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15の夏に恋をした  作者: 新浜ナナ
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プロローグ

 今でも時々思い出す・・・


 あれは思春期特有の夢だったのだろうか。


 当時、家族や友人に話しても、壮大な夢だね、と感想を述べるだけで誰一人信じてくれなかった。


 私の身体は確かにそこにもあって、そして、半身を置いてきてしまった様に、今の私は色々な事が空虚だ。







 ・・・・・



「「ふたばおねーちゃん!!」


 男の子と女の子の、元気で可愛い声が後ろから聞こえた。


 お線香の香りが漂う静かな境内でぱたぱたと走る音が近づく。

 振り返ると目線の下で、同じまん丸の顔と目が私を見上げている。


「おー、ツインズ久しぶり、元気だった?」

「「げんきだよー!」」


 こげ茶色の短髪と、こげ茶色のおかっぱがまた元気に笑う。

 本当に、この子たちは良く似ている。



「お前らママの手伝いをしなさい。って双葉ちゃん?久しぶりだね。綺麗になったな~」


 双子の後ろから良い声のイケオジが私を見て懐かし気に微笑む。

 良く笑う義理のおじは目元こそ少しシワはあるものの、初めて会った時と変わらず顔が良い。



「亮さん年頃の女性にそんな事言わないの。」

「え、これセクハラなの?」


 ププ、相変わらずだなぁ。

 双子とおんなじ目をしている叔母が旦那さんをたしなめている。

 昔から良く見て来た光景だ。



「しーちゃん久しぶり。」

「うん、双葉久しぶりだね。少し痩せたでしょ。ちゃんとゴハン食べなさいね?」

「うちのママよりママっぽいよw」


 そう言うと、少し困った様にしーちゃんは笑う。

「ママだって心配してるよ?」


「そうかな?」

 そう言おうとして止めた。

 しーちゃんがまた困った顔をするかもと思ったからだ。

 小さい頃から私を大事にしてくれた人を困らせたくない。


「そうだね。でもゴハンはちゃんと食べてるよ。」

「そう。」


 何か言いたげなしーちゃんに、居心地を悪くしていると両手を引っ張る柔らかい感触があった。


「ねぇ、ふたばおねーちゃん、ひなねおなまえぜんぶかけるようになったよ!」

「ぼくもー!ぼくもかけるよ!」


 両手のかわいいに助けられて、しーちゃんから自然と目を逸らす事が出きた。

 双子達と会話をするも罪悪感からとらっとしーちゃんを盗み見する。

 ちょうど他の親戚のおばさんに弾丸トークをかまされていた。

 あのおばさんにつかまるとしばらく逃れないので、申し訳なくなりつつもちょっとほっとした。


 ママの話しはしたくないんだ、ごめんね。しーちゃん。



「お線香あげるぞ~」

 遠くからじいじの呼ぶ声がする。



 今日はひいばぁの七回忌だ。 


 わざと家族と少し離れた場所にいた私は最後ゆっくりとお墓に手を合わせる。



(ひいばぁ来たよ。あの夏の日の事覚えてる?)






年の瀬にこんばんは!


初めまして、またはお久しぶりです。

不定期ですが、連載始めます。

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