表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/44

大掃除をしましょう

ポカンと口を開けている隊員達にジオラルドは説明するより見た方が早いと、柚子を食堂に下ろし数人の隊員を引き連れて厨房と食糧庫に入っていった


しばらくして戻ってきた隊員達の顔色は悪く

「あれはヤバい」

「俺達は今まで何を食べていたんだ」

と呟いている

中に入っていない隊員達は顔色の悪い隊員達を不安そうに見ていた


「事態はわかったな。これより厨房、及び食糧庫の清掃を行う」

ジオラルドがそう宣言すると、グナールが汚れた服を着た男達を連れて戻ってきた


「何の騒ぎだ」

男達の中で一番歳上の、薄くなったくすんだボサボサの白い髪の背の低い男が訓練生をかき分け進み、隊員達を見るなり固まる


「あの人ボルダーさんじゃないか?」

「足を失くして騎士団を引退したと聞いていたんだが……」

ボルダーと呼ばれた男は舌打ちすると、ジオラルドに詰め寄った

「副団長さんよぉ、これは何の真似だ?」


「厨房と食糧庫の清掃を行う。そなた達も協力をしてくれ」

ジオラルドが無表情で告げると、ボルダーは「ふざけんな!」と怒鳴り散らした

「ここは俺達に任されてるんだ。勝手な真似はするんじゃねぇ!」

ジオラルドの胸元を掴むと、見上げる形で睨み付ける


「ここは第2騎士団の宿舎だ。権限は私にある」

淡々と告げるジオラルドにボルダーは乱暴に掴んでいた手を離し「そうかよ、勝手にしろ」と呟き食堂を出ていってしまった


ジオラルドは大きくため息をつくと、呆然と成り行きを見守っていた男達に近づく

「……これは副団長命令だ。清掃の協力を行え」

ジオラルドの言葉に、男達は小さく了承した


「じゃあ早速始めましょうかね。1班2班は厨房、ほかは食糧庫をやるぞ」

ベリルが手を叩き、暗い空気を変えるように動き出す

隊員達もベリルに続いて動き出した


「グナールは食糧庫を、他のもの達は厨房についてくれ」

ジオラルドも男達に指示を出し、食糧庫へ向かった

指示に従い動き出す男達に柚子も我に返り、慌てて食糧庫に向かった


「自室で休んでいなさい」とジオラルドには言われたが、食材を見たいからとラリマーと共に残った

自分から言い出したのに一人で休んでなんていられないよ!


「先ずは腐敗した食料の処分からだ」

ジオラルドの指示でグナールは大きな底の深い台車3台を隊員達と協力し、食糧庫の奥の扉から持ってくる

「処分するものはこの中に入れてください。後でまとめて燃やします」

隊員達が腐敗した食料を積めていくと、あっという間に満杯になった


「まだまだあるな……」

ジオラルドがうんざりした様子で呟く


「一度台車の中身を置いてきます」

グナールと隊員達が食糧庫の外へ行き、中身を空にして戻ってきた


それを3度繰り返し、漸く腐敗した食料はなくなった

棚に満杯だった食料は6割程度まで減っていた

「後は掃き掃除だね!こうなったら隅から隅まで徹底的に磨いていこう!」

ベリル達が雑巾やモップを使い、丁寧に掃除していく

柚子も届く範囲で棚を磨いた


人数が多く、力も体力もあるためあっという間に食糧庫が綺麗になっていく

腐敗臭も薄くなり、空気がよくなっていく様子を感じながら懸命に掃除を進めていく


「終わったー!」

ベリルが腰を伸ばし、手を上げる

二時間程で掃除が終わった

もちろん棚だけではなく、食事を運ぶ台車もピカピカに磨いた


掃除は終わったけどこれだけじゃ駄目だ

また直ぐに元の汚い食糧庫に戻ってしまう

「グナールさん、食料は今までどんな方法で管理してましたか?」


「どんなって……ある程度種類毎に棚は分けてるから、新しい物がきたら適当に空いてる場所に置いてってたけど」


それであの惨状だったわけだ

「では先ずは棚替えを行いましょう!グナールさん、食料を小分けに保管できる箱とかありませんか?」

「外の倉庫に確か大量に木箱が積んであったな。だけどずっと放置してたから汚いぞ?」

「ジオさん!」

ジオラルドを見上げると、心得てるという風に頷く

「見に行くぞ」

「わかりました」

グナールが頷いて食糧庫の奥の扉から外にでる

外に出ると、搬入口と思われる広場、そしてその先はあまり整備されていない大きな道に続いていた

広場の右側には家一軒分くらいの大きな倉庫があった

グナールは暗い倉庫に入ると、ランタンの灯りをつけていく


倉庫の中にはグナールが言った通り、大量の木箱が積み上げられていた

木箱は大きさが二種類あり、50センチ四方のものと1m四方のものがある

木箱はどれも汚れてはいたが、腐敗した様子もカビが生えている様子もない

ジオラルドが大きな方の木箱を軽々手に取り、くるりと見回す

「特殊な魔法が付与されているようだな」


「特殊な魔法ですか?」


「ああ。原理は解らんがこの木箱は腐敗したりカビが生えることはないだろう」


よくわからないけどこれは使える!

