不動な教祖
主に黒い面黒い話にはなるが、人身売買をして愛する家族のためにお金を稼ぐのと、心臓をかけて自分のお金のためにギャンブルをするのとではどちらが面白いのだろう。私自身の答えは言うまでもなく後者、確実に自身の心臓を自身のためにかけた方が面白い。やはり努力をしたり、代償を支払らったり、報われるべき善人だったりが絶対に報われる世界ほどつまらないものは無いと私は思う。
しかし、私にとっては不幸な事にこの世界には誰であっても願いを一つだけ叶えてくれる平等な神が存在するらしい。
その方法はとてもシンプルで大きな十字架のある場所に行き願う。どんな人間であっても一度のみ、その願いにあった代償を支払って願えば神がその願いをかなえてくれるというものだ。
だから私たちの世界の奇跡はほとんどすべてが神のせい、運なんてとんでもない、本人の努力や代償を支払った事によって起こった事象に過ぎない。こんな事はあってはならない。とてもじゃないがつまらない、面黒い面黒すぎると私は思う。
だから、そんな神が起こした奇跡の軌跡をバカにするために私は探偵となった。
この話は私にとって初めてのまともな、あまりに「まともな神」との対峙だった
そんな世界のある国に海の見える丘の上にある、白い教会がひっそりと立っていた。
そこにはアイン・マインという教祖がいた。
その教祖は動かないそれに死なない。なのに死んだ。
嘘をついているわけではない。厳密には、死なないというのは動かなければ死なないという意味だ、
いやこれもいまいち正確には言い表せていない気がする?
この状況を整理できずにいる脳内のため、とてつもなく面倒臭い事のいきさつから簡単に要約すると、
まずこの教祖は不老不死になろうとした、そのために神に祈った。
祈り、祈り、祈り、祈り、祈った、仕舞には「何でもしますから」とブリーフ一枚で踊ったりもした。
その景色は、ある意味全裸以上の異常さだっただろう。
神は文字通り鬼ではない神だ。
この熱心ぶりに心を打たれたのやもしれない、神はその願いを叶えることに決めたそうだ。
だがここまで大きな要求ともなれば代償も大きい、しかも「何でもする」とまで言ってしまっている。
彼はその日から願いをかなえた。
しかし、その日から教会の中にある教壇の前で彼は凛々しく止まった、ブリーフ一枚で、
つまり代償を支払ったのだ。
世界一必要のない凛々しさであったことは神様でもない限り理解できるはずだ。
そして、つい先日何者かに動かされてしまったことによって息の根が止まった。動いたら止まった。命
が。しかも、完全にカギをかけられた密室で、死体に一切の指紋もつけずして
こんな間抜けな話があるだろうか?
くそつまらないおとぎ話よりもくだらなく、くそつまらないおとぎ話よりも現実離れしている。
私の人生で聞いた出来事の中でも間違いなく初めてである事は間違いない。
これでも私は探偵としてそこそこいろいろな体験をしてきているつもりだ。
これまでだって死刑制度をなくすために殺人を犯した殺人犯を捕まえたり、海に逃げてしまった六つ子のムツゴロウを捕まえたり、
平均以上の出来事は平均以上に体験してきたつもりだ。
そんな私でもここまでくだらない事件は初めてだ、
ほとんど死んでいるような人物を殺した犯人を見つけてくれだなんて。
世間は個性を大事にしてくれとか言うけれども、個性を持った人物がどうなろうとも周りはだれも責任はとってくれないのだ。皮肉、皮肉。肉と皮なのに全くおいしくない。牛肉が食べたい、豚でも可。
ここまでイカレタ事件だと普通は受ける探偵などいないのだろう、かくいう私もこの事件の依頼主が腐ったブルーチーズより腐った腐れ縁のメグー警部の頼みでもなかったら、私の「申し訳ありません」という声は音速の壁を越えて依頼主に伝わっていたに違いないのだ。
それにしてもなぜこのような狂った依頼ばかりが私には回ってくるのだろう。
そしてなぜ私は相手が竹馬の友とはいえども、毎回このような依頼を受けてしまうのだろう。
不思議なものである、やはり探偵というのは好奇心の塊であり、知りたいと思うことこそが一番の仕事と思ってしまっている節があるのかもしれない。
