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異世界高校生活 ~お嬢様に囲まれている筈なのに囲んでいるお嬢様がお嬢様じゃない件~  作者: GIYANA
第6話:やるやろ会の機械仕掛けの神、ククリ・ユークレース
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やるやろ会の機械仕掛けの神、ククリ・ユークレース①


 こんな夢を見た。


 すやすや眠っていたら突然体に感じる圧迫感、その圧迫感で目が覚めるとサクヤが俺の胴体に跨っていたのだ。


「もう、遅刻するよ♪」


 勝手に部屋に入って悪びれもしないサクヤに俺は「男の部屋に勝手に入るなよ!」って突っ込みを入れる。だけどサクヤはどこ吹く風「そんな度胸ないくせに」とちょっと色気のあるポーズで挑発する。


 んで頭に来た俺は「このやろー」と襲うふりするけど、何故か四つん這いであるにもかかわらずバランスを崩してサクヤを巻き込んでありえないほど派手に転倒。


 そんな俺はなぜか失神した感じなのだが、右手に柔らかい感触に戸惑い、気が付いたらサクヤの胸を揉んでいたのだ。


 それに気付いて「あ、いや、あの」と戸惑う俺に、サクヤは顔を真っ赤にして「ばかー!」とグーパンして俺は吹っ飛ぶのだった。


 そんな寝起きドッキリからのラッキースケベコンボ、これもまた日本ヲタク文化が誇るお家芸という名の伝統芸能。


「…………」


 ムクリと起き上がる、うんぱっちり、ここに来てからは、寝つきがよくなって寝起きも良くなった。


 と思ったら布団が再び不自然に盛り上がっている。


 まーたサクヤか、こう、あれですよ、男として舐められているのならば沽券に関わりますよ、男が本性出したら相手が泣こうが叫ぼうが無駄なんです。


 まあ実際は出来ないけどね、泣かれたらもうその時点で無理だよね「がはは! とー!」とかそんなランス君はできませんよ。それでも狼ぶりたい男心、まる。


 さて悶々としててもしょうがないので普通に起こすか、と掛け布団をめくりあげると。



 ツナギを着た髪の毛が茶色短髪の女の子が一緒に寝ていた。



「…………」


「…………」


「え? 誰?」


 掛け布団をめくりあげたことに反応したのだろうか、パチッと目を開けて気だるげに俺を見る。


「おはよう、ございます、兄さん」


「え? 兄さん?」


 という反応の下に女の子の瞳の視線がだんだん定まってきたようで……。


「え! あ! ご、ごめんなさい! えっと、天御先輩! どうして間違えたんだろう、その、本当にごめんなさい!!」


 と完全に目が覚めたようで手をわちゃわちゃさせる女の子、こっちもつられて手をわちゃわちゃさせてしまう。


「い、いいんだよ! その寝ぼけていただけだもんな、しょ、しょうがないよ、布団に潜り込んだものも、えっと、その、そういうこともあるよな!」


「? 寝ぼけてはいませんよ?」


「へ?」


「いくら何でも寝ぼけて男の人のベッドにもぐりこむわけないじゃないですか、そんな危ないことしません」


「え? あ、ああ、そうだよね、うん、ごめんね、何言ってんだろうね、ははは」


「もう、天御先輩はちょっと抜けているのですね」


(俺が抜けているの?)


「えっと、ならどうして潜り込んでいるのかな?」


「天御先輩の能力が見たくて、インスピレーションでピピッとくるために布団に潜り込んだのですよ」


「…………」


 ニコニコと屈託なく笑う女の子。まあいいか、ここに来て学んだことは細かいことを気に無いことだ。





「ククリ・ユークレースです! よろしくお願いします天御先輩!」


 元気よく挨拶したククリ、活発な印象を受ける子で、なんか真面目で守ってあげたくなるような感じ。


「彼女が最後のやるやろ会の仲間よ、役割は私たちが使う装備や能力開発担当ね」


「あの光学迷彩の製作者! 凄いな!」


「てれてれ、まあ、なんてことありませんよ」


「いや、なんてことあるだろうし、それに」


 俺は目の前にある光景を見て驚いていた。サクヤの訓練場とツキヨミのスペースを合体させ、天井を高くして凄く広くなっている。


「今までは訓練スペースが全部独立していた状態だったのですが、非効率なので全体で一つに合体させました。ツキヨミちゃんが使う機械を頭脳として全ての装置を連動させます。例えば」


 ククリは端末を操作すると、ヴンという音ともに異形が出てきた。


「これで協力して、戦うことができます。異形討伐は学園生活でお二人には欠かせませんからね。天御先輩も戦って分かったと思いますが、チートを持つことは不死身ではありません、これは当然に理解するべきなのですが、万能の力を持つと人は何故か不死身であると錯覚するのです」


