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gift10 正しい目標の持ち方と真意

皆様誤字報告ありがとうございます。

めちゃくちゃ見直してるのに凄く報告頂いていて、恥ずかしながらとっても助かっております。


そして!

皆様のブクマ、評価のお陰様で現在ファンタジーランキング45位まできております!本当にありがとうございます!


この先も結構なリサーチにリサーチを重ねた内容を用意しておりますので是非お楽しみ頂ければと思います!

【師匠視点】

 共に過ごし始めてから三ヶ月。今ソルダートが続けている訓練は大きく変化はさせていない。まずはここを正しく習慣化して貰いたかったからじゃ。


 真の習慣化とは【無】である。朝歯を磨くのに無で磨けておる者はそれが習慣化しておるからと言えるじゃろう。


 自発的に始めたいと言い始めたその心意気を尊重し、その内容さえもソルダートに考えさせる。


 これにより大きく【自己効力感】が成長する。この自己効力感が誠大事での、ここを基点としてテストステロンを高め、全ての動作への自信の遡求(そきゅう)が起こり始める。


 これは強い自己コントロール能力としてソルダートを大きく支えるじゃろう。


 かといって自ら変わろうとするその初動のエネルギーの大きさは途轍も無い物じゃ。簡単な事では人は動かん。


 それ故に大脳辺縁系(だいのうへんいけい)を騙す為に順序立ててそれを説明し、決断を迫る時にはレトリカルクエスチョンを用いる。


 簡単に言うとこれは【極端な対比】、変わる事と変わらぬ事でどれ程の違いがあるのかを明確化し、選ばせる。そして選んだそれを共に頑張ろうと背を押してやる。人はこうして、少しずつ進むしかないのじゃ。


 とは言えやはり新たに始める事が正しく継続するかどうかは不安な所。これをより高い成功率へと導く手段が存在する。


 名をビジュアライゼーション。正しいビジュアライズは人を素晴らしい未来へと運んでくれる。


 そう、実は正しくビジュアライズしなければこれは逆効果となる諸刃の危険な手段なのじゃ。


 では正しいビジュアライズとは何か?


 名を改めよう、正しいビジュアライズ。

 それは【プロセスビジュアライゼーション】。


 これは目標を想像する時、辿り着く結果のみを想像するのではなくて、【苦しくも努力している過程】を想像する事に意味があるのじゃ。たったこれだけの違いで取り組む対象への集中力が上がり、意志力まで向上してしまう。


 逆に結果のみを想像した場合どうなるのかというとじゃな、恐ろしい事に目標を擬似的に達成してしまう事で集中力と意志力が低下し、目標に向かって行動する回数が減ってしまうのじゃ。正しく計画錯誤に陥ってしまうという事。


 つまり。

 答えは簡単じゃ。


 結果ではなく【過程】を想像させる事にビジュアライズの真髄が詰まっておるという訳じゃ。


 そして遠い目標というのは調子の良い時に立てた方が成功率が高まり、結果的に人を大きく成長させるのはこの【後方プランニング】を行った場合となるのじゃ。


 そしてもう一つ、これらは遠い目標へのアプローチじゃが、それを今日実行する為の大いなるエネルギーとなる手法が存在する。


 その名も【脳内コントラスティング】。


 イメージの中で苦しくも頑張っている自分と、今の自分を重ねる事によって【対比】が発生する。この対比が今行動する力として大いなる力を発揮してくれるのじゃ。


 プロセスビジュアライゼーション。

 脳内コントラスティング。


 この二つのコンボを用いる事で目標達成の確率を大幅に上昇させる事ができる。これら無くして自らの力のみに頼りながら進めようとしても途中で挫折してしまうのは仕方ない事なのじゃ。


 目標を達成するという事は並みの事ではない。じゃが人はしばしば初期装備でドラゴンに立ち向かおうとしてしまう。レベルを上げ、装備を整えれば勝てるかもしれんのに、無謀に挑んでは敗北を繰り返し、自身が無力であるかの様に思い込んでしまうのじゃ。


