※おまけ※マリーにはオフレコでお願いしたい
「まぁそれはそうとして、マリーのことを語りたい」
「は?」
「今日は初めてマリーと雑談が成立した記念すべき日だ。俺たちは語り合うべきだと思う。まずマリーがいかに可愛いかについて。基本的に全部可愛いのは言わずもがなだが……」
「……その話、明日じゃ駄目です?」
「興奮が醒めなくて眠れない」
「何のための抱き枕ですか」
「いや何のためのものだと想定してるんだ。あれは安眠のために買っただけで」
「はい、私はそういう意味で言いましたけども。逆になんと想定したと思ったのです?」
「……。いいから聞け、そんなに長くはない。まず存在が可愛いのは基本情報として」
「はい」
「美人だよな?」
「そうですね。いわゆる男ウケのいい愛くるしさとは違いますが、整っていらっしゃると思います。チュニカもお化粧のしがいがあると言って、楽しそうです」
「そうそれだ、化粧。……さっきはノーメイクだよな?」
「そうですね。髪も結い上げていないしドレスでもないですね」
「…………全身が輝き、肌が透き通って見えた。妖精かと思った」
「……ずいぶん背の高い妖精ですね」
「それだ。正直最初は、コレで小柄だったらもっと可愛いのにな、と思っていた。だが思い違いだった」
「あれはスタイルが良い、というのです。着ぶくれしていたときは大柄に見えましたが、コルセットが難なく締まりますからね。姿勢などはまだ矯正中ですけれども」
「女神像かと思った」
「いろいろ出てきますね」
「……ドレスアップした姿は凜として格好良かったが、あの……部屋着。……あれ……いいな。……いい」
「語彙力が急に落ちましたね。どうかしましたか?」
「……こう……自然な体のラインという……あれがな」
「どうかしましたか?」
「もちろん中身も可愛い。聡明なのに世間知らずで、知識が偏っているところがまた庇護欲をそそる。遠慮がちなのに好奇心旺盛で、聞き上手だから話していて楽しい。洗練された会話術とも社交的というのも違うがあれはいい特性だな」
「今度は早口」
「笑ったときの顔や声は、攻城兵器弩砲並みの威力がある」
「すごいですね」
「あの見目であの性格……奇跡の組み合わせだと思う。相乗効果で可愛さ百倍」
「それに関しては旦那様もひとのことを言えないかと」
「ん?」
「いえなんでも。……それより、そろそろよろしいでしょうか? ずいぶん夜が更けてきました。お休みになりませんと、明日に支えますよ」
「明日の会合は夕方からだから、昼まで寝られる」
「私は朝から勤務です。お先に失礼致します」
「正直、もうちょっと語り合いたい」
「抱き枕に向かってどうぞ」
「……はあ。……眠れない…………」