「お手数ですがこれを全て洗って貰えますか?」

柚子の言葉に隊員達は力強く頷いてくれた

「任せとけ!」

「柚子ちゃんの頼みなら喜んで!」

隊員達は木箱をどんどん外へ運び、手から水を出しながら木箱を洗い始める

魔法って本当便利!

私も早く使ってみたいなぁ

と考えながらグナールとジオラルド、ラリマーと一緒に食糧庫へ戻った


「先ずは野菜です!痛みやすい葉物とかは一番手前の棚に、日持ちのする芋類は二番目の棚に古い順に木箱に入れて並べます」


「古い順に?」

グナールが何故そんな面倒な事を……と呆れている


「そうした方が管理しやすいからです。新しい物がきたら、木箱に入れて奥に置いていってください。使うのは手前にある物から。木箱が一番奥までいったら今度は新しい物を一番手前に置いていきます。そうやって日々管理していけばまとめて処分する手間も省けますし、その日使える食材が一目でわかるでしょう?」

詳しく説明すると、皆が納得したように頷いた


「後は悪くなる前に塩漬けや、酢漬けにして保管するのが一番なんですけど……」

ちらりとグナールを見上げると、首を振られる

「そんな手間をかけるようなやつはいないと思う」


「日持ちのしない野菜は塩漬けで保管していると聞いていたのだがな」

ジオラルドがじろりとグナールを睨む

「俺に言われても困ります。ボルダーさんが全部仕切ってるんですよ」

グナールはジオラルドと目を合わせず、困ったように笑った


そうしていると隊員達が綺麗になった木箱を抱えて食糧庫に戻ってきた

ジオラルドが指示を出し、野菜を痛みやすいものと日持ちのするものをグナールに聞きながら仕分けをし、古そうな物を手前から順に箱に入れて並べる

同じように黒パンや干し肉は一回の食事で使う量をまとめて木箱に入れて棚に納めていく

油と酒も棚を分け、同じように古いものから順に手前に並べていった

油は全てオリーブオイルだった

後は卵や特殊な容器に入れられた牛乳も同じように並べていく

牛乳を常温保存しているのに驚いたが、容器に魔法が付与されていて常温でも20日程日持ちするらしい

バターも同じ様な形の違う小さめの容器に保管されていた

調味料も同様だ

調味料は意外にも種類が豊富で、塩以外にも胡椒や酢、乾燥させた唐辛子、味噌のようなもの、砂糖や蜂蜜なんかもあった

整理を進めていくと、黒パンはあるが小麦粉やライ麦粉がないことに気づいた

「小麦粉とかってないんですか?」


「パンにするのが手間だから入れてないらしい。ここでとってるのは黒パンだけだな」


残念、小麦粉があったらパスタとか作れたのに……

でも調味料が結構あったから色々作れそう!

期待に胸を膨らませながら、全ての食材の整理が終わった


「凄いな……今までとは違う部屋みたいだ」

グナールは食糧庫を見回し、感心していた


「厨房の方も終わっているだろう。遅くなってしまったが皆で昼食を取ろう」

ジオラルドがそう言うと、隊員達は手を綺麗に洗ってから三段台車に干し肉と黒パンを入れて厨房へと戻っていく

時間がないので昼食はスープなしだ


厨房に入ると、見違えるほど綺麗になっていた


ここの床って元々ピンクだったんだ……

壁や床はピカピカに磨かれ、淡いピンクのタイルが光っている


ガス台や洗い場、調理器具等も少し使い古した感じはあるが、どこも清潔感に溢れていた

凄い!この状態を維持出来れば病気になる人は絶対減る!

料理人の男達も満足げに厨房を見ていた


掃除に参加した皆で食堂に入り、それぞれ黒パンと干し肉をとって席につく

「皆ご苦労だった。隊員と訓練生、今日の訓練はなしだ。午後はゆっくり休んでくれ」

ジオラルドの言葉に至る所から歓声が沸き、皆が食事を開始した


「あのっ!」

柚子が手を上げ、椅子に立ち上がる

隊員達は手を止め、柚子に注目した


「皆さん、私の我が儘に付き合ってくれてありがとうございました!晩ごはん作りはは私も手伝いますので、期待しててください!」

ぺこっと頭を下げて、椅子に座り直した


「柚子ちゃんが作ってくれるんだって!」

「どんな料理が出てきても食べれる自信があるぞ!」

「楽しみにしてるぞー」

と温かい声が上がった

料理人も皆笑顔で隊員達と話をしながら楽しそうに食事を取っていた


いい雰囲気だ!これで美味しい食事があればもっと幸せになれる!

そう確信し、硬い黒パンを水に浸して口に入れた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 副団長に人事権は無いのかな? 今現在、無かったとしても幼い柚子に融通を効かせるために移譲させる事は可能だろうから調理関係者は片付けに残った1名以外はクビかな? しかし、クレームが来ないからっ…
2020/01/29 16:28 退会済み
管理
[一言] ボルダー何があったか知らんし興味もないがオメーはダメだ! 少なくとも料理どころか食材を扱う資格すらない! バイトテロのバカッター以下だな!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