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146話 強者の余裕

 レイ・クラウド学園転送地正午ーー


「へぇ……今年は全学園でルインを狙ったのか……そこで裏切りが発生して、どこかの学園があらかじめ作ったダンジョンの中に転送させたか……」

「本当にあいつは、だから開始前に変なやつと絡むなとあれほど言ったのに……」


 レイ・クラウド学園生徒執行会会長のハル・クロ二クスは開始三十分まだその場を動いていなかった。

 そして、その対面には、レイ・クラウド学園の生徒執行会のメンバーが顔を合わせている。

 本来レイ・クラウド学園の生徒執行会は七人いる。そして、今回の魔導修練祭のメンバーに選ばれたのが、その生徒執行会の人達とただの雑用が三人の計十名だ。


 勿論、レイ・クラウド学園に入っているのである程度の実力はあるが、何故その三人は自分が選ばれたのか全くわからない。

 ただの数合わせとは知っているが実際あまり良い気のするものではないが、魔導修練祭というものに出られるという事だけでも名誉な事なのでその気分も吹き飛ぶほどだ。


「でも、本当に七人でいいのかよ会長、流石にこの人数は驚いたんだが」

「問題ないさ」


 今回学園史上二回目になる最小限の人数での参加。

 レイ・クラウド学園で魔導修練祭の選別を行う時、それほどこの七人と他の人達との差はかけ離れていたのだ。


「会長が言うなら別にいいけどよぉ」

「リアルあなたそれこの人数が決まってからずっと言ってますよ?」


 この生徒執行会一口が悪い、見た目がガラの悪い目を合わせただけで殴られそうな風貌で、何故か上半身裸の男性。

 名前をリアル・シルバー、三年生徒執行会庶務を担当している。

 さらに、今リアルに小言を言ったのが三年生徒執行会書記、ピルチ・パープ。

 生徒執行会のお姉ちゃん的存在で、学園でもいろんな人の悩みを聞いたりなど世話好きなところがあり、超絶美人で学内男性人気トップクラスに位置している。

 この他にももう三人いるがかなり個性的な人達で基本こう言う時の雑談に入ってこず、ずっと一人の世界で生きている。


「多分だけど、カルイン学園辺りがルインに仕掛けることを提案して、ズ・バイト学園が裏切った感じかな」

「何でそんな事言えんだよ会長……」

「あまり気にしないでくれていいよ勘だから」

「なんだよ勘かよ!」


 リアルはぐっと蹴伸びをして、転送された近くの川以外なにもない草原に寝そべる。


「寝るなリアル。いつ攻撃がくるか分からないだろ」

「マジで言ってんのかー会長」

「おおマジなんだけどな」

「来るわけねぇよ、どうせ今日はルイン狙いが続くだけだろーやるなら明日が妥当だ」


 雑用係の三人はただ聞いている事しか出来ない。

 それにルイン学園の人達は今狙われているのかもしれないのに、何故こうも適当でいられるのかが分からなかった。


「ハルはそっちにいる三人はどう使うつもりなの?」

「三人には戦力というよりは、一人に残るための人員として使う」

「地面にでも埋めるかっ!」

「流石にそんなことはしないさ。同じ学園どうしなんだから」

「冗談だっ!」


 雑用係の三人からしたら、この輪の中にいるだけでも場違い感が凄いのにこう言うブラックジョークを言われるは本当に心臓に悪かった。

 リアルは心臓に悪い冗談を言ったあとすぐに寝落ちてしまう。

 そして、ハルは残りの生徒執行会のメンバーを見やる。


「副会長、今大丈夫かい?」

「……」


 副会長はハルの問いを無視する。

 これは生徒執行会の中では日常的な事だが、雑用の三人からすれば無視できる内容でなく、ヒヤヒヤする。


「副会長、どうかな?」

「……会長、わしは暇ではない要件があるなら早く言ってくれ」

「ありがとう、副会長はこの魔導修練祭をどう見る?」

「くだらんな、わしらが勝っておわりじゃ、以上」


 副会長は、生徒執行会一おかしい人で、暇があれば属性についてずっと調べている。

 こうやって声をかけられるのが嫌いで会長以外だと殺されかけるという都市伝説まである人だ。


「さて、そろそろ昼ご飯でも食べようか、バーンに持たせなくて良かった」

「本当ですね、もし管理させてたら今頃私たちは別の意味で全滅です」


 


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