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謁見に向けて

王に謁見の申し立てをしてくれると決まり、ほっとした柚子は再度食事を始めた

部屋に残っているのはベリルとジオラルド、騒動の後からきた隊員数名だ


どんなものでも作ってくれた人に感謝して食べないと!


ほぼ飲み込むように食事を進めていく

だが3割程食べた所で手が止まった


これ以上入らない…体が子どもだから胃も小さくなってるんだ


「無理して食べる必要はない。処分してこよう」

ジオラルドが柚子のトレーを持ち上げ、カウンターの方へ行く


「ごめんなさい……ごちそうさまでした」

水を飲んで手を合わせる


そして先程のベリルの言葉を思い返した

この国では食材は全て保管、そして古くなったものから食べていくという法律になっている

只美味しいものを食べたいと言ったところで子どものわがままだと思われるだけだ

私は私が美味しく食事をとるために皆で楽しく食事をして、美味しいねと笑いあいたいのだ


その為には法律自体を変えないと駄目だ


法律を作るのも変えるのも王様


ということは……王様相手にプレゼンすればいいんじゃない?

現状を知ってもらって、法律を変えることで起こるメリットを上手く伝えることが出来ればいけるかもしれない!


ベリルはにやにやと笑う柚子に気づき、「嫌な予感がする」と食堂を出ていった


「……柚子、部屋に戻るぞ」

ジオラルドは柚子の顔を見なかったことにして、柚子を抱き上げる


「ジオさん!お願いがあります!」

手を合わせ、上目遣いでジオラルドを見る


「…………なんだ」

柚子の目があまりにもギラギラしていて、その先を聞きたくはないが聞かなければ済まないだろうと身構えた


「法律と王様に詳しい人に会って話を聞きたいです!」

プレゼンで大切なのはまず情報収集だ

王様が何を重視して政策を取っている人なのか、そして今の法律ではどんな問題が起こっているかなど詳しく調べなくてはならない


「そんなことか。一先ず執務室に向かう」

ほっと息をもらし、執務室に向かった



ジオラルドは執務室に戻ると柚子を下ろし、執務机の引き出しの中から緑色の小さな宝石を取り出した

「ジオさん、それはなんですか?」

ジオラルドの手元を覗き込む


「リーファンだ。」


リーファン?何それ?と眺めていると

「この魔石に魔力を込めて相手と言葉を思い浮かべると、手紙となって相手に転送されるのだ。緊急の連絡などに用いる」

ということらしい


「すごい便利ですね」

打ち込む必要のないメールみたいなものかな?

どんな原理なんだろう


ジオラルドが魔石を握りしめると緑色の小さな光が灯り、手を開いた時には魔石も光もなくなっていた


「君も使ってみるか?」

小さな緑の魔石を1つ取り出して柚子に手渡す


「誰に送ったらいいんでしょう?」

というか私にも使えるの?


「私に送りなさい」


「えっ!目の前にいるのに?」


「リーファンが来るところも見ておいた方がいいだろう」


「わかりました。」

なんだか緊張する

目を瞑りジオラルドを思い浮かべた後、お世話になってますと頭の中で呟くと魔石がほんのりと熱を持ち、消えた


目を開けるとジオラルドの目の前に緑色に光るハガキサイズの封筒が浮かんでいた

ジオラルドが封筒を手に取ると光と封筒が消え、便箋だけが残る


「ちゃんと出来てますか?」

便箋を見てみたいが全く届かない


「ああ、出来ている。君の部屋にも幾つか置いておくから何かあったら使うといい」

良くできましたという風にジオラルドは柚子の頭を撫でた


「ありがとうございます」

褒められたのなんて何年ぶりだろう……

少しむずむずして恥ずかしいけど嬉しい


えへへと笑っていると、ジオラルドの元にまたリーファンが届いた


「……」

手紙を見ているジオラルドを見上げていると、便箋が消えた


「総師の元へ向かうぞ」

ジオラルドは柚子を抱き上げ執務室を後にした

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