表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/44

魔法の概念

会議の次の日はこの世界に来て初めてのんびりと過ごすことができた

グナール達と料理を作り、空いた時間は明日の予習にとジオラルドから魔法に関する本を借りて読んだ

魔法には光、火、水、土、雷、風の6つの属性があり、適正を持つ属性の魔法が使える

適正は人によって様々だが、大体2つか3つの属性を持つ人が多い

魔法を使うには魔力が必要で、魔力は胸の中心にある核と呼ばれる器官から生成され血液のように全身を絶えず巡っている

魔力量は遺伝に関係するのが殆どだが、隔世遺伝により親より強大な魔力量を有する者も少なくない

逆も同じだ

当然魔力量が多ければ強力な魔法が使える

魔法を発動させるには体内の魔力を属性変換し、体外へ放出する必要がある

大切なのは魔力の流れを操作して属性変換する感覚と、どのように放出させるかの明確なイメージだ

簡単な魔法でも最初は詠唱を補助として使い、慣れてくると詠唱なしで魔法を発動する練習をするのが一般的だ

基本的には適正を持つ属性の魔法のみが使用できるが、魔石を媒体として使うことで適正を持っていない魔法でも使用可能だ


なんだか全然ピンと来ない

本当に私にも魔法が使えるのかな?


本を閉じ、ラリマーが入れた紅茶を飲んで背伸びする

明日からいよいよ魔法の勉強が始まる

楽しみなのだが、不安も大きい


「柚子様、そろそろ夕食の時間です」

ラリマーの言葉に外を見ると、日が沈みいつの間にか部屋のランプが灯されていた

本に夢中で時間を忘れていたようだ


「食堂に行きます」

ラリマーと共に食堂へ向かった


「ラリマーも魔法を使えるの?」


「はい。私は火、雷、風の属性を持っています。得意なのは火属性魔法ですね」


「得意な属性とかあるんだ」

本には載っていない情報に興味が沸く

「そうですね。人それぞれなのですが、適正があっても使い辛い魔法も御座いますし、逆に最初から詠唱なしで使える魔法も御座いますよ。人によってイメージし易いものと、しにくいものに差があるのが要因だと言われています」

階段をゆっくりと降りる柚子を見守りながら丁寧に説明するラリマーに成る程、と頷いて本の内容を思い浮かべる


大切なのは感覚とイメージだって書いてあったもんね

そもそも魔力とか核がよくわからない

魔石を使ってリーファンや洗面台を使えたから魔力はあるんだろうけど……


考えている内に食堂につき、声を掛けてくれる隊員達に応えてから夕食を食べる

ジオラルドは今日も執務室で夕食を取るようだ

今日は野菜をたっぷり入れ塩コショウで味付けしたスープに卵を溶いた卵スープだ

ふわふわの卵がスープとよく合っていて、本を読んで固まった体が解れていく


夕食を食べた後はシャワーを浴びてすぐにベッドに入った

体が子どもだからか、9時以降になると眠気に勝てない

働いている時は睡眠時間が5時間程度だったのが今は10時間睡眠だ


因みに時計も各部屋に普通に置いてあり、元の世界と同じ1日は24時間だ

朝7時に起床し、顔を洗って服を着替える

今日の服は黄色いシンプルなシャツに、小さな可愛らしい花があしらわれた白のスカーフを襟元で蝶々結びにし、ハイウエストのふんわりとした膝丈の茶色のキュロットを履いている


朝食を取った後、執務室へ向かった

ジオラルドは今日も書類仕事に追われているようだ

机に置かれた書類の束が幾つも積み上げられている

「ジオさん、おはようございます」


「ああ、おはよう。掛けて待っていなさい」

ラリマーが柚子とジオラルドに紅茶を入れる

ソファに座って紅茶を飲みながらジオラルドを待つ


5分程経ったところで、ジオラルドが椅子から立ち上がった

「今日はそなたに渡すものがあって呼んだのだ」

腰についているマジックバッグからA4サイズの木箱を取り出し、ソファの間にあるテーブルに木箱を乗せた


ラリマーが木箱の蓋を開けると、藍色の滑らかなビロードの布が入っていた

「これは?」


「第2騎士団所属を証明するマントだ」


広げて貰うと端に沿うように金色のラインが入っており、背中に小さくラインと同じ色で剣と盾の刺繍が施されている

羽織ってみるとマントは柚子のお尻の長さまであり、重厚感のある生地に反して殆ど重みを感じない

ジオラルドがつけている物は襟が大きくスッキリとした印象のマントだが、柚子のマントはフードがついており、裾もふんわりと広がっている

「ありがとうございます」

くるりとその場で回ってマントの裾が浮き上がるのを楽しむ


ジオラルドが柚子を見て頷き、ソファに腰掛ける

「ああ。サイズが少し大きいようだが、子どもは直ぐに成長すると聞いているので問題ないだろう。マントには守護の魔法が付与されているので宿舎から出る際は必ずつけるように」


「わかりました」

ラリマーがマントを外し、丁寧に木箱に戻した


「私は仕事を片づけねばならぬので付いていけぬ。馬車を手配しているので昼食を取ったらラリマーと共に王城に向かいなさい」


「昼食を取ったらですか?確か総師は夕方にと仰っていたはずですが……」


「総師から連絡があって早まったのだ」


「そうなんですね……わかりました」

馬車という言葉に少しときめくが、ジオラルドが一緒ではないと知って少し不安になった

「そんなに不安そうな顔をしなくても大丈夫だ。ラリマーもついているし、城の警備騎士にも連絡はとってある」


そんなに顔に出てたかな?

