表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/263

133.5話 ユニフォーム

レイ・クラウド帝国闘技場 教師控え室ーー


「こういうの面倒クセェなぁ……」

「しょうがないよウタゲちゃん、説明はしないといけないんだから……」


 教師陣は開会式が始まる前にルール説明や審判として動く場所や、ペアなど様々なことを注意喚起される。

 昔、一度審判役の教師が亡くなったという事件があって以来一人行動をしないなどルールを徹底するようになったのだ。

 ちょうどその説明が終わり、ウタゲとシェルは廊下を二人で歩きながらいつも通り愚痴っていた。


「毎年毎年聞いてるからな、新人教師だけにしろってんだよ」

「それだと、緊張感が薄れちゃうでしょ」


 シェルに軽く小突かれ少しよろけてしまう。


「おい、シェル。おちょくるのは良い加減にしろ」


 ウタゲはルイン魔導学園の教師陣専用控え室の扉を開ける。

 中にはくそ学園長のジルと秘書のツルミの二人がおり、あくびしているジルとは対照的にツルミはブツブツと何かをつぶやいている。


「終わったぞー」

「おつかれさんじゃなー」


 ウタゲとシェルは部屋に置いてある大きな椅子にもたれかかる。

 ウタゲは特に踏ん反り返って座っている。


「そんで、いつあの子らの特訓は終わりなんじゃ?」

「それは、あいつら自身に任せてある」

「好きなときに解除しろって事か」

「まあな、私にとってはまだこの魔導修練祭も特訓の一部だと思ってるからな、極力外しては欲しくは無いんだが」

「全くお前は鬼じゃのー」

「で、どうなのジジィから見た他の学園は」


 あいつらは精一杯やったという評価をウタゲ、シェル共にしていた。だが、それで勝てるかどうかはイコールでは無い。

 少し間をあけ、ジルはゆっくりと口を開く。


「レイ・クラウド学園はいつも通りというより、去年よりやばそうじゃな」

「それは予想通りというか、まあ分かっていたことではあるから驚きは無いが、それよりも」

「お前さんのいう通りじゃ、今回は他の学園もかなり良い実力者を揃えとる、波乱じゃのー」

「やる方は気の毒だが、見るだけなら最高なんだけどな」

「ほんとじゃわい」

「それに、これ……」


 ウタゲは、自分が着ている制服を引っ張り強調する。


「どうしたのじゃ?」


 ジルはとぼけるように話を濁そうとする。


 ーーそうはさせるか

 ウタゲはさらに強く強調し、嫌でも分からせる。’


「これだよこれ!!なんで私まであいつらと一緒の制服着ないといけねぇんだよ」

「ツルミくん特製の魔導修練祭用のユニフォームじゃ」

「はぁーなんでこんなもの……」

「もう学生は皆んな着とるぞ、わしもじゃ」


 そう言ってジルは上着をめくると下からウタゲと同じものを着ていた。

 ルイン学園が黒に金の学園模様、レイ・クラウド学園が白に青の学園模様、バハイン学園が赤にオレンジ色の学園模様、カルイン学園が緑に紫の模様、ズ・バイト学園が黄色に黒の模様のユニフォームになっている。

 これは、三年前から始まったもので、黒聖や白聖などのクラスの判別がつかないよう制服ではなくこういう統一したユニフォームを着ることになった。


 教師も、これを着ることでどこの学園の教師か一発で分かる。


「まあまあそういうでない。ほれ、もう直ぐ始まるぞ行った行った」

「ほんとだ、はぁー面倒くせぇー」

「ほら、行こー」


 シェルに手を持たれされるがままに部屋を出る。


「これから、最後の作戦タイムだよ!気合い入れなきゃね」

「……分かったよ……しょうがねぇか……」


 ウタゲは渋々受け入れる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