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異世界高校生活 ~お嬢様に囲まれている筈なのに囲んでいるお嬢様がお嬢様じゃない件~  作者: GIYANA
第8話:やるやろ会の司令塔、イシス・アレキサンドライト
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やるやろ会の司令塔、イシス・アレキサンドライト①




――学院長室


 格差を許容するリーディエル王国においてその格付けは「制服」によって現わされている。


 エラルナ女学院は、学園都市の学校の階級で最上位の一つに格付けされている名門女学院。エラルナ女学院の制服を着ているだけで、周りからは上流として扱われる。


 その院長は王国貴族であり現国王の夫人の1人であるエイルが勤めており、そのエイルは娘であるイシスと剣呑な雰囲気で向き合っていた。


「イシス、相手がお前のことをいたく気に入ってな、是非にとのことだ」


「母様、申し訳ないけど、何度も断っている筈なのだけど」


「そうか、では言い直そう、是非にではなく「会え」と言っているのだよ」


「それは、母親としての言葉?」


「いいや、リーディエル王国国王第4夫人としての命令だイシス王女。相手は爵位こそ男爵と最下位だが、国王だんなのお気に入りだからな」


「なるほど、上に取り入るのが上手ってことね、媚びを売る男って最低。そのために私が犠牲になるの? 冗談じゃないわ。そもそも私が結婚する必要なんてあるの? 今や世界3大強国としての地位を盤石のものとしたリーディエル王国の国王はまさに絶対君主として君臨している。私みたいな王族の「端くれ」が政略結婚をする必要はないと思うけど」


「皮肉を言うな、なら聞き方を変えようか、相手のどこが気に入らない?」


「顔ね」


「…………」


「あら、大事よ、容姿はとっても大事、それと次は年も離れていて、しかもたくさんの女遍歴、いくら金も地位も名誉もあるからといって、そのマイナスポイントを相殺できるほど大人ではないの、母様とは違ってね」


「悪いがお前の意見は聞いていない、更に言い直そう、その絶対君主の命令だ」


「……そう、ああそうだ母様。実はね、今私は別の殿方に熱烈に求愛されているの、私のためなら命すら惜しくないとまで言ってくれる殿方がね」


「まさか天御とは言わないだろうな?」


「そのとおりよ、だからこそ、私は平等にチャンスを与えたいと思っているの、クサナギをないがしろになんてできないし、だから相手には私を奪ってみせてと伝えてね。そうね、勝負といきましょうか、自分を巡って2人の男が争う憧れのシチュエーション、母様も女なら分かるでしょう?」


「…………」


「心配はいらないわ、男爵は国王くそおやじのお気に入りなのでしょう?」


「そのとおりだ、わかった、そう伝えよう、日付は追って伝える」


「…………」


「…………」


 お互いに睨み合い、イシスが踵を返す形で学院長室を後にする。


 こうして、天御が全く知らないところで話が進んでいくのであった。





――やるやろ会、共有スペース


「あれ? イシスは何処にいるんだ?」


 放課後、やるやろ会に帰ると紅茶とケーキを用意していたサクヤに問いかける。


「学院長に呼ばれている」


「学院長? 生徒会絡みか?」


「あの様子だと多分王族絡みだと思う」


「ふーん、王女様なんだよな、あれで、そういえば王女様ってのは、イシス以外にもいるのか?」


「今の国王には18人の夫人に30人の子供がいる。王女は17人にいて、イシスはその1人」


「18人! はー、うらやま、げふんげふん、全くけしからんね、純愛ですよ純愛、おお~、ケーキ美味そう♪ イシスが帰ってきたらみんなで食うか」


 まあ一夫多妻なんて、実際は金持ちじゃないと実現不可能だからね。とそんな感じでノンビリしていると、ガチャリと扉が開くとイシスが帰ってきた。


「お帰り~、サクヤが美味い紅茶とケーキを買ってきてくれたんだ、待ってたぜ~」


「あら素敵ね」


 とみんなでテーブルで囲み、5人でまったりとする日々、学園都市の生活にもすっかり慣れたなぁ。


「クサナギ、ちょっといいかしら?」


「はいはい、なんですか?」


「実は男に言い寄られて困っているの、だからその男から私を守って欲しいのよ」


「はいはい大変ですね、ずず~、はあ、紅茶うめえ、ケーキも最高、ダダダダダ!!」


「そこは男として「守ってやる」の一言があってもいいと思うのだけど」


「男にアイアンクローかます女には守るなんて必要ありません!!」


「まあまあイシス先輩、男に言い寄られているって、詳しく話してもらえませんか?」


 ククリのとりなしにイシスはゴホンと咳ばらいをすると話し始める。


 サクヤの察しのとおり、学院長の用件は王族絡みで、いわゆるお見合い話だった。


 相手は王国貴族の男爵、お見合いと言っても初対面ではなく社交界で交流があるから元々知り合いであるそうだ。


 そんな折、自分の女になるように何度も言われていたらしいが、ずっと断っていたそうだ。


 断られて諦めるかと思いきや、男爵は国王のお気に入りだという事だといいことに、学院長経由で強引に話をまとめられてしまったのだそうだ。


「政略結婚なんてまっぴらごめんよ、自分の相手ぐらい自分で決めるわ」


 と憮然とするイシスに俺は話しかける。


「ふむ、政略結婚はそのとおりだが、そんなに相手が気に入らないのか?」


「そのとおりよ」


「具体的にどのへんが?」


「顔ね」


「か、顔って、イシスよ」


「あら大事よ、それに年も離れていてたくさんの女遍歴を持つ男よ、だけどさっきも言ったとおり国王のお気に入りだからね、無下にも出来ないのよ」


 なるほど完全な政略結婚、絵に描いたようなシチュエーションってことか。


 だけど……。


(騙されちゃってまあ可哀想に……)