まぁ初めての場所に行くわけでもないし、大丈夫だと思っておこう

うん、ラリマーが一緒ならきっと大丈夫


気持ちを切り替える為に話題を変える

「ジオさんも魔法を使えるんですよね?」


「ああ」


「得意な魔法とかあるんですか?」


「得意な魔法というわけではないが、風属性魔法は使い勝手が良いのでよく使うな。逆に火属性魔法はあまり使わないが」


「使い勝手が良い……ですか。他にも適正のある属性はあるんですか?」


「風属性魔法は周りをあまり気にせずに殺傷能力の高い魔法が使いやすいのだ。他は水と土だな」


なんだか物騒な単語が聞こえたが、聞かなかったことにした

「4つの属性に適正があるんですね」


「ああ。本をしっかり読んでいるようだな。総師も教えるのが楽だろう」


「そうだといいんですけど……魔法が使えるかと思ったらわくわくします。本の内容も知らないことばかりで面白かったですし」

教わるのが楽しみです、と笑うと頭を撫でられた

「しっかり学んできなさい」


「はい!」


昼食まではゆっくり過ごすようにと言われ、部屋にもどってまた魔法に関する本を読み進めた


時間はあっという間に過ぎ、昼食を食べてマントをつけて宿舎から出ると馬車があった

前にジオラルドがランドーと言っていた丸い船底に屋根が付いたような形をしている4人乗り用馬車だ


御者に一礼して近づいてみると、乗り込み口が以外と高く一人では乗れそうにない

「柚子様、失礼します」

ラリマーが柚子を抱えて乗せてくれた


中は赤い布が張られたクッション性の高い座席が前後にあり、高さは150cmくらいだろう

ラリマーが屈みながら入ってきた

「柚子様、こちらへ」


後ろの席を進められ、よじ登るように座席に座った

ラリマーが前の座席に座ると、馬車はゆっくりと動き出す


ガタガタという音の割には振動が少ない

窓の外を眺めると、抱えられて歩いた時とはまた違った景色に見える

「馬車なんて初めて乗ったよ」

歩く速度より早く過ぎていく景色を眺めながら、なんだかお姫様にでもなった気分だと柄にもなく思った


「これから乗る機会も増えて来るはずです。乗り心地は如何ですか?」


「すごく良い。振動も少ないし、流れていく景色がなんだか新鮮な感じ」


「それは良かったです。馬車を使うと王城まではあっという間ですよ」

柚子を見て微笑むラリマーに笑みを返し、また景色を眺めた


王城へは5分も掛からず付いた

ラリマーに手を貸して貰い、城門の前で馬車から降りる


いつもは門番の人にジオさんが挨拶してたけど私はどうしたらいいんだろう

そう思っているとラリマーが一歩前に出た

「第2騎士団所属、ラリマー・ファーキマーで御座います。総師の元へお願い致します」

ラリマーが一礼すると、警備騎士が頷いて城門を開く


ラリマーの名字はファーキマーっていうんだ

初めて聞いたな


「柚子様参りましょう」


「あっ!うん!」

ラリマーと共に魔方陣に乗り、正方形の部屋へ転移した


今度は転移酔いは殆どない

ラリマーは柚子の顔色をみて大丈夫だと判断し、部屋の奥の魔方陣に柚子を招く


「ここの転移は柚子様が行って下さい。私も常に柚子様から離れないつもりではいますが、何か会ったときの為に練習しておきましょう。総師を思い浮かべながら魔方陣に手を触れて、魔力を流して下さい」


「わかった」

頷いて魔方陣に手を伸ばそうとして、ふと思い出す

一回目の転送は総師の部屋に行って、二回目は会議室だった

どうやって行き先を決めてるのかな?

疑問に思ってラリマーに聞いてみると、かなり高度な魔方陣らしく、先ずは来訪者が来ているという情報が届き、許可した者のみ総師のいる部屋へ転送するような仕組みになっているそうだ

つまり許可の無いものはこの部屋から先へは進めない

セキュリティ対策がしっかり成されたお城だなと感心しつつ、総師の顔を思い浮かべて魔方陣に触れる

手のひらから何かが流れていく感覚があり、視界がぼやけ浮遊感に包まれた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 猫さん⑨ですか? 光忘れて氷になってますよ(笑) 光と言いつつ太陽イメージして大惨事(笑) とりあえずターゲットはもちろんボルダーで(ルーチン)
[気になる点] 炎系でイメージを熱核 風系でイメージを竜巻(カテゴリー5) 氷系でイメージを液体窒素 水系でイメージを映画の大津波 雷系でイメージを荷電粒子砲 大地系でイメージをアメリカ映画の大地震(…
2020/02/04 11:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