赤ちゃんの泣くことが仕事とかいうのと同じだろう。
そんなことを考えながら私は例の教会に足を運んでしまっていた。
教会は外から見れば驚くほどに真っ白で真夏の直射日光に照らされることで、スキー場よりも私の目を破壊してきた。噂によればこの教会が立ててある丘は自殺の名所として有名らしい毎年何人もの人がこの丘から飛び込むがために崖の下には死体がわんさかあるとかないとか、何だかこの白い光もよくよく見ると人間たちの生や死を連想させられるような気もする、
よくもまあここまで生きることに必死な奴の裏でそんなことができるなとも思ったが、ここまでの馬鹿を見ていると生きることが余計馬鹿らしくなって死にたくなるのも、私自身わからなくはない。
自殺志願者しか来なさそうな雰囲気だが、神の御加護という奴だろうか、その真っ白な太陽反射装置の周りは今でも誰かが掃除をし続け草を殺し続けているのではないかと思うほどに手入れが行き届いていた。
教会の入り口には白いペンキで塗られた木製の扉、このドアは死体発見時、施錠されていたらしいけれどその時は割と簡単に開いた。
どうやら先客がいるようだ。中に入ってみると、警察はある一人を残して全員帰ってしまったようで、残った一人の警察と三人の一般人以外にはその教会内に誰もいないようだ。
教会の内装は照明など皆無で、窓も最奥の女神が描かれたステンドガラスと天窓以外に何もないというのに割かし明るかった。中央には緑色の縦長な絨毯が敷かれており、その左右に二個づつ長さ三メートルくらいの長椅子、そして女神の手前に教壇と倒れたパンツマンその横にグランドピアノとピアノを弾くために座るのには何か異様な倒れた椅子その奥にでかい十字架という、魑魅魍魎が百鬼夜行で百花繚乱に狂い咲いたかのような光景だ。
そんなパンツマンを見て私は思った。
神はどんな生物でも命は平等だと言う、生き物の種類で見ればそれを正しいと私は思う。けれど、生物として一つ一つちゃんと生身で見ればそれは間違っていると私は思う。パンツマンに比べれば雑草の方がいくらか尊い命だろう
知らんけど、、
「やあやあ」この声は
「やあ来てくれたんだな頼もしい奇怪な事件はやはり君でなきゃね、ブリーフ探偵君」とってもとっても太った茶色のスーツに灰色の長ズボン姿の男が私に話しかけてきた。この男こそ前述した腐ったブルーチーズだ。
「ああ君の頼みとあらば駆けつけよう、僕はブリーフ探偵であり君はブルーチーズ警部どちらも臭そうだからちょうどいいだろ」僕はこの時なぜかお母さんの胎盤を思い出した。この白いカマクラなんかじゃとても防げそうにはない季節外れの大寒波、こんな時には母の胎盤に限る。
「がっははっはははっははっははははっはあはっはは」案の定彼は下品に笑った。だがその汚さが実家にいるような安心感を持たせてくれてるというのも事実だ。なにせこの事件に連れてこられた重要参考人が彼の後ろに背を向けて三人座っているらしいのだが、誰一人としてこの会話で笑ってはいない。それどころか顔は見えないが怒っているはずだ。
当然だろう。
こんなどうでもいい殺害事件でわざわざ犯人探しをしている連中に協力するなど時間の無駄と思っているに違いない。というか、こんなもの探偵の仕事とは言えない。これはナニコレ珍百景に応募できるかどうかというレベルの唯の珍事だ。
いやそれ以前にこんなことのために自分たちの税金が使われているのかと思うと、私までイラつかずにはいられない。そんなことを思っていると、おもわず
「ふざけんな、豚野郎」私の口から子供のころのような発言が滑り出してしまった。
「おおありがたき幸せ、」彼は神に感謝した。私を見ることなんて一切なく、これが俗にいう言葉の壁というやつか><長い間の付き合いでは在る故こういうジョークは慣れきった物ではあった物の、その時に親友に怒りきれなかった自分が少し大人になってしまった気がして悲しかった。そこには私たちだけに見える霞があった気がした。
そんな自分たちで作った霞にうんざりした私は視線を先客たちに向けた。すると