 大方、中年オヤジがスケベ心を起こして手を出したんだろうけど、こいつは見てくれはいいからな、あーやだやだ、いい歳こいて騙されるなんて、手を出したらその手を噛み千切る女ですよコイツは。


「ぐへえ!」


 大きな100tハンマーを持っているイシス。


「もう、失礼なことを考えているでしょう、丸わかりよ♪」


「頭が割れるわ!!」


「大丈夫よ、ククリに作ってもらった「特殊なカーボン」で出来ているから」


「それは、いや、もう何も突っ込むまい、すっかり染まったよなお前ら」


 ツキヨミが、せっせと日本コンテンツを仕入れるおかげで、全員が詳しくなった。ツキヨミ曰く日本のエンターテイメントコンテンツは表現が幅広いらしく面白いらしい。


 意外と恩恵を受けているのがククリで、インスピレーションが大事という彼女はそこから発明を作っており、代表的なのが光学迷彩だ。


 ここでサクヤが発言する。


「話は分かった、だけど私たちは王族はもちろん貴族相手に容易に手出しはできない、どうするの?」


「既に手は打ってあるわ、母様には主導権がこちらが握ることで話を決めてきたの、具体的に言うとね」


 イシスは一呼吸置くとドヤ顔で発表した。


「私を争って2人の男が決闘、女性なら憧れのシチュエーションよね」


「「「おお~!!」」」


 と目をキラキラさせる女性陣。


「へー、それって女からすると憧れのシチュエーションなんだ」


 ふむふむ、そのシチュエーションは一度は聞いたことがある、そうなのか、女心の勉強になった、メモメモ。


「よし、わかった、頑張れよイシス。じゃあ俺はちょっと持病のシャクがアレしているから、ちょっと出かけてクルップ!!」


「知っているわクサナギ、それって貴方の国の言葉でツンデレというのでしょう? もう、本当に素直じゃないんだから」


「違うわ!! なんだよ決闘って!! どう戦うんだよ!?」


「その内容を決めるために今から話し合いをするんじゃない」


「ノープランにも程がある!!」


「プランはないけどコンセプトはあるわ、まあ貴方の国の言葉で例えるのなら」


 イシスは右腕を突き出す。


「お見合いをぶち壊す」


「あーはっはっは! う、うける! 文字通りお前の幻想をぶち壊すってか! イマジンブレーカーイシス! あっははは! ぐひっ! あやべ! 変な声で来た! ぐへえ!」


「そうね、ベタだけど、私がお見合いしている時に、貴方が颯爽と現れて、見合い相手の男を捨て置いて一緒に逃げる、ドキドキしない?」


「えぐい! いや聞いといてあれだけど、えぐいよ! もうちょっとソフトにならない? いくらなんでも相手の男がかわいそうだ!!」


「なら熱烈に私を口説いて欲しいの」


「えーーーーーーーーーーーー」


「…………」


 ジト目になるイシスではあったが、ポリポリと頭をかく。


「ごめん、分かった、協力するよ。前々からイシスには恩返しをしなければいけないと考えていたからな」


「……恩返し?」


「俺の人生は本当ならあの時終わっていたんだよ、それを助けてくれたのはイシスだ、俺が今こうやっているのはお前のおかげだ」


「…………」


「子供を助けるためになんてダンプの前に飛び出して、なんて劇的なことをしておきながら、最初は死んだと思って、やらなきゃよかったなんて後悔してたのが締まらないけどね」


「そんな風に思っていたの……」


「たはは、実は照れくさくてなかなか言えなかったんだ。いいぜ、少しはカッコつけるさ、勝てるなんて保証はできないが、出来る限り頑張るよ」


「そ、そう、そうはっきり言われるとは思わなかったわ」


 珍しく照れているイシスに俺はくすっと笑いながら、「さて、俺が戦う相手のことを教えてくれ」と促す。


 既にこの時俺は、作戦について頭を巡らせていた。


 まずは相手の男について、イシスの言葉からすると媚び売り上手の中年オヤジと言ったところか。


 とはいえ油断は禁物、媚び売りは誰でもできるわけじゃないし、結果を出すなんてもっと誰にもできない。つまり卑劣さを手段として使える老獪さを持っていると判断していい。


 手段を選ばないというのは存外に手強いが「安易」に走る弱点がある。つまり自分で理由をつけて正当化するのだ。


 だが相手が学生である俺であることからは初手のみ手段を選ぶ可能性は高い、つまり相手は俺のことを舐めてかかってくるはず、そこが付け入る隙となろう。


 さて、以上のことを踏まえて、後はイシスの言葉を聞いて判断すればいい、腕が鳴るぜ。


 イシスは「私のお見合い相手はね」と今回の相手を告げた。



「学園都市の最高学府であるセシェレア学院を6番で卒業し、スポーツは王国剣術を嗜み学園都市大会ベスト4、マーグィスナ男爵家当主から若くして後継者指名を受け爵位を叙せられており、自身も新進気鋭の実業家。容姿も恵まれ学生時代からモデルと実業家の三足の草鞋を履き、当時の全女子生徒たちの憧れの的、高身長、高学歴、高収入、王国抱かれたい男ランキング3年連続1位」



「ユイド・ゲーカン・ニュヘルテ・マーグィスナ男爵よ」









 ( ゜д゜) ←俺





次回は14日か15日です。

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