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天涯孤独の、ふたりだから  作者: 640orz
第三部 秋から、新たな日々へ
67/74

第六十六話 爪痕の、むこうがわ

 

 

 手首の腕時計としばし、にらめっこをして。深く、ひとつ息を吐いてから、レイアは病室の扉を開いた。

 既に消灯時間は過ぎている。ほかに患者のない、並んだベッドのひとつ──不知火の運び込まれたこの病院、自身の籍を置く大学病院が満床となっていなかったのは幸いだった、いろいろと融通が利く──、その傍らにじっと寄り添う、少女の姿を見る。

 

「ユッキー」

 

 モスグリーンの、ニット・セーターのワンピースを着た少女の肩は、強張りながらも覇気はなく。それでもその指先と、掌とで包み込むようにして、ベッドの上に横たわり眠る、彼女の大切な家族の手を握っている。

 

「──ユッキー。そろそろ行こう。宿泊室、使わせてくれるって話だから」

 

 眠り続ける不知火の双眸は、真っ白な包帯に包まれてそこに封じられて存在するものを窺うことはできない。

 警察への事情説明を終えて。皆が解散するという段になって以来、雪羽はこうして、姉のベッドの傍らに座って、眠る彼女の手を握り続けている。

 レイアが、そして不知火の主治医の青年がこの大学病院の関係者だからこそ、とうに面会時間も過ぎ去った今の時刻に至るまで、雪羽にそうさせてやれている。

 いや。レイアたちだけじゃない。

 白鷺さんたち一家が、ひかりの世話を引き受けてくれた。

 不知火のことが落ち着くまではうちで面倒を見るから、と。言ってくれた喫茶店主の気遣いが、雪羽を姉のことだけに集中させてやれている。

 これが、雪羽を支えられるのが自分ひとりであったなら、どうなっていたか。想像しそう思うにつけ、レイアはかの一家に感謝の念を禁じ得なかった。

 

「ユッキー。今日はもうそのくらいに」

「……レイアさん」

 

 その肩をたたいても、雪羽は握った姉の手を、放そうとしなかった。

 すべては彼女の目の前とはほど遠い場所で起こった出来事だった──彼女にはどうしようもなく、姉の入院というかたちで、結果のみを突然に提示されたのだ。

 いろいろな想いが、彼女の心の中にきっと今、渦を巻いている。

 起こったこと。

 起きてしまった、原因。

 自分がいなかったこと。

 自分がなにか、できたんじゃないかということ。

 そのどれもが今となっては……詮なきことだ。

 

「音楽がお姉ちゃんから、奪っていくのも。あたしから奪っていくのも、これで二度目です」

「……?」

 

 奪う──だって?

 

「あたしたちは、音楽に近付いちゃいけないのかもしれない」

「何?」

「姉さんのこと。晴彦お義兄さんのこと。事故は結婚前、最後のコンサートのときだった。……今回の、お姉ちゃんのことも、そう。音楽が、奪っていくなら」

 

 いったい、突然なにを言い出すんだ。

 発言の意図を測りかね、表情から怪訝の色を隠しきれず、まじまじとレイアは雪羽の、その後ろ姿を見つめてしまう。

 言葉の真意を問いただすより先、雪羽は椅子から腰を上げる。

 ごめん、行こう。

 レイアに対し言ったその表情は冴えぬまま、しかし心配をかけまいとしてか、力なくも、こちらに向かい微笑みかけていた。


                 *   *   *


「私のせいなのかなって、少し思う」

 

 ひと晩が明けて。翌朝、早朝だ。

 殆ど寝付けなかったのはお互い様なのだろう、腫れぼったい、寝不足がひと目でわかる両眼をして、モーニングの時間帯の『白夜』を訪れたリースは、彩夜にぽつりと、そう漏らした。

 

「ううん。少しじゃないね。きっとそうだって、思うよ」

「どうして」

 

 彼女の傍らで、客席傍の柱に手を置いて。思わず、そう訊き返していた。

 試験明けの、土曜日。本来なら今夜、雪羽と不知火はリースとともに、機上の人となっているはずだった。

 だがこれから、そうはならない。

 不知火はその両眼から光を奪われて、今後がどうなるかもわからない。

 雪羽もその傍らに付き添っている──到底、リースと同道することなんてできるわけもない。


「私が、のこのこやって来てしまったから。ヒビキを、ユキを通じて、シラヌイと密接に繋げてしまったから」


 彼の知る者に、シラヌイとの繋がりを認識させてしまった。それが彼女の危機を呼び込んでしまった──コーヒーの湯気を見遣りながら、リースは力なく、呟く。

 不知火の抱えていたもの。

 不知火に、起こってしまったこと。

 様々な、目の前に現れた出来事がめまぐるしすぎて、本来自信の強い性質の彼女であっても、そこに自責を感じ消沈をしてしまっているのだろう。

 

