キュロス・グラナド公爵に祝福を
この日――アルフレッド・グラナド公爵の葬儀が催された。
ディルツ王国の民はみな悲しみに暮れながら、その清らかな御霊を天へと送り出した。
その後、グラナド家、すなわち公爵位への継承式が執り行われた。王宮騎士団の砦、誓いの間に、ディルツ王国騎士の制服を着て臨むキュロス様。
やはり正装をし、剣を構えた騎士達が彼を取り囲んでいる。
キュロス様は、まず後方に控えるわたし達家族に一礼をし、建国の英雄像にも一礼。
緋色の絨毯を歩き進んだ先には、第三王子であり王国騎士団長、ルイフォン・サンダルキア・ディルツが待っていた。
キュロス様は、ルイフォン様にも一礼。彼の前に跪く。
ルイフォン様が剣を抜き、キュロス様の肩に軽く置く。
「キュロス・グラナド。その身、その生涯を、ディルツ王国に捧げると誓うか?」
問いかけられて、キュロス様は目を閉じ、頭を垂れた。
「誓います」
「承知した。では今この時より、王国騎士団は貴殿の戦友となる。ともに王国の剣となり盾となり、王国の誇りと、民を護ろう」
「この身に余る幸せ」
キュロス様が応えると、騎士達は剣を掲げ、それを祝福した。
これにより、かの者は王国における最高爵位、公爵の位を冠し、その地位を盤石のものとする。この名誉は、ただ彼がアルフレッドの子として生まれたからではない。一人の男として誠実に生き、この国に貢献をしてきた報奨である。そのことはディルツ王国の民ならばみな理解していることだ。
キュロス・グラナド公爵の誕生に、異論を唱える者は誰もいなかった。