「ここにいるお三方はさっき電話で話した重要参考人の方々だ」なんだか悲しそうなメグーがそう言うと、三人ともゆるりとこちらに顔と体を向けた。
「この方がこのくだらない件を解決してくださる探偵さん?」三人のうち一番若くくノ一のような服に麦わら帽子と服の隙間からうっすら見える真白い肌、顔は麦わら帽子を深くかぶっており見えなかったが今にも爆発寸前のぱちゅんぱちゅんな乳を持った女が最初に口を開けた。
「そうですとも彼はたようりになるんですよそりゃーもう。」メグ-は彼女に受け答えた。
次にメグは私の方を向き
「彼女は普段は葬儀屋で働く23歳女名前はメルヒュン アン二だ。彼女はこの教会には母親の焼肉店で使う肉の仕入れに来たそうだ。、祈りの歴史は無し」説明口調で警部はそういった。とてつもなく特殊かつ殊勝なことだ。優しい子なのだろう。
「そして二人目真ん中にいる彼は語学者で名前はマイ・マイさん。歳は34歳祈りの歴史は「息子の病気を治してやってくれ」で、この教会へは現在の教会の管理者として、たまに掃除にやってくるそうだ。遺体の第一発見者でもあり天窓を掃除していたら一週間前に教会の鍵を閉めたのにもかかわらず中で倒れた彼を天窓越しに見つけたそうだ。」めぐが説明を終えると真面目そうな笑顔でマイマイさんが会釈をした。
なんだか優しそうな雰囲気の目鼻立ちにちょび髭をはやしていて面長でもあるので私は彼の顔からルイージを連想した。
「最後三人目右端のあれは、ローバー・ウィンティーさん性別は女性とされている。123歳で人類史上最高齢の女性とされている。祈りの歴史は「できる限り長く長く生き永らえさせてくれ」とされている。言葉をしゃべることはもうできないとされている。認知症を患っているそうで犯行時刻、近辺で保護されたとされている。しゃべることができないので作家をしているとされている。いまだ生きているとされている。なおこれらの情報はこちらで調べたものに過ぎない。」彼女の見た目は白いカットソーを着ているせいもあるのだろうが朝寝ぼけた状態でみたら、この白い教会にある壁のひびと見間違えてしまうのではないかと思うほど彼女は白くしわくちゃだった
私はこの内容を聞きチャカ{されている}と思った。でも不老不死も死ぬ世界なのだからすべてを疑った方がいいのやもしれない。
「そして最後に被害者の彼がアイン・マインさん歳は若く見えるが不老不死になってから100年以上も経過しているため実際には122歳だ。職業は教祖だったそうで、現在はただただ生きている。祈りの歴史は言うまでもなく「不老不死」詳しい文言は不明だが内容はこれで間違いない。祈りにおける代償は自分自身の全ての動きと彼の妻の言葉をなくすこと」淡々とメグは言った
教壇の前のブリーフと肉を指さしながらメグーは言った。
「ほう、自身の動きを止めただけではなかったのかはた迷惑な話だな。」私があきれるように言った。
「本当にそうだな」
「そういえばメグお前一人だけどうしてこの場所に残ったんだ。別に警察関係者ならば誰が残ったとしてもよかったのではないか」
「事件発生時にちょうど近くに来ていてね、それに少し恥ずかしい事なのだが私も実は容疑者なんだよ、この教会に来る奴なんて今時ほとんどいないからね容疑者もそれだけで勝手に絞られる。君に僕の疑いを晴らしてもらうのと同時にここに来るであろう君への伝言役も兼ねてここに残ったんだ。まあどうでもいい事件だと警察も判断したから私をここに置いていったというのもあるがね、がっはっはっは」彼は悲しそうに笑った。
「ふーんなるほどね、これで大体容疑者は洗い出せたかな?じゃあ今ある情報で状況をまとめてくれメグウィンTV。」私は動画の本題に入る前のユーチューバーのように言った。
「とりあえず、私たちが取り組まなければならない謎は大きく分けて3つだ。
まず一つどのようにして密室を作り出したのか、そしてカギのかかったこの部屋にどのようにして侵入したのか?次に二つ誰が犯人なのか?その動機は?最後に三つ指紋もついていない被害者をどのようにして動かしたのか?
