰かが利沙を例の特別仕様車で送っていくことになっている。本田に頼んでもよかったが、Vampの利沙に興味津々な態度が落ち着くまでは任せられない。——自分が送ろうと、高橋は思った。


「報告書も書き終わったし、家まで送りましょうか。」

そう利沙に話しかけたとき、高橋のスマホが鳴った。小学校からだ。


「はい、高橋です。……あっ、いつも大変お世話になっております。……うちの子がですか? ……はい、伺います。」

高橋は電話を切ると、利沙に視線を向けた。

「途中で、息子の小学校に寄ってもいいですか?」

《次回》

高橋の息子~涼介の登場


明日、4話を投稿します。お楽しみに!

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