「それは、気にしすぎというか。……その部分にまでリースちゃんが責任を感じていては、背負いすぎなんじゃないかなって、思いますけど」

 

 彼女がそのように感じる心境は、理解できないでもない。だが、不知火の身に起こったことは、さまざまな人間関係が絡み合って、それぞれにズレが生じたがゆえに、降りかかってしまったことだ。

 リース自身、響さんを連れてきたのはよかれと思ってやったこと。

 スカウトの話を聞いて、不知火を紹介したのは、響さんもよかれと思ってだ。

 まして、スカウトをした張本人だって、それ自体は悪い話を持ってきたわけではけっしてない。不知火自身にその意志がなかろうと、少なくともその才能を惜しんだから、引き上げるためにその選択をして話を持ってきたのだ。

 気付き得ぬ範囲で、配慮の十分でない部分が各々にあったにせよ、誰が悪いなんて言えるわけがない。 

 

「それでも。私がコサメや、ユキのヴァイオリンに執着しなければ。このタイミングで頑なに自分の意志を貫いて、行動を起こさなければ。「たまたま」が重なることはなかった。……そうでしょう?」

 

 言い出せばきりのないことだ──思いながら、彩夜には彼女の良心からやってくるがゆえのその自責を、強く否定することが憚られた。

 

「ユキはきっと、私と一緒にはこれないと思う。それは彼女の今すべきことじゃない。シラヌイは、もちろんのこと」

 

 深く息を吐いて、頭を抱えるようにして、彼女はテーブルに肘を立てた、その両掌に顔を埋める。

 

「こんなの押し付けるようで、無責任だ。でも、お願い」

 

 苦渋の表情を隠したのは、果たして自身の言葉を恥じているからなのか。

 彩夜の前でそのように思う必要などないというのに──旧友にそのような羞恥と気遣いをさせてしまう自分をこそ、彩夜は彼女にすまなく思う。

 

「ユキをお願い。あの姉妹を、お願い」

 

 どうか、あの子たちを見守ってあげて。

 ユキの幼なじみで、一番近しい友人であるあなたが。──リースの願いは、彩夜自身、そうしたいと願うもの。

 

「お願い、アヤ」


                 *   *   *

 

 意識の覚醒による目覚めというものは、その実感について周囲に感じる光の明るさだとか、見慣れた、あるいは見慣れぬ風景だとか、……近しい、大切な人の笑顔だとかが資格によって認識されることで自身が「起きた」のだとはっきり理解できるものなのだな、と痛感する。

 

「……ゆき?」

 

 自身の、曖昧な「目覚めた」という認識と。周囲から聴こえてくる環境雑音──そう、微かな息遣いとか、衣擦れの音だとか。

 なにより、掌を包んでいる、感覚として唯一確かな実感を持つ、誰かの手のぬくもりが、その日不知火に、己の意識の覚醒を把握させる。

 そしてその感触を、直接には見えぬとても、不知火がほかの誰とも間違えるはずもなかった。

 横たわっている。その自分の身体で唯一、持ち上げられている。そんな掌から伝わってくるぬくもりは、妹のものに相違なかった。

 

「お姉ちゃん。……目、覚めた?」

「ゆき」

 

 ベッド上、だと思う。そこに身を起こす。

 半ば恐る恐るに、周りになにも見えぬまま。

 握られた掌以外には、シーツの肌触り。自分の、……自分の眼はどうなっているんだろう? そっと、顔の。両眼のあたりを触ってみる。

 そこに、ぐるぐるに巻きつけられた包帯の感触が指先に、あった。

 ああ。やっぱり塞がれているのか。自分のことなのに随分と遠巻きな気分の感傷を、不知火はその包帯に抱いた。

 

「ゆき。ここ、どこ? 運ばれた病院?」

「うん、そう。レイアさんは医局に行ってる。今はここにはあたしだけ」

 

 ひかりは、おじさんたちが見てくれてる。しばらく預かってくれるって。

 

「気分はどう? なにか、飲む? ペットボトルのお茶ならあるけど。ポカリとか、欲しいなら買ってくるよ」

 

 真っ暗な視界の中に、つとめて明るく振る舞う、妹の声が響く。ほかは、些細な音を除けば病室は静かで、……ここが病院で、ひと晩をそこで過ごし目覚めたのだから入院の病室であると考えるのが自然だろう、時折遠くから足音が遠ざかり消えていくのが聞こえてくるばかりだった。

