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晩御飯を作りましょう

綺麗に整理整頓された食糧庫に行き、使う食材を選んでいく

しんなりして色が少し悪くなったキャベツに葱、芽が出ている大量のじゃが芋に人参に玉ねぎ、紙に包まれた少しパサついたにんにくもあった

オリーブオイルと牛乳、バター、味噌、塩、胡椒、肉が僅についている骨付き肉も台車に入れ、厨房へ戻った

今日のメニューはシチューだ

「先ずはスープストックを作ります!」

本当は香草も欲しかったんだけど、ないものは仕方がない


「スープストック?何だそれ」

グナールが初めて聞いた言葉だと首を傾げている


「スープストックとは出汁……えっと、旨味の詰まったスープ等に使うものです。手間はかかりますがスープストックがあれば料理の美味しさがグッとアップするんですよ!」

柚子が拳を握り力説するがあまり伝わっていないようで、皆の反応は薄い


「兎に角実際に作ってみましょう!」

力のありそうなアイドに骨付き肉を鍋に入る大きさに切って貰い、グナールとクレースには野菜の皮を剥くよう指示する

「じゃが芋の芽が出ている部分は大きめに削り取って下さい。後、緑色になっている所も捨てて下さいね」


「何でそんな面倒な事を?」

芋の皮を剥いているクレースが不満げに柚子を見る

「芋の芽や緑の部分は毒が有るんですよ。食べ過ぎたら死んでしまう可能性もあります」

「毒!?……わかった」

クレースは毒があると聞き慌てて丁寧に芋を剥いていく


柚子はグナールとクレースが剥いた野菜の皮を仕分けする

痛んだものは捨てて、使えそうな物は綺麗に洗った

因みに厨房にも、いつの間にか柚子用の踏み台が置いてあった


アイドが骨付き肉を切り終わると、50cm程の寸胴に入れて下茹でする

因みにガス台の火も魔石でつける

流す魔力によって弱火や強火を切り替えることが出来るようになっていた

一度火をつけると一時間程は何もしなくても火が消えないらしい

「下茹でが終わったらお湯を一度全部捨てて、骨付き肉を洗います」

グナールとクレースが物凄く面倒そうな顔をしている

「こうすることで血や汚れを取り除いていくんです。面倒ですが臭みがとれて美味しいスープに一歩近づきます!頑張りましょう!」

納得していない様子で渋々柚子の言うとおり作業する


ここで妥協しちゃ駄目だ

実際に食べてみたら面倒だけど必要な作業だってわかってくれるはず!

心を鬼にして私は頑張る!


不満を口にしないアイドと共に無心で骨付き肉を洗い、綺麗に洗った寸胴に戻していく

「また水をたっぷりと入れて、今度は野菜の皮や葱を一緒に茹でます」

先程綺麗に洗った野菜の皮と大きめに切った葱を入れて煮込んでいく

沸騰すると、灰汁がでる

「これは灰汁と言って、苦味や渋味になるので丁寧に取り除きます」

灰汁取りは生憎なかったので、お玉で少しずつ丁寧に取り除いていく

一度火を止め、今度は弱火にして煮込んでいく

「二時間程煮込みながら灰汁をひたすら取ります。この作業はアイドさん、お願いします」

アイドは頷くと柚子からお玉を受け取って、黙々と作業を続けた


アイドがスープストックを作っている合間にシチューの準備をする

皮を剥いた野菜を食べやすい大きさに切り分け、薄皮を剥いたにんにくをみじん切りにしていく

柚子がみじん切りをしようとしたのだが包丁が大きすぎて苦戦していると、グナールが危なっかしいから貸せと変わってくれた


次はホワイトソースだ

「グナールさんはじゃが芋を半分ほどすりおろして下さい」

「また面倒な……いや、わかった」

グナールが文句を言いそうになるが、にこりと口だけで笑っているラリマーを見て素直に頷く

流石ラリマーだ


グナールが凄い勢いでじゃが芋をすりおろしていく

ラリマーも手伝い、あっという間に滑らかなじゃが芋のすり下ろしができた


「クレースさんは鍋にバターを入れて溶かしてください。弱火で、焦げ付かないよう慎重にお願いします」

先程野菜の皮剥きをしている二人を見て思ったのだが、グナールは作業は早いが少し雑で、クレースは作業は遅いが一つ一つが丁寧だった為、繊細な作業はクレースに任せた方が良いと判断したのだ


バターが溶けたらすりおろしたじゃが芋を加え、香りが立つまでよく混ぜながら炒める

次に、牛乳を一気に加え馴染ませながら炒めていく

段々とクリーム状になってきた所で塩胡椒を加えて味を整える

因みに柚子が指示を出し、ラリマーが鍋に入れていく係だ

どれも重すぎて持てないし、柚子の手には調理器具は大きすぎたのだ

ラリマーが軽々と材料を持ち上げる姿にびっくりしながら指示を出していた


量りがないから全部目分量だったけど上手くいったかな……

ティースプーンで少し掬い、口に入れた


……うん!美味しい!