ちなみに、ここら辺ではめったに地震などは起きないらしく教会の造りもしっかりしているため自然の力で被害者が動くようなことなどまずないそうだ。」しゃべり終えると照れ隠しなのメグはゴホンゴホンとわざとらしくせき込んだ。
「なるほどね」
これらの事前情報を聞き私がまず思ったことを言った。
「「まず、普通に言ったらあなたが怪しいですよ。」
「まあ確かに」
「わかりましたでは、あなたが犯人なのですね」
「はいそうですマジですんません、だから早く帰らせて」」
一寸サイズの寸劇幕下す。
「せっかくこんなところまで来たのにこんな風になってしまったらつまらないので、犯人を当てられたら、今日の晩ご飯は当てられたその人のおごり、当てられなかったら僕のおごりってことでよろしいですか。」」
「おkでし、なら私の母が焼肉店をやっているのでそこで食べましょう」麦わらの喜びが元気に言った。
「不老不死殺害事件なんて、楽しまなきゃ始まらないかもしれませんね」語学者が言った。
「むしろ楽しむため以外の何物でもないでしょうこんなもんは、悲劇じゃないこれは喜劇だ」私がどやどや顔で言った。
「おいおい人が死んだんだ、それは事実だわきまえたまえ、でも食べにいくのが焼肉ならば可」怒鳴るように言った。
「、、、」
よしこれで全員の了解はとれたな。
「ではまず聞き込み調査を始めます、遺体の死亡推定時刻はいつです?メグ?」
「二日前の正午今が正午だから大体ちょうど二日前といっても差し支えないだろう」
「なるほど、では発見時刻はいつほどでしたか?マイ・マイさん」
「昨日の午後3時くらいです。その時は部屋の中を掃除する前に天窓拭きを行っていました。」
「そういえばあなたはなぜ掃除をしにこのような教会に通っているのですか?管理者とはいえ放っておけばいいのになと思ってしまいます。」
「私彼の自伝を数年前呼んだことがありましてその自伝を読んで以来彼の大ファンなのです。正確には彼の妻が見たものを書いたものだから自伝ではないのやもしれませんが」なるほどだからこんな教会の管理人となったのか。
「なるほどそれで掃除をなさっていたのですね、では先ほどは少し失礼なことを申しあげてしまったかもしれません。失敬」
「いえむしろ、好きだったからこそ死んでしまったのが今少し気持ちいいのです。無限に続くドミノが倒れきったような感覚とでも言いましょうか。」
やはり少し独特な感性を持っているようだ。
「なるほど心中お察しします。」
少し間をおいて特に思いつく質問がなかったので、教会内部の調査を開始することにした。
「今から私たちは部屋の捜索を開始します。一応警察が一通りは行っているそうですが、もしかしたらこの密室殺人を解くカギが落ちているやもわかりませんので。」
とりあえず教会の奥側から調べることにした。特に理由はない。
やはりまず目を引いたのはカビゴンほどもあるこの十字架だろう、こんな世の中なので十字架は家庭用のサイズだったとしてもエアコンよりもゆうに高い。
カビゴンサイズともなれば1千万はくだらないはずだ、
だがしかし1千万で不老不死が買うことができるのならば
気持ちはわからないでもないが、、、
次に目を引いたのはその手前にあるグランドピアノではなく、その前の不思議な椅子だ。
それはピアノを弾くための椅子というよりかはよく処刑などに用いられる電気椅子に似たような雰囲気を兼ね備えていた。それにはシートベルトがあり、後ろにはスイッチのようなもの、それにターボエンジン、、、、ターボエンジン?