 ゆきとふたりきり、というのが、見えているときより強く認識できる、そのように思えた。

 そうか、見えなくなるって。

 こういうことなんだ。

 もっと先、私はこうなるはずだった。

 思っていたよりもずっと早く、私はこうなってしまった。

 自分でも予想外なほどに、状況に対して冷静でいられてはいる。果たして実感がないからというだけなのか、それとも状況を自分自身、受け容れているのかはわからないが──……。

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

「うん? ……どう、かな。大丈夫かどうか──どの範囲を言うのか。ちょっと、わかんないや」

 

 とりあえず、今は痛みとかはない、かな。

 ずっと閉じているからなのかもしれないけれど。

 見えない。……見えない、な。

 

「ごめん、ゆき。心配かけて。ゆきはちゃんと眠れた?」

 

 不知火の問いに、一瞬雪羽からの返事は途切れる。僅かなタイム・ラグののちに、うん、平気、大丈夫、と返ってくるけれど。握った掌が強張ったのを、見えていないからこそ不知火は気付けてしまう。

 彼女の気遣いの嘘だと、なんとなくわかってしまった。

 眠れぬ夜を妹に過ごさせてしまったのは、自分なのだと。

 ダメだよ、ちゃんと寝なきゃ。……とは、言えない。

 

「ごめん」

 

 だからただ、謝罪を繰り返した。

 

「こんなにも早く、私が光を喪う。その苦しさを、ゆきに味あわせてしまって。ほんとうなら、もっと先だったんだけど」

「そんなこと」

 

 あたしなんかは、いいんだよ。咄嗟返したのであろう雪羽の声は感情を載せて、少し震えていた。

 

「お姉ちゃんが謝ることなんて、なにもない。おかしいでしょ、そんなの。被害者だよ。お姉ちゃんはただ、傷ついて。そんなの、あたしがいなければ。響さんと知り合いじゃなかったら──……、」

「ゆきに。自分自身のことや、誰か近しい人との出会いや繋がりを悔やんでほしくはないかな」

 

 私が理由だとするなら、なおさら。

 こうやっていたわられている自分が、言えるような立場ではないのかもしれないけれど。

 

「ごめん。……ごめんの上塗りばかりで、すまないんだけど。私が眠ってから、この病院にきてからなにがあったのか、知りたいな」

 

 私の、身体のこと。眼のこととか。

 それと、私を襲った女の子のこと。

 いったいどこの誰で、なぜあのようなことをしたのか。尤もその正体も理由も、彼女の着ていた制服と言葉尻からうっすらと、不知火の中にも回答のようなものが浮かんではいたけれど──。

 妹だけに問うのは、不十分で、酷な行為かもしれない。

 レイアならば、より噛み砕いて、正確に情報を行き来しあえるだろうか?

 

「ゆっくりで、いいんだ。私自身そんなに、呑み込めていないものがまだ多いから。ゆきのわかる範囲で、教えてほしい」

 

 妹が身構えたのが、その雰囲気から感じ取れた。

 彼女と。それとレイアが戻れば、概ね状況は理解できるのだろう。

 旧知である眼鏡の女医が戻ってくるそのときを、妹とともに不知火は待った。


                 *   *   *


「詩亜っ」

 

 駅前。待ち合わせをしていた相手も、詩亜自身も、昨晩不知火に降りかかったという出来事を既に知っていた。

 本来ならば、試験明けの週末である。ふたり連れ立ってデートに出かけるつもりだった。

 だが状況を知ってしまえば、友人たちのことである、ふたりきり、ただのほほんと逢瀬を楽しむというわけにはいかなかった。そういう気持ちにはなれなかった、ふたりだった。

 

「真波さん。星架先輩は」

 

 だからここで、待ち合せた。ひと足先に病院に向かった歌奈を追いかけて、お見舞いにふたり、行くために。

 不知火のもとを訪れる前に親友のことを心配した真波が、星架の家に寄ってくる必要を持っていたから。

 

「……うん、会えたよ。おばさんが、家に入れてくれた。殆ど一睡もしてなくて、動揺もしてたけど──星架、それでも昨晩よりはいくぶん、落ち着いたって」

 

 泣きはらした目で、ベッドに座ってて。自分のせいだ、自分がもっとちゃんと見ていたら、って。星架、何度も何度も繰り返してた。

 ショート・ヘアーの恋人は、訪れた友人宅での様子を詩亜へと語る。

 話をしている間、いや、おそらくは一方的にただとめどなく、星架が語る自責の言葉に耳を傾けるばかりになっていたであろうその間、彼女の背をいたわりさすっていた掌を見つめて、真波は肩を落とす。

 友の置かれた状況に、寄り添う以外のことをできなかった。その現実に彼女も打ちのめされているのだと思う。

 だがそれは自分も同じだ、と詩亜は胸の内に、空寒さを憶えずにはいられない。

 見舞いには、行ける。けれどそれ以上は自分たちが行っても、友人たちにやってやれることはない。

 不知火と雪羽、彼女たち姉妹が巻き込まれた出来事を解決してやるには一介の高校生という身分はあまりに無力だった。医師でもない自分たちには、不知火の身体を治してやれるはずもないのだから。

