第7章
つまりはこういう事である。吾輩は世界に広がっている王室の起源を明らかにしているのでありこれは極めて有意義である。
王もまた自然発生するものであり現代に発生してもおかしくない。現代に残る王室には必ず起源がありその仕組を今まで書き残してきた。我々が普通に崇めている王には先の文明において自然発生したものである。この発生は如何にして起こったのか。そういったことを言っている人はいないだろう。だから吾輩が書き残そうと思ったのである。
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火事が起こった。その原因はわからない。この街にきてまだ日が浅い中こんなことが起こるなんて思ってもいなかった。スライム達が動揺している。しかし彼らは勇敢だった。もともと水に近い性質で出来上がっていることもあり火に対してライバル心のようなものを抱いているのだろう。勇敢にも次々と身を挺して消火活動に勤しんだ。2日後火は消化された。この街の消防団が調査に入り出火原因を調べている。後でわかったことだが怪しい二人組を見たとう証言が二件も寄せられた。消防はこの国の上層部にそれを伝えた。はじめ旅行客として来ていたリチアとアレフにも聞き取りが行われたが二人は何も知らないといって本当のことを言った。それが伝わったようで調査官は笑みを漏らして帰っていった。
問題は二人組の怪しい男達である。
リチアのカーバンクルが反応する。
「あの二人組見てこようか?」
怪しい二人組のことに最初から気づいていたらしい。カーバンクルは術者の側から離れても生活できるのか。アレフは疑問に思った。
「少しだけだよ。少しといっても1日ぐらいなら離れても大丈夫だよ」
「本当に大丈夫?」
リチアは心配していたがカーバンクルは何の心配もいらないと言ってその場を収めた。
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カーバンクルが二人組のアジトを見つけたのはすぐだった。怪しいレンガ作りの廃墟でカップラーメンを食べている。カーバンクルは透明にもなれ物体を通過するためすぐさま気づかれることはない。
二人組が話している。
「あの娘。ガーネット。どんな反応をしたんだ?」
「まあいいさ。反応が見れなくても。俺達のようなBB族は全国各地にいるんだ。ガーネットが移った街であり得ないことが何度も起こればさすがにガーネットが異常だということがわかるはずさ」
「そういう上からの伝達だったな」
カーバンクルは気づく。この二人組はガーネットとよんでいるがこれは明らかにリチアのことだ。
リチアが危ないとおもった。
リチアを狙ってこれからも不思議なことを起こすというのならすぐにでもリチアに知らせないといけない。
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翌日カーバンクルが帰ってきた。
リチアに男二人の話をするとリチアはわかったような思い詰めた顔をして
「もしかしたら私だけを狙っているのかも」
と心配そうに話した。
その姿を見てアレフはリチアが何か力を隠しているんだと結論づけた。まあそんな気がしたからだったが。いずれにせよリチアのことは守っていかなければならない。これが父親との約束なのだから。火事の犯人は怪しい男二人でリチアの反応をみるために火事を起こした。そしてこれからも行く先々でこんなことが起こってしまう可能性もある。蛮族BBとやらをどうにかしたいものだがアレフは力がそれほどあるわけでもなくこれから力をつけるために冒険に出たのだから序盤から変な組織に追われるのは懲り懲りだった。
「全く何者なんだ蛮族BBとは」
アレフは呟いたがもう夜は遅かった。
しかし何が何でもリチアを守りたいという意思が揺るがなかった。
そうして冒険から一ヶ月が経った。