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43話 日々

宿屋パイオニアーー


 いつも通り、朝早く起床しアキトはランニングの準備をする。

 最初はこの距離を走るのに結構時間がかかっていたが、今ではタイムを二分の一にまで縮められている。

 ランニング中、いつも見かけるおじいちゃんやおばあちゃん、早朝巡回の兵士など様々な人達とすれ違うとなぜかこちらを振り向いてくる。


 そんないつもと違う気恥ずかしさにそわそわしながら走っていた。

 今日からはいつもの二倍の距離を走るので少しペースを考えながら走る。


 向こう側からトルスが走ってくる。

 トルスもまた早朝ランニングをしているらしく、アキトは今朝すれ違っていた。 首からタオルをかけ、汗を拭いながら走っている。


 トルスはこちらに気づき近づいてくる。


「もうここまで追いつかれたのか……早いなアキト」

「いやいや、俺もこの辺りで追いつくつもりだったんだけどね」


 お互い負けず嫌いで、競争みたいになる。

 そこからはさらにペースを上げほぼ全力のダッシュになり、結局何方かが追いつくことはなく終わった。そのおかげでアキトもトルスも、体力が底をつきそうだった。


 二人は汗だくになりながら宿屋に戻る。

 水を浴び新しい服に着替えるとちょうどみんなが起き出し、一階が徐々に騒がしくなっていた。


 一階に行くとトルスとバルト以外の人たちが居た。

 バルトは今日の朝に他の宿からくるらしいからもう少しかかるし、トルスは着替え中だ。


「おはようー」

「おはようなのじゃ〜」「おはよう」「おはようございます」


 挨拶を交わしアキトは、一つの大きなテーブルに皆で座り、ホルドの朝ごはんを待つ。

 今日から約七日間のレベル上げが始まる。

 アキトは今回一人でやるつもりで、他のみんなはマグリの元でシロネが視認できる範囲でまばらに広がり一人々特訓する形になっている。

 朝食が出来るまで、皆でそのことを話し、そのあとは各々自分がする特訓内容を考えていた。

 トルスも一階に来ており残すのはバルトだけだ。


 すると、宿屋の扉が開く。


「よっ!」


 そう言ってバルトと、妹が入ってくる。

 黒髪のセミロング、その艶のある髪の毛の毛先を青いゴムで結んである。大きな瞳と薄いピンクの唇は少し幼さを感じさせ、着ているワンピースのような服、被っている麦わら帽子はまさに夏をイメージさせるような子だ。

 身長もバルトの肩くらいしかなく約百四十五センチメートルくらいで、全体的に細さをイメージさせるが実際よく見てみると肉もいい具合に付いている。


「初めまして、ナナミ・ベルと申します。いつも兄がお世話になってます。短い間ですがよろしくお願いします」


 バルトとは対照的で、凄く真面目な印象がある子だった。


「よろしくねナナミちゃん〜」


 一番乗りでエーフがナナミに抱きつく。


「よろしくなのじゃ」

「バルトと違っていい子」


 ユイは皮肉めいてバルトにしっかり聞こえるよう言いながら、ナナミの頭を優しく撫でる。


「そうだろうそうだろう、ナナミは俺の自慢の妹だ!!」


 以外にもバルトはユイに言われても意に介さず、ひたすら妹の自慢を始める。

 アキトはそれを遮るようにバルトの妹に質問する。


「なんと呼んだらいいかな?」

「そうですねぇ……普通にナナミで大丈夫です」

「分かったよナナミって呼ばさせてもらうよ」


 一旦全員席に着き、朝ごはんを食べる事にする。



「では行ってくるのじゃ」


 そう言って、シロネはアキトとナナミ以外の全員を影に乗せ転移する。 ナナミはホルドの手伝いをするため宿屋に残る。

 ホルドの提案で、手伝いをしてくれたら全員分の値段を少し下げてくれると言う事でナナミも退屈せずにいられる。


 アキトは奮闘するナナミを見て、一葉を思い出す。

 あいつも何だかんだ俺の為によく色々してくれたものだーー

 アキトは懐かしい思い出を思い出しながら、自分のレベル上げ場所まで移動する。


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