小麦粉変わりにじゃが芋を使ったけどちゃんとホワイトソースが出来てる!

心配そうに見守るクレースに、笑顔を向ける

「成功です!クレースさんも味見してください」


クレースが恐る恐るホワイトソースをティースプーンで掬って口につける

最初は舌にソースを少し乗せただけだったが、暫く味わった後パクリとティースプーンを咥えた

「なんだこれ!美味い!今までこんなの食べたことないぞ……」

クレースの反応に柚子もほっとする

口に合うみたいで良かった


「ずるい!俺にも食わせて下さいよ!」

クレースのティースプーンを奪い、グナールも味見をする

「……美味い」


「だろ?俺もう一口」

今度はグナールのティースプーンを奪い、クレースがティースプーンにホワイトソースをたっぷりと乗せ、またパクリと食べた

「クレースさんだけずるいですよ!俺ももっと食べたい!」


このままじゃ味見でなくなっちゃう!

「二人とも待ってください!まだ完成じゃないんですよ!」

慌てて二人を止めていると、アイドとラリマーから視線を感じた


「アイドさん、ラリマーも一口ずつ味見してください」

柚子の言葉を待っていたようで、二人も味見をする


「美味しいです。柚子様は凄いですね」

ラリマーは頬に手を当て、ほう……とうっとり息を吐く

「……美味い」

アイドは頷きながら柚子を優しい手つきで撫でた


「殆ど私は作業出来てないんですけどね……皆さんのおかげです。作業はもう少しありますので、頑張りましょう!」

「「おおー!」」

最初は半信半疑だったようだが、美味しい物が本当に食べられるとわかり皆やる気に満ちた表情になっていた


「オリーブオイルでみじん切りにしたにんにくを炒めます」

クレースが寸胴で焦がさないよう木ベラで混ぜながらにんにくを炒めていく

暫く炒めていくと、にんにくの香ばしい香りが広がってくる

人参、じゃが芋、玉ねぎ、キャベツを加えて火がある程度通るまで更に炒める

「ここでアイドさんが作ったスープストックの出番です!」

スープストックを野菜を炒めている寸胴に濾しながら注ぎ、今度は煮詰めていく

「煮詰めている間に骨付き肉の肉を削ぎ落としましょう!」

皆で手分けをして肉を削いでいく

煮込んでいたのでナイフを使えば簡単に取れた

野菜に完全に火が通ってから肉を半分ほど寸胴に入れ、再度煮込む


「ホワイトソースの中に煮込んでいるスープを加えて馴染ませていきます」

この作業はクレース担当だ

丁寧に混ぜながら、スープを馴染ませていく

スープに馴染ませたホワイトソースを野菜と肉を煮込んでいる寸胴に混ぜ合わせ、また煮込む

トロリとしてきたら味を見ながら塩胡椒、少量の味噌を加えて完成だ!


「出来た……のか……?」

「やっと終わった……」


「はい、完成です!皆さんお疲れ様でした!」

グナールとクレースはどさりと椅子に座り込み、大きく息を吐いた

「こんなまともに仕事したの何年ぶりだよ」

「本当ですね。疲れました……」

アイドはポンポンと柚子の頭を撫でている


「協力してくださってありがとうございました。良ければ皆さんで味見してみませんか?」

柚子の言葉にグナールとクレースは揃って立ち上がる

「「食う!」」


ラリマーが小皿に出来上がったシチューを乗せていき、皆に配った


「食べてみて下さい」

ごくりと唾を飲み込み、揃ってシチューを啜る


「やべぇ美味い」

クレースが天を仰ぐ

「何だこれ……本当に俺達がこれを作ったのか?」

皿を見つめ固まるグナール

「……」

頷きながら柚子の頭を撫で続けるアイド

3人を眺めながら、柚子もシチューを啜る


美味しい……

シチューだ……しょっぱくも臭みもないちゃんとした料理だ

涙が出そうになる


柚子の様子にラリマーが微笑む

「柚子様。これが美味しい食事というものなのですね。私、感動致しました」


「うん。……うん。ラリマー協力してくれてありがとう」


「喜んでいただけて幸いです。これからも何でも仰って下さいね」

二人で顔を見合わせて笑った

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[一言] アラート: JAPANハザード発令! 総員、食事に注意せよ! 下手をすると二度と『普通の食事』が出来なくなるぞ! 繰り返す! JAPANハザード発令 総員、食事に注意せよ! 下手をすると二度…
2020/01/30 12:06 退会済み
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