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217話 アイテムとの戦い④

 この世界でのオーパーツアイテムは、その宿主によって姿形を変えてきたが、それと同時にアイテム自体の力も時代の積み重ねで強くなってきたのだ。

 宿主が強ければ、時代の積み重なった神聖な場所であればあるほどオーパーツアイテムの力は足し算方式で増えていく。

 なので、オーパーツアイテムというのは必然的に強き者、強き場所を好む。勿論、自分が支配出来ないと意味がないのでその線引きは重要になってくるが、その嗅覚はとてつもない正確さを持っているし、その探し方はアイテムそれぞれなのでとても個性的である。


「誰だ?俺の邪魔をする奴は」


 訝しげにハイドゲンは呟く。

 そう、ハイドゲンの放った空気の球は黒いドーム状の膜のようなものに弾かれてしまいシロネ達には当たらなかった。


「誰だろうな……ほんと、」

「ぁ……ぃ……と」


 ハイドゲンの目の前、顔と顔がくっつきそうなほど近くにアキトは堂々と立ちはだかるように立っていた。

 シロネが小さくかすれゆく声でアキトの名前を呼び、それを聞いたアキトはゆっくりハイドゲンに背を向けながらシロネ達の方に近づく。


「大丈夫……じゃなそうだな……」


 アキトはシロネとユイ、エーフの容態を見て即座に、回復属性魔法<上級回復/ハイヒール>で止血や、重要器官の修復を行う。


「俺が出来るのはここまでだ……少し待っててくれすぐに追加の手当をしてやるから……」


 疲れ果てて気絶したシロネと、既に気絶しているユイとエーフの上にさらに高濃度の重力のドームを張る。


「攻撃してこればよかったのに」

「あぁ?バカ言え、そんな隙一切作ってねぇくせによ」


 ユイの時とは比べ物にならないほどハイドゲンは強く興奮していた。

 一発でアキトの匂いを嗅ぎ分け、強き者それも超特殊なものだと理解する。


「全く、こんな上物が残ってるなんてやっぱ俺はついてるな!!」

「おい、ゲルトはどこやった」

「あ?誰だそいつ……あぁ!俺の元体か、ならあっちで死んでるぜ」


 ハイドゲンは指を指すとアキトはその姿を見て自然と体に力が入ってしまう。


「ほんとやわい体だよなぁ!この俺が入ってやってんのにこのざまだ。まっ!人間の耐久力なんてあてにしてなかったしな!!」

「少し、静かにしてくれないか?俺は今、久しぶりにブチ切れてて頭いてぇんだ」


 アキトはこの惨状を見て、もっと早くとかもっとシロネに気を使ってればとか様々な感情が芽生え、自己肯定する為に様々な言い訳や文句、記憶が出てくるがそれも全てこいつ(ハイドゲン)のせいにすれば一番早いと結論づけた。


「お前、いいな。俺の器にしてやるよ」

「器?」

「お前知らんのか。俺は、超太古級アイテム=オーパーツアイテムの”壱・ハイドゲン”と言う。今、乗り移るための器探してんだよ。少し手伝え」


 ハイドゲンは、アキトがどう考えていようがいまいがどうでも良く、器としては上位に位置するというだけで、ユイと同じく力関係は自分が上だと思っている。


「そうか、お前……オーパーツアイテム……」


 アキトは学園にあった魔導書館で色々調べてきたが、この世界のオーパーツアイテムに関してはあまり情報という情報は出てこなかった。

 アキトが知っているのは、この世界にはオーパーツアイテムが十一種あり、意思があること。そして、宿主を探して己の力を高めていくということだ。


「ーー選別だっ!!」


 何の呼び動作なしで、ハイドゲンはユイに放ったものと同じ空気圧縮砲をアキトへ向け放つ。

 が、その圧縮された空気の球はアキトに届く事なく地面に吸い込まれるように消えていく。


「まさか、その程度でオーパーツアイテムとか言ってんのか?」


 アキトは、軽く煽るがそんなことをハイドゲンは聞いていなかった。


「やっぱり、お前!良いな!!良い!!!」


 そう言うと、ハイドゲンは近接戦を仕掛けるべくアキトの目の前まで一瞬で近づく。そして、目にも留まらぬ速さでアキトの左側から蹴りを打ち込むがその蹴りも途中で何かに遮られたかのように勢いが止まってしまう。


「属性かあ!!全く、この世界の生き物は面白い術を使うものだ!!」


 アキトも自分の周りに重力の膜を張っており、ムルドと戦った時のように下に打ち付けるようなものではなく外に弾くような向きにしたものだった。


「ーーふっ!!」


 隙だらけになったハイドゲンの体に、右手に重力属性スキル<重力拳/グラヴィティナックル>を乗せ、軽く打ち込む。

 ただの属性スキルだが、ハイドゲンの体は軽々と遠くまで吹き飛んでいく。


「さっきのより……弱いな。そんなもんじゃないだろ!!」


 吹き飛ばされた後もハイドゲンは何も無かったかのように立ち上がり、空いた距離を詰める。


「……そうか」


 アキトは怒りの感情下にあっても、少しの余白で考え事をしていた。

 OOPARTSオンラインでのオーパーツアイテムというのはゲーム内最強アイテムとして扱われ、その効果もとてつもないものばかりだった。

 それと同時に、オーパーツアイテムにはもう一つ主の効果とは別に効果があった。

 それは、オーパーツアイテムによる攻撃や防御は、超太古級属性でないと防御、攻撃出来ないという効果だ。

 その法則がこの世界でも適用されているとすると、ハイドゲンに有効なダメージを与えられず、もし、オーパーツアイテム特有の攻撃を仕掛けてきたらアキトには防ぐ手段が無い。


 だが、これはOOPARTSオンラインと全て合致した場合ならばということなのでここがまだ分からない。

 幾ら考えても今のアキトには分かる事でもなし、分かったところで何か変わるかというとどうせ対処出来ないので何方でも変わらなかった。

 それに、この考えも怒りの感情下のちょっとした余白でしているので、その程度の事である。


「さて、肩慣らしは終わりだぁっ!!」


 ハイドゲンは右手を少し肘を曲げながら前に出し、左腕は右より少し引き、腰を十五度ほど回し、それに合わせ足を置く。


 先ほどとは空気感が変わり、アキトは別人が立っているように感じた。


「それは、俺も同じだ」


 アキトは、ハイドゲンと対照的で力を抜いた脱力した状態で、ただいつもと変わらずただ、立っているという構えだった。


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