思わず私はこれを見てきもい奇声を上げた、「キュアー、おいメグこれなんだ?」
「見て分からんのかカタパルト射出木田」
「は」一瞬意味が分からなかったが何とか理解した。
よくロボットもののアニメとか出てくる、椅子だけ飛び出てコックピットから脱出するあれか、
「なんでそんなものが教会にあるんだ」
「いやーあれだろあれ」
「あい!?!」めぐに切れてもしょうがないのはわかるけれど、このいかんともしがたい苛立ち隠さず生きれたら、ロボットだ。
「多分犯人が密室のトリックに使ったのではないだろうか?天窓くらいならば余裕で超すぞちょうど天窓の下に置いてあるしな」
「ああなるほど」いやいくらなんでも物理的過ぎやしないかと私は思った。
「その椅子遺体の発見当時はどうなっていたか覚えていますか?」私が少し離れた場所にいたマイマイカブリにきいた。
彼はかぶりを振った「すみません教祖が倒れていることに気を取られており詳しくは、でも確か倒れていたような気もします。」
「なるほど」その線もなくはないようだ?まあこのトリックが間違っていたとしても、天窓から入るというのは高さ的に、体がとても身軽であるならば怪我をせずに入るという事も不可能ではなさそうだ。
そのあともずっと部屋の中を調べ続けたが特に気になるものもなかったので
とりあえず一人ひとり事情聴取してみる事にした。
なので私は一人教会の外に出て、メグに一人一人容疑者を連れてきてもらうことにした。
順番は特に気にしていないので誰を連れてくるかは彼に任せた。
まず来たのは麦わらの快感だった。
「こんにちは」私は愛想よくそのタピュンタピュンな乳を凝視しながら口を開けた。
「どうもどうも」
「まず単刀直入にお聞きしますが焼肉を食べさせてくれるのはあなたですか?もしくはあなたを食べれますか?」
「いいえちがいます、焼肉を食べるのが私です。変なことを言っていると私があなたを食べます」この女食えない3つの意味で私は心の中でそう思った。
「なるほどね、であるならばあなたは私が探しているくノ一ですか?」
「女か男かという意味合いならば私はどっこいしょと現代を生きながらえるくノ一です。しかし私を忍者がどうか? という意味合いでくノ一かと問うているのなら言うまでもなくノーと言わざるを終えません、」
「なるほどね、」元来忍者というのはクエナいものとされていることを私は知っていた。
なので私は先ほどのくえない会話や彼女の格好から推測し彼女が天窓からその身軽なくノ一の身のこなしを使って飛び降り侵入その後教祖殺害。そしてカタパルト射出機を用いて天窓上空に移動し、さながら忍者ハットリくんのような姿で風呂敷をハンググライダーの如く器用に扱って密室から脱出したのかと今まで思っていたのだけれどどうやら違うようだ。しかし考えてもみればその時カタパルト射出機のシートベルトからその豊満な胸肉があふれて出してしまい彼女のくノ一姿がえーぐいことになる可能性を私は考慮していなかった。彼女は物理的にこのトリックは最初から不可能だったのだ。女性に対してあらぬ疑いをかけるなんて私は最低だ。
「これですべてでしょうか?」無言で考える私を見かねて彼女は言った。
「いや最後にもう一つだけ質問させてください。どうでもいい質問なのですが」
「はい」
「あなた好きな人はいますか?」
「いきなり告白ですか?」
「なんでそうなるんだ!このなすび」私は声を少し荒げた。まるで怒って鉄砲を撃ちまくる教祖のように言った。
「いえ、あなたが私の大胸筋を見ていたものですからね、このナスピを」彼女は胸を張りながら堂々と日本を舐め切った英国紳士のようにナスビを発音した。
