第4章
科学的態度と宗教的態度というのは対立するようで似ている部分もある。どちらも衝突を起こす余地はあるがそこに発見がある。観測で決まればどちらも未分から真理へと至る。
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冒険に出たアレフとリチアはまずはアレフの知識に沿ってティル村という場所を訪れることにした。課題は2つあった。まず仲間が少ないこと。そしてリチアの謎である。これについて考えていたところ背後から謎の声が聞こえた。その声の主はリチアのカーバンクルだった。リチアの謎を知りたければあの追ってきた連中のことを探る他ないねとのことだった。このカーバンクルは一日のほとんどを寝て過ごしリチアにしか懐かない。カーバンクルに問い詰めても何も知らないとの一点張りだった。終いには契約だからねとアレフの突っぱねた。
ティル村はワタ村の隣にあった。主にスライム属が暮らしている村であり生産の手段は鉄鉱石などの産業物だった。ここで落ち着くかとアレフがいい、普段から何も喋らないリチアが頷いた。
宿を見つけ二人分取ろうとしたところリチアが遠慮して1人分で済むことになった。リチアはアレフの財布を心配していたらしい。気を使ってもらったところかなり嬉しかったが男女二人で一部屋は大丈夫だろうか。その辺は大丈夫だよ。僕がいるからねとカーバンクルがひょっこり顔を出した。
この日は無事に夜が過ぎた。
部屋でリチアは一人月明かりに照らされ不思議な感じがした。力が入っておらず脱力している。
カーバンクルがこれについて説明した。
ああやって力を充填しているんだよ。
ああそうかとはならない。力とは何か。リチアのことがますます不思議になってしまった。リチアには明日聞くことにしよう。
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二人組の赤色のマントを羽織った人物達が話し込んでいる。本当にここか?
一人が口に出す。あとのことは聞き取れない。
暗闇に混じり謎の組織がアレフとリチアのことを探っていた。この組織は見るからに野蛮である。その野蛮さからこの国オーガッツでは蛮族BBと呼ばれ恐れられている秘密の結社である。
*
翌日になった。冒険の最初の夜を見事に終えた。
朝から露が外には張っていて見るからに新鮮に思えた。リチアも起きている。リチアにカーバンクルから聞いたことを話す。リチアは「必要なときが来たら話す。あなたに必要な力だから。」
それだけだった。それだけ言って黙り込んでしまったのだ。
しかしその後リチアは大切そうにガーネット色のブローチをカバンから取り出し胸につけて
「これが力の正体」
と話した。
まあそれだけではなんのことかわからない。
ミステリアスでさえある。
不思議な子は不思議ってことだろう。
わかったことはリチアが特別な力を備えていることだと思う。胸のブローチはその正体ということだ。
まあ冒険には謎はつきものだ。今日はリチアのことが一つまた知ることができた。
しかし外が騒がしい。
一体何だろう。
ブワーンブワーン
警報が鳴り響いている。
アレフも慌てて外に出る。
スライム達が火事だ火事だと大騒ぎしている。