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異世界召還

初めての投稿です。

みきり発車でつたない文章ですが、楽しんで描いていきたいと思います。

「ついてない…」

ヒールの折れたパンプスを見て、ため息をつく。


私の人生はついてないの連続だ。

中学の時に母を病気で亡くし、父は高校の卒業式の日に一緒に暮らしたいひとがいる、すまないと言ってアパートを出ていって以来会っていない。

それから一人暮らしをしながらブラック企業で毎日くたくたになるまで働いている。

一週間前までは同棲していた彼氏がいたのだが、浮気した挙げ句に結婚資金として貯めていた通帳を持って出ていった。


「はぁ」

パンプスを爪先で引きずりながら薄暗い夜道を歩いていく。


一度も染めたことのない真っ直ぐな黒い髪を一つにまとめ、襟に控えめなフリルのついた白いシャツ、紺のスキニー、最低限の化粧を施した顔に眼鏡を掛けている

所謂地味なOL。

小山内柚子おさないゆずはもう何度目かわからないため息をつく。


コンビニが見えてきた。

明日は久しぶりの休みだしお酒でも買おうと密かに楽しみにしていたのだが、この靴が人目につくのは恥ずかしい。


幸いコンビニからアパートまでは歩いて5分だから一度家に帰ってから買い物に行くか…でも家に帰ると面倒で出たくなくなるきがする…

そんなことを考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。


「小山内さん?」


聞きたくない声にまたため息が出そうになる。

振り替えると膝上の桜色のタイトスカートに谷間が見える程胸元があいているクリーム色のシャツ、大きな二重の眼には茶色のカラコン唇は薄いピンク色、金髪に近いふんわりと緩く巻いた髪をした20代前半の女性がいた。

社内でも男性からよく声をかけられ、上司からは気に入られているが女性社員は皆冷めた目で彼女を見ている。だがそれを気にしている様子はない。

柚子は同期の彼女、築山梨奈つきやまりなのことが苦手だ。

入社した当初から二人になると必ず笑顔で嫌味を言ってくる。気にしないようにはしているのだが、疲れているときに彼女に会うのは精神的にきつい。


「小山内さん?」


振り向いて固まっている柚子に梨奈は笑顔で近づいてきた。


「築山さん…」


「偶然ね。こんなところで会うなんて」


ふふっと口だけで笑顔をつくる梨奈は柚子の足元に目を向け、獲物を見つけたかのように笑みを深くする。


「靴、どうしたの?」


「ヒールが折れただけ。もう帰るから、お疲れ様」


背中を向けて歩き出そうとしたが、腕を掴まれた。


「家近いのよね?ちょっと遊びに行ってもいいでしょ?そんな靴じゃ歩きにくいだろうから、私が支えてあげる」


「ごめん、疲れてるから」


「明日休みじゃない。

彼氏に浮気された挙げ句に捨てられたんでしょ?一人でいても寂しいだろうから一緒にいてあげる」


梨奈の言葉に目を見開いた。


「なんで…」


会社にプライベートなことを話すような親しい人はいない。

なのに何故梨奈が知っているのか。


「私ね、彼に頼まれてて…あなたの家に忘れ物したらしいから」

柚子の腕を掴んだまま楽しそうに笑っている。


「なん…で」


「小山内さんの彼氏だなんて最初は知らなかったのよ?偶然行きつけのバーで出会ったの。彼ね、彼女が変わってくれないって嘆いてたわ

付き合ったらもう少し見た目に気を使ってくれると思ってたのに、ずっと地味で隣を歩くのも恥ずかしいって。気持ちがどんどん冷めていくのに彼女から結婚を迫られて困ってる…とか

何度も飲みながら色々な話をしていくうちに自然に…ね?」


もうこれ以上りなの話は聞きたくない、そう思うのに体が動かない。

ショックだった。彼はいつもそのままの柚子が好きだと言っていたのに…

結婚資金を貯めようと言ったのも彼からだったのに…


初めて好きになった人だったのに…


涙が出てきてはっとする。梨奈の前で泣きたくない!

慌てて目を擦ろうとした時、眼鏡が外れた。下に落ちていく眼鏡がスローモーションのようにゆっくり見える。


カシャンと眼鏡が音をたてて地面に落ちた瞬間、青白い光を放つ魔方陣のようなものが柚子と梨奈の足元に浮かんだ。


視界が真っ白になりあまりの眩しさにめを瞑る。

暖かなものに包まれたような浮遊感を感じ目を開けようとしたとき、急に浮遊感がなくなり、どさりと尻餅をついた。


「いったー」


お尻をさすりながら目を開ける


「なに?ここどこよ!」


声をあげたのは梨奈だ。

周りを見渡すと石造りの立派な柱が柚子を中心に3mくらいの円を描くように並び、目の前にはりなが立っていた。

円の外には白いローブを着た人が20人程膝をついて頭を下げており、横には映画で出てくるような騎士の格好をした体格の人達が並んでいる。


「どうなってるの!ここはどこよ!」


あまりにも現実とはかけ離れた光景と、梨奈のキンキンとした声に目眩を感じながら、もしかしたら夢かもと思い、何故か長くなっているブラウスの袖を捲り頬をつねる。

痛い…夢じゃないの?


はぁついてない


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