「いえいえ私はあなたの胸を見てこれから焼き肉屋で食べるであろう美味しそうなタプタプホルモンを想像していただけですので、どうかお気になさらず。私が見ていたのは断固としてなずびです」私は決して日本の心を忘れない幕末攘夷志士のように男らしく発音した。
「なるほどこれは申し訳ない、私としたことが。、、、失礼なことを言ってしまったようだ。心より謝罪しよう。えーっと先ほどの質問にお答えするとするならば、わたしはだれでも好きになれるタイプなのですよ、、うーんこれ少し面白い回答かもしれませんね、申し訳なすび」そんな私の態度に気おされたのか体のすべての水を垂れ流しながら敗走する武将のごとき態度で彼女は言った。
「なるほどね、、、、もうかまいません。」
そういうと彼女はそそくさと教会に入っていった。
二人目に出てきたのはご学者のマイマイ君だった。
「こんにちは。」
「こんにちは、、、、、」
「会の話が終わってしまいましたね、ではあなたにさっそく単刀の直入をします。私はあなたが一の番に怪しいのではないかと踏んでいます。消去の法という部分もあるのですがね。」私はとてもうざったらしく言った。
「ほうそれは何か理由はおありなんですか」
「はい、あなたの名前はマイ・マイでしょう、だから怪しいなと思ったんです。彼を殺し彼の名前を手に入れるそれがあなたの目的でしょう。彼の名前を分解すればアイもマインも手に入る。語学者としては恐悦のしごくともいえるのではないかとね愛が私の物になるわけですからね‼ 尻尾を出せカタツムリ! 」どや顔をわすれずものすごい大きな声で私は言った。
「面白い発想ですねだが証拠はないですよね。」彼は淡々と私の短刀を受け止める担当となった。
「よくわかりましたねそうなんです。ないんですよ証拠が」私の気持ちはさながら市ヶ谷駐屯地で演説を行った後の三島由紀夫のような感じだろうか、ほぼ自殺行為かもしれないがこの人の名前を聞いた時からこれが言いたくて言いたくてたまらなかった。
「しかもです、ミーがないじゃありませんか?それではアイマイミーマインは揃わない私は学者としてそんな適当な真似はしない、僕のことを舐めないでいただきたいですね。」彼はプンプンしながら言った。
「あなたの言うとおりだ、私が間違っていた。申し訳ないこれは心からの謝罪だ。」潔くそう言ってDSとトモダチコレクションを渡した。
「許しましょうあなたは今ミーにとっての心の友となりました。」そういうと彼はタッチペンを取り出しカセットを差し込みながら気分絶好調なルイージみたいにトリプルサルコゥした。
「本当にお子さんのことが大好きなのですね微笑ましい限りです。」
彼が無言でうなづいたような気がした。
彼はカセットの入ったDSを胸に抱いて教会に帰っていった。
三人目ばあさんかもわからないばあさんが出てきた。
「、、、」
「、、、」
「、、、」
「こんにちは」そう私が言うと、彼女は少しうなづいた気がした。
「、、、」
老婆と一緒に教会の中に入った。
四人ともども教壇の前に集め今の段階でできる、私の推理を発表することにした。
「まあいろいろ調査した結果私犯人が分かったかもしれません。ですが動機がまだわかりません、それに少し言いたくありません。」少しうつむきながら私にしては真面目に言った
「、、」その時おばあちゃんが倒れた。ものすごい動揺の声が教会内にこだました。メグーが落ち着いた手つきで老婆の脈を確認した。メグはかぶり振った。どうやら息を引き取ったようだ。その時メグは悲しそうな顔をしていた