 それは違う、断じて違う。


 やり方が少し違っていただけなのじゃ。

 誰でも始められる、皆が努力できる。

 手段さえ間違えなければ……辿り着けるのじゃ。


「では魔力の修行を始める。魔力の修行にはここを使う」

「あれ? ここって……物置き?」

「そうじゃ、物は全て別の場所に移動しておるがの」


 そこは本当に何もない、ただの掘っ建て小屋。

 極端に狭い訳ではないが何が出来る訳でもない。


「ここで、ただ魔力に集中せよ。最初の一週間は辛くなったら終わりとする。その平均値をとって、当面の目標とするのじゃ」

「……わかった」


 真に習得された習慣とは大脳基底核、所謂(いわゆる)本能で保管される。自動行動されるのはこの為じゃ。魔力の修行をしてこなかったという習慣は、それ故に意志の力は殆ど及ばず、実行しようとする変化を起こさせるのは非常に難しい。


 故に、環境からアプローチをかけるという訳じゃ。


 人はその意志に関わらず、環境と状況が全く同じであれば同じ行動を取るという習性がある。これを利用するのじゃ。


 まず今までとは違う新しい事に対して新しい環境を与える事で今までのやってこなかった習慣という物が断ち切られる。これによって初めて、新たな習慣を始める基盤が生まれるのじゃ。


 これは刺激(キュー)コントロールと呼ばれる手法で、その中でも少し大き目のサイズの新たな習慣チャレンジにも有効な強力な手段じゃ。


 これを使う事によって良い習慣も悪い習慣も簡単に断ち切れてしまうのじゃが、分かりやすく例えるなら……引っ越しや旅行じゃな。


 ずっとやってきたランニングなどの習慣が引っ越しで途切れてしまうのはこの為という訳じゃ。


 環境が大きく変わる事で良くも悪くも習慣は大きく断ち切られてしまう。これを悪い物を断ち切る為に使い、更に新しい習慣をそこに根付かせる事が出来たなら。


 その習慣は続きやすく、かつ強固なものとなるじゃろう。


「それじゃ行ってくるね!」

「待つのじゃ」

「……なに?」

「その部屋に入る前に、今から自身が何をするのか、それを一言口に表現してから入るのじゃ。それだけで、いつもより頑張れる様になれる。お主はやれるのじゃ」

「え? ……うん、分かった。僕は今から自分に出来る限りの魔力の訓練を始める。頑張る!」

「行ってくるのじゃ!」


 自身がこれから取る行動を口に出してから動き始めるだけで、その意志力は二倍も高める事が出来る。


 この時口から発する目標は【接近目標】である事が望ましい。アレをしたくない、これをやめたい、ではなく、これを止める為にアレを頑張る、と言った風な具合じゃ。



 今回の様に少し大き目のサイズの新たな習慣であっても、正しく効率的に行けば身に付けられる上に離さずにいられる仕組みを可能とする。


 習慣がなかなか身につかぬ者も諦めるのはまだ早いという訳じゃ。寧ろ習慣化が苦手な者ほど実はチャンスなのじゃ。


 ん? 意味がわからんか? ふむ……ではとてもシンプルな考え方の話をしよう。


 習慣が身につかぬ者は、実は習慣が身についてしまえば他の誰よりもその習慣を大切にするという習性がある。


 理由は簡単、そもそもなかなか習慣が始められぬ者は、習慣を始めないという強固な習慣に支配されておるからじゃ。


 じゃが順序立てて手段を選べばその強固な習慣でさえも乗り越えられる。そして乗り越えてさえしまえば。


 誰よりも強固に習慣を離さないという習性を持ったそなたらは、その新たに得た習慣を誰よりも大切にするじゃろう。


 苦労をすれば苦労をする程、人はその結果得た物を価値の高い者だと判断し、離さぬ。


 これは【サンコスト効果】と呼ばれておる現象じゃ。


 小さな事の積み重ねが大きく大きくなってゆく。


 大きくなっていく(さま)というのは、誠、見ていて気持ちが良いものじゃ。

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