第3章
非人という単語が良い方向に行けばかなり充実したものとなる。火の性質は八卦によれば離が対応する。なぜならば火を見ていればわかるものだが燃える火は上方へと離れて消えていくものであるからだ。同様に日もまた一日一日過去となり離れていくものである。毎日の家事には目的性がある。目的性もまた「やり終えた分」は離れて消えていく。非人がかつてやっていた仕事は死体の処理などの忌むべきものであったからこれらは因果として受け継がれその者の生となってきた。非人に言えることは居宅に縛らてきたことにあるだろう。大乗のように外で働き目的性を発揮することに比べ非人の暮らしは家の中にある。これを閉じる力と見ればこの閉じる力がいい方に働けば最初に述べたよう充実したものとなる。これを支えるのが棒術である。これはある陰部を指す語であるがこの棒に頼って方位戦を布くのがきまって人の常である。房術はこれの上位互換である。妻がいればなお防備としては十全である。
非人のままでは下らない考えや習慣に支配されたままで何ら成長はない。ひがなネットを覗いて悪口などをすることはよくあるパターンである。こういった閉じられた力の中で良い方なのは創造的力に頼ることである。この意味においては非人はその意味を変え人に非ずという本来の神的意味を帯びる。創造者は人ならざるものである。これが非人という単語のいい方向である。
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冒険に向けてあとは父親の説得だけだった。父親ガーゴンは昔漁師だった。漁師仲間はいまでも付き合いがあり仲良くしている。父親はアレフから話を聞いてまず漁師仲間に相談した。漁師仲間はまあアレフもいい歳だ。冒険ぐらい行きたくなるわななどと言いガーゴンを説得した。相談に行った仲間が皆賛成的立場だったこともありガーゴンは自らが心配性なだけだとそこでわかった。ガーゴンはアレフを授かった時ワタ村の仙人のところへ行き言葉をもらった。仙人によれば好奇心旺盛な子供でいつか大冒険者になると神からお告げがあったとガーゴンに伝えた。アレフが生まれた日、ちょうどワタ村では不思議なことが起こった。馬が産気づいて子馬が生まれたこと。雷が落ちて木が倒れたことである。ガーゴンは運命的なものを感じていた。そして今日この日である。アレフから冒険に出ることを告げられてガーゴンは決心を固めた。まず女の子を守ること。一緒に出るというのなら必ず女の子を守り抜け。それが一つ目の条件だった。女の子は自らの名前すら知らない。そんなか弱い子と冒険に出るというのなら守って見せろというものだった。そして必ず手紙を出すということ。手紙を出して無事を知らせることを二つ目の約束に入れた。
ガーゴンがアレフに許可を出したことは偶然だった。丁度仙人からの予言を思い出しアレフなら立派にやれると思ってのことだった。
アレフの出発の日になった。
見送りにはワタ村のほとんどの人が集まりそこにはガーゴンとイルミの姿があった。
温かく見迎えられアレフとリチアの旅が始まった。
リチアの謎とアレフの冒険への好奇心を満たす旅が。