 できること。それは寄り添い、励ましてやることくらいなのだろう。

 自分たちにできる、たったそれだけのことを精一杯、彼女たちに捧げてやるしか、ないのだと思う。

 不知火らに対してだけじゃない。彩夜から聞いた事情が正確ならば、少なからず詩亜たちとの交流もある、彼女の弟も自分自身を責めるだろう──年少者である彼にもまた、年長者たちの、それはより年上の大人たちがすべき領分であるにせよ、ケアが必要だった。

 

「不知火の眼は、大丈夫かな──……?」

 

 親友である詩亜にとて知り得るはずもないことを承知の上で、ぽつりと真波は呟いた。

 

「しーちゃんも。雪羽ちゃんも、大丈夫でしょうか」

 

 同じ詮なきことを、詩亜もまた恋人に問い返す。

 

「わかんないよ」

 

 そう。わかる、わけがない。

 無力への痛感が共通意識となる。所詮わたしたちは、ぼくたちは。未成年と呼ばれる未熟な、なにもまだ十二分にはできない年代でしかない。

 

「ただ、不知火も、雪羽も。思いつめやすい子では、あるんだろう」

 

 手と手、とりあって。繋いで歩き出す。

 雪羽のことは、不知火の性質は、ぼくより詩亜のほうがずっとよく知っていて、わかっているはずだろう。

 責めるでなくぽつりと、真波は詩亜へと呟き、握りあった掌を引き寄せる。

 

「あのふたりには、幸せであってほしいんです。わたしや歌奈ちゃんと同じ、『ふたりだけ』の、姉妹だから」

 

 自身を引き寄せた真波の腕を、詩亜も抱いた。抱き寄せて、不安を打ち消すようにその体温に、縋った。

 

「詩亜も、歌奈も『ふたりだけ』じゃないだろ」

 

 絡めあった指先を強く握り返して、真波は詩亜に声を返す。

 

「ぼくがいる。お世話になっている人たちがいる。彩夜ちゃんたち、友だちもいる。それこそ、不知火たちもいる」

 

 そしてそれは、その不知火たちにしても同じこと。

 彼女たちにも、たくさんのものがある。

 たくさんの人たちが、いる。

 

「彼女たちがそのことを忘れなければ──きっと、不幸で終わったりはしないよ」

 

 そう、思う。

 真波の言葉は、どこか自分自身に言い聞かせるようでもあった。

 

「同じ、姉妹同士なら。詩亜のほうがより一層、あの姉妹を信じられるだろう?」


                 *   *   *


 それは、何度目の「ごめん」のあとだったろう?

 見えぬ視界の向こう、不意に触れ合っていた指先から、彼女の感触が離れていったのは。

 

「謝らないで、お姉ちゃん」

 

 続き、硬質な声が彼女から、向けられた。それはしかし、無意識に謝罪を繰り返す姉に対する、妹としての苛立ちによるものではなく。

 

「ユッキー?」

 

 より、重苦しい。

 レイアもまた、戸惑っている。雪羽に対するぎこちない反応としてのその声が、聴こえてきた。

 

「ゆき?」

 

 それまでの、彼女の雰囲気とはその声はどこか、異質だった。

 というか。……殆どそんな声を発する彼女を、見たり、聴いたりした記憶がない。それほどに──余裕のない、声。

 

「あたしは、許さない」

 

 お姉ちゃんを危険に晒した、その行為をとった女の子を。

 彼女がそうするに至った、その繋がりを生んでしまった──あたし、自身を。

 

「あたしのヴァイオリンが、お姉ちゃんの光を奪ってしまった。だったら」

 

 立ち上がる、衣擦れの音。足音が、陽光差し込んで、ぽかぽかとあたたかい窓際に向かい歩んでいく。

 カーテンを僅か引いて、滑らせるその音が聴こえてきた。

 

「お姉ちゃんをそうしてしまった音楽を、楽器を。あたしは許さないから」

 

 だから、お姉ちゃんは謝らないで。

 あたし、行かない。アメリカにも、どこにも。

 音楽になんか、左右されたりしない。お姉ちゃんも、左右はさせない。姉さんに続いてお姉ちゃんにも、音楽が危害を加えるなら。

 ずっと、そばにいる。お姉ちゃんの、すぐ隣に。絶対に、いるから。

 

「もう、ヴァイオリンには向き合わない。あたしがお姉ちゃんを、護るから」

 

 その決意表明は、ひどく、体温の低いものに感じられて。

 低い声の中、発せられた。

 

 

          (つづく)

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