「なるほどね、もしかしたら動機わかったやもしれません」
「まじですか!」麦わらのうれしみが言った
「まず使ってであろうトリックから説明します。そこにあるターボエンジン付きカタパルト射出機それを使ったということで間違いないでしょう。この教会で密室殺人を作れるであろう物はそれしかありません
では手順から説明いたします。
まず天窓まではハシゴか何かを使い上ります。
そして天窓から飛び込み侵入、そして殺害、
最後にカタパルト射出機から脱出。梯子を持って帰宅。
まずこれからの説明を聞くうえでこの大まかな流れを踏まえておいてください。
一番目にメルヒュン・アンナさんあなたは犯人ではありません。
私の推理を言ってしまえば、あなた唯の死体愛好家でしょう、顔を極度に見られたがっていませんでしたしこんなところに肉を卸に来る業者などこんな人里離れた丘にはおりません。
つまりはこの教会の裏にある自殺の名所が目当てだったんでしょう、あなたが先ほどの事情聴取で誰でも好きになることができるといった後「面白いでしょ」とあなたは言ったでしょ。私はその時思ったんですよ、滅茶苦茶つまんねえ女だなと。
でもよくよく考えたら違ったんですね。あなたは死体を愛す女だから、だれでも好きになることができるのですね。簡単な話だった。あなたは面白い人だ。」馬鹿にするような言い方を私はした。
「そんなの証拠はないわよ!ひどい捏造だわ妄想よ妄想、あなたは猛暑で頭がアイスクリームみたいにとろけて頭痛を起こしてしまっているに違いないのだわ、アイスクリーム頭痛よアイスクリーム頭痛」
「ハイ正解ですもちろん証拠はありません。ゆえに唯の私の妄想です。でもこれが当たっていようがいなかろうがあなたは犯人じゃない、だってあのトリックを使うには乳が大きすぎる。あなたがやったらシートベルトから乳があふれ出してしまうでしょう。だからどちらにしろモーモーと喚く必要はないんです。落ち着いてください。」なぜかその時真実から逃げるように私は口を走らせてしまっていた。
「そうよ私はただ乳がでつかいだけの詰まらない女よ。死体なんかに興味はないのよ冗談やめて。、むしろ死体なんて焼肉にして食ってやるわ」麦わらの怒りみが言った。
「そうですねここらへんで冗談はやめましょう。でも今日もしかしたら焼肉屋へはいけないかもしれませんよ。」
「え」彼女は少し驚いたそぶりを見せた。
「次はマイ・マイさんあなたはもう願いを使ってしまっているのでこのトリックは不可能です。理由は後に説明いたします。」
「では犯人はだれなのですか。」マイマイ君が言った。
「犯人は君ですね、メグ-」できる限りの落ち着きを払いながら私は言った。
「なぜそうなるんだい大親友第一君はさっき天窓から飛び込んで侵入したと言っていたが、こんなでぶでぶでドンクサイ僕がそんな高いところから飛び込もうものなら大けがをしてしまうだろう。だがそんな様子は私には無いだろう。」
「そうだねだから私はこのトリックを思いついた時最初太っていた君は真っ先に除外したさ、怪我をしている感じもなかったし、マイマイ君のような身軽さも君には感じなかったしね。
でも君は「豚は飛べない」という固定概念を逆手に取って天窓から飛んだのさ。
そして君はわざと怪我をしたんだ、
次に君は願った。この横にある男を動かして命を奪う代わりに私のけがを治してくれとね。
別に指紋がどうこう何て大した話ではなかった。
死人に口なしとはまさにこのことだね。というか、君はやり返したんだブリーフが妻にやったことと同じことを。
