74話 ひらく
ルイン学園第一闘技場ーー
さてと、そろそろ行きますかな。
バルトの試合が終わり、会場が慌ただしくきたのでアキトはそそくさと退散すべく第一闘技場を後にしていた。
あの戦いの後だったのでアキトは今日はバルトが目が覚めないと踏んで明日見舞いに行くつもりでいた。
途中ユイやエーフ、トルス、シロネ達に声をかけたが瓦礫撤去の手伝いをするらしくまだ残ると言われアキトは一人寂しく、魔導書館へ向かっていた。
「うわっ!」
アキトは第一闘技場を出て目の前にある道に出るとちょうど出くわしたクロムにぶつかりそうになる。
完全にぶつかるかとアキトは思っていたがクロムはまるで分かっていたかのように高く跳躍しながら身を翻し避ける。
青黒色の髪色でベリーショート、鋭い目つきに背丈はアキトとほぼ変わらない、細身だが鞭のようなしなりを効かせた筋肉を持ち合わせていて、制服のボタンを全開にしどこか暗い雰囲気を醸し出していた。
「っ!あっぶねーな」
クロムは華麗に着地するが、腕を庇っておりその一連の動作に若干の迷いが入り混じっていた。
「気をつけろよ」
そう吐き捨て医療棟の方へ向かって走り去って行った。
「な、なんだったんだ……」
アキトはクロムが気になったが今は魔導書館へ向け足を進める。
あの鬱蒼と茂る草木を掻き分け相変わらずな外観の魔導書館へ到着する。変わっていると言えば重力に耐えられなくなった根っこが若干下に下がっているくらいだ。
学園カードを翳し中へ入る。
アキトが前回来た時と全く変わりはない内観を余所目に借りていた本を返す。
今回魔導書館に来た目的は何冊か読み終えた本を返すことともう一つ、今日アキトは時間があるのでじっくりこの魔導書館を色々物色したいと考えている。
若干薄暗い内観は不気味さを際立たせて、何か出るんじゃないかと思わせるほど、お化け屋敷感が否めなかった。
アキトは薄気味悪さを押し殺しながら本を隅から順に探し始める。
古い建物や内装に反して本や重要なアイテムなどは綺麗に保管されていて、埃一つ無い綺麗さだった。
そして、アキトは目の目の前にある本棚に入っている『誰でもらくらく魔法習得 火属性編』というよく分からないが面白そうな本を手に取ろうと本のブックカバーに手を掛けた瞬間ーー
「うわっ!!」
ガコンッ
機械音のような重低音が響き、急に本棚が前に移動し中央から綺麗に左右にスライドし扉のように開く。
そして、隠し扉があったという驚きよりも本棚の向こう側から出て来た少女にアキトは開いた口が塞がらなかった。




