やるやろ会の機械仕掛けの神、ククリ・ユークレース③
「というわけで、任務無事完了、不良グループを壊滅してまいりました!」
とビシッと敬礼して報告するククリ。
「無事って、ロボットについてはどう釈明したの?」
「不良グループは学園警察相手にロボットの件について「知らない」とか「任意だろ」とか騒いでましたけど、使ってた証拠映像を学園警察に提出したので、ついでに責任を押し付けてきました」
「全く、貴女って人は」
頭を抱えるイシスではあったがククリはケロッとしている。
「49区に住んでいるとそこらへん図太くなるんです。ね、兄さん?」
「ね、兄さん? じゃねえよ、大体お前は」
「まあまあ、ちゃんとお詫びと兄さんになってくれた記念としてプレゼントがあるんですよ!!」
「…………ふーん、プレゼントってあれか、魚の干物か何か?」
「あ、そんなこと言っていいんですか? 昨日徹夜でこの子たちが頑張ってくれた成果があるのに、まあ来てくださいよ♪ あ、皆さんもどうぞ、これから使うことになると思いますので!」
と意気揚々と歩きだすククリに一抹の不安がよぎったが……。
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「うううううおおおおおおぉぉぉぉーー!!!」
ククリに案内された場所に辿りついた時に出た俺の絶叫、これは落胆と言った負のものではない。
「でかあああいい!!! 説明不要!!!」
という言葉、そう、これは。
「風呂!! 風呂だあぁ!!」
デカい風呂! テルマエ・ロマエに出てきそうな巨大な風呂だ、時計塔の1階に水道を引いて作ってくれたのだ。
「兄さんがお風呂好きだと聞いて、インスピレーションが沸きました」
「いや、凄い嬉しい! シャワーじゃ物足りなくてさ! やったあ! ここに毎日入れるのか! って機械は大丈夫なのか!? 水気は天敵だろ!?」
「そこらへんは能力で何とかしているから大丈夫です。ちなみに本物の温泉ですよ♪ いつでも24時間入りたい放題です」
「ううおおお!! 毎日温泉! ノー温泉! ノーライフ!」
大はしゃぎの俺を嬉しそうに見つめるククリ。
「そんなに喜んでくれるなんてこっちも嬉しくなりますよ」
「いやあ本当にありがとう! 温泉温泉♪」
「クスクス、じゃあ兄さん、一緒に入りましょうか!」
「おう! って間違えたよ! 入るわけないだろ馬鹿じゃないの!?」
「どうしてですか?」
「え?」
キョトンとした顔で問いかけるククリ。
「どうしてって、いや、俺はいいよ、別に、だけどそっちが嫌だろ?」
「別に嫌じゃないですよ、だから一緒に入ろうって言っているんですけど、皆さんはどうします?」
ククリの問いかけにイシスはこともなげに頷く。
「私は構わないわ、サクヤは?」
「かまわない、クサナギのことは信用している、ツキヨミは?」
「ボクはオーケーさ、というよりも、ボクの全てはもう先輩に見られているからね、ポッ」
「いやいや、いやいやいやいやいやいやいや!!! 何言ってんの!! 俺にスケベな視線で見られるんだよ? ジロジロと、マジマジと、手は出さないけどさ、言っておくけどそこまでは我慢できないからね?」
「「「「かまわない」わ」よ」ね」
「いやいや、いやいやいやいやいやいやいや!!! 言っておくけどこのパターンは分かるぞ! 本気にしていざ一緒に入ろうとか言ったら「うわ、こいつマジだよ、キモいよ、お前洗ってない犬の匂いがするんだよ」って言うんだろ!? あーやだやだ、女って怖い! ほんと怖い! お前らみたいな女の子が俺みたいな男に一緒にお風呂に入ると本気で言いだすわけないもんね!!」
「あら、男なら誰にでも肌をさらすような女だといいたいの?」
「そ、そんなわけないだろう! そりゃあおちょくられることもあるけど、節度もしっかりしているのは分かっているぞ!」
「じゃああなたも、襲わないと言ったのは嘘なの?」
「そこまで見損なうなよ! だからスケベな視線を送るの! それに、それで、その、そんな視線で見られるのは、嫌だろ、でも何回も言うがそこまでの我慢は無理なんだ、だから心が痛むんだよ」
「心が痛むから嫌なのね、えっと、クサナギにスケベな目線で見られて嫌な人がいる?」
イシスの問いかけに、ククリは赤くなってモジモジしており、ツキヨミはケロッとしていて、サクヤは「?」と首をかしげていた。
「じゃ、問題ないわね♪」
とにっこり微笑むイシス。
「こ、ここ、後悔しても知らないからな!!」
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「はあ、気持ちがいい、クサナギじゃないけど、温泉、最高ね」
「まさか温泉を引いてくるとはね、流石ククリ、これで美人になること間違いなしだね」
「寮のお風呂は遠くて、知らない人がたくさんいるから面倒だと元々思っていたから丁度良かったです、兄さんもお風呂が好きだから喜んでくれたし」
「ククリ、先ほどから気になっていたのだけど、ククリはどうしてクサナギを兄さんと呼ぶの?」
「あ、それはですね~」
と盛り上がっている女性陣、そして俺はというと。
「ふん、お前らは運がいい、俺が理性的な狼であったことに感謝するべきだ。本来なら押し倒されてそのまま操を奪われているところだが、だがお前らは仲間、そして俺は仲間は大事にする。知ってるか、狼は見境なく襲わない、誇り高い生き物なのだぜ」
と柱の陰でどや顔で虚空の誰かに話しかけるのであった。
次回は、5日か6日です。