正確に言えば、ブリーフがやったことは生き人の口を取ったという感じだが、それであっているよねメグ・ウィンティー君。
ローバーさんの方が苗字を変えてしまっているようだった事と君のあだ名のせいですっかり失念していたよ。君の苗字がウィンティーであることを
つまり君の曾祖母であるローバーウィンティーさんなんだろうあのブリーフに言語を消された彼の妻ってのは」曾祖母であるかは分からなかったが、年から考えたらそんなものだろうと推測して言った。
少しの凪が流れた「ふんすふんす、そうだよ良くわかったなさすが俺の見込んだ男だ。豚なのに鼻が高いよ。いつから俺を疑ったんだ」
「最初に異変を感じたのは君が豚野郎と私に言われたときに神に祈ったその時、普通豚の後に神は連想しないんじゃないかなあと思ってさ、ボケだとしてもさすがに失礼かなってなんか違和感あったんだよな。まあ別に君が犯人でもどうでもいいやとその時は思っていたんだけど、、、」
「そんな些細なことかよ糞やられたなぁ、そういえばさっき動機が分かったとか言ってたけどそれはどういうことや」私がしゃべれないでいると、親戚のお兄さんがヒーローごっこの怪獣役をやるみたいに彼はわざとらしく口を開いた。
「いや最初私は君の曾祖母をしゃべらなくさせたブリーフを恨んでやったのかなと思ったんだ。
でも違うだろだってそれならブリーフの命と彼女の願いを使って彼女の言語だけを戻してもらえば済む話だ。だけどそれをしなかった。
いやもうできなかったんだ。だってあの願いは彼女と彼二人で願がって二人ともに降りかかる事だったんだから。
口だけ閉ざされ一人残された彼女を見た君は彼を殺すためではなく彼女を殺すためにやったんだろう。
だから、このバカげた神の条件を無碍にするために君は彼をそのまま殺すのではなくわざわざ動かした。ドミノを崩すみたいに根元から神との約束を破ったんだ」息を荒げながら私は言った。
「もういいよわりいな俺が言わせたのに」彼はそのまま続けた。
「そう俺は大好きなおばあを殺すために彼を殺したのさ、だって不憫じゃないか、何事をもしゃべることもできず、あいつの時計だけが止まっちまった状態で生き続けるなんて、それがあいつにとっての本望だとしてもさ取り残されたおばあがそれを願っていたかなんて事はわからないんだ。ひどい話じゃないか、
さっき言った認知症てのも実は嘘なんだ、彼女はすぐ死ぬってだけで至って健康だった。俺みたいな殺人鬼の豚芝居に付き合ってくれるぐらいにはな、俺は俺のおじいがどうなろうともどうでもよかったんだ。ただ生きて死なないだけならさ。でもあいつはおばあを縛り付けた自分の目的のために、
夫の夢のためにおばあが死ねないことを狂おしいほど悩んでいる姿を見ていたら。、、、、、
不老不死何て何がいいんだか限りがあるから人生ってのは美しいんだよとか言ってもいいか。
全国の殺人鬼代表として。はは
最後に俺のおごりでいいからお前と焼き肉行きたかったな」ひしゃげた笑顔で彼は言った
「すまないな、これは仕事だったみたいだよ」私は涙を瞼からこぼさぬようにまた彼にその目を見られぬように斜め上の女神を見ながら言った。
「どんな理由があったとしても人は殺しちゃだめだとか言ってもいいか、全国の死人で遊んでた人間代表として」その時ステンドグラスの女神がぼやけた状態で光を乱反射したせいか宝石の心臓がバクバクと鼓動を響かしているみたいな感じになった。
私がそう言うと、6回くらい携帯電話をタップして彼はどこかに連絡し教会を後にした。
やはり神様何てろくなもんじゃないなと私はその時思った。