「……ああ、身に覚えがある、イシスにも注意されたよ」


 サクヤが異形に吹っ飛ばされて失神した光景を思い出す、あれはいい勉強になった。


「さて、次は」


 ククリは俺に手を差し出す。


「えっと、なに?」


「布団に潜り込んだことでインスピレーションが沸きました、先輩の銃をカスタマイズさせてください」


「……カスタマイズ?」


 という疑問を呟きながら言われるがままに拳銃を出して渡すと、その場で器用に分解を始めた。


「ぶ、分解とかできるんだ」


「それが出来るのが私の能力なんですよ」


 と言いながら、凄まじく早い手際で分解したと思うと、あっという間に再びくみ上げた。


「射撃精度については問題ありませんが、射程距離に難がある感じだったので、その点を改良しました。これで遠距離でもライフル精度も撃てるはずですよ」


 あっさりと言ってのけるククリ、拳銃の外観に変化はないけど、確かにこう「何かが変わった」というのを感じ取れることができる。


「現実の機械を改造できる要領と一緒です。自分の思念を機械として具現化できると説明すればいいでしょうか」


「なんかよく分からんが、万能、って言葉しか思い浮かばない」


「万能ではありません、インスピレーションです、それが沸かないと発動できないのが欠点ですけどね」


「インスピレーション、そういえば俺の布団に潜り込んだ理由が確か」


「はいインスピレーションのためですね」


「なんでベッドに潜るのがインスピレーションの発動条件を満たすんだ?」


「私のインスピレーションは、五感の作用によって生まれるものなのです、色々試してみたんですけど身体接触が一番ですね」


「ふむ、えーっと例えばツキヨミのあの機械についてはどうやってインスピレーションを得たのだ?」


「具体的にはお風呂に一緒に入った時に、裸をつぶさに観察して吸ったり揉んだり触ったりしました」


「サクヤとイシスは?」


「もちろん、一緒ですよ」


「なるほど、えー、ククリの能力を前衛としてちゃんと把握したい、別に下心は無いぜ、後衛というのは生命線だからな、自分の身を守るためにだ、まあつまり要は具体的には3人の形と大きさとグヘェ!」


 シューっと漫画のようなタンコブを作って床に突っ伏す俺。


「もう、本当に面白い人よね、クサナギは」


 大きなハンマーを持ちながらクスクス笑うイシス。そのハンマーに「100t」って書いてある。ああ、あれ名作だよな、原作もアニメも大好きだ。


「いちち、手加減しないもの、あれ、そういえばイシスの訓練施設は無いのか?」


 俺の質問にククリが代わりに答えてくれた。


「この時計塔自体が能力者を感知する触媒のようなものですからね、イシス先輩はこれで自分の力を増幅して先輩を感知したのですよ」


「……へ?」


「つまり、この時計塔自体がイシス先輩ための装置ですね」


「えええーーーーー!!!???」


 びっくりして辺りを見渡す。


「これって歴史がある時計塔じゃないの!?」


「はい、まだ1年ですね」


「えっと、エラルナ女学院自体は?」


「辿れないほどの歴史を誇る伝統ある学院だそうです」


「辿れないほど……、その敷地にあっさりと許可が下りるのか、いや、重厚な造りだから、凄い歴史があるのだと思っていたよ。どれぐらいかけて作ったんだ?」


「2週間ですね」


「2週間で作れるの!? どうやって!?」


 ククリは、ここで首に直接つけるインカムのようなものを付けると、オーロラ色の膜に包まれ、能力を発動する。


 インカムに対して何かをぶつぶつ話すとガシャンガシャンと音がしたと思ったら、訓練スペースのあちこちに穴が開き、そこからあっという間にたくさんの、いわゆるロボットたちに囲まれる。


「この子たちは私の友達です、昼夜を問わず頑張って作ってくれたんですよ」


 愛しそうにロボットを撫でるククリ。本当に愛着と愛情を持っていることが分かる。


「へえ、いいなぁ、そういうの」


 俺の言葉に驚いたように俺を見るククリ。


「こんなこと言うと、人間の友達作った方がいいよとか言われるんですけど、そんな風に言われるのは初めてです」


「そうなのか? 機械に愛情を持つってのはいいことだろ、それにこの子たちの他にその人間の友達はいるんだろ?」


 再びびっくりしたような顔をするククリ。


「はい、イシス先輩にサクヤ先輩にツキヨミちゃん、ですよ」


 ククリの言葉に3人が嬉しそうににっこりと笑う。


「やっぱり、天御先輩は面白い人ですね~」


 とニヤリと笑うと俺に問いかける。


「先輩の能力名を聞いても?」


 俺はフッとニヒルに微笑む。


「うむ、拳銃輪舞ブラックラグーンと名付けた、ククリは?」



「私の能力は」


 ゴホンと咳ばらいをするとこう答えた。



「機械仕掛けのデウスエクスマキナ!!」



 お互いにガシっと握手を交わす。


「わかる! かっこいいよな、この響き、機械仕掛けの神とかさ、もろに琴線に触れるよね!!」


「はい、本来ならば否定的な意味であるご都合主義をかっこよく、それでいてちょっぴり皮肉を込めた例えを最初に考えた人は間違いないく天才だと私は思います」


「うんうん、その言語センスは本当に見習いたいよね」


 うんうんと頷く中、イシスがパンパンと手を叩く。


「ちょっといい? ククリ、貴方に聞きたいことがあるのだけど」


「はいはい、なんなりと」


「今日の生徒会の議題でね、49区で発生したある事件が取り上げられたの」


 49区、という言葉でサクヤとツキヨミに緊張が走るが。


「大変ですね~」


とククリは穏やかなままだ。


「ええ、とっても大変なの、学園警察によれば窃盗を繰り返す不良グループがね、凄いものを使って犯行を敢行したってことなのよ」


「大変ですね~、そうそう、天御先輩、ちょっとお願いしたいことがありまして、ずずいっと、2人きりで人気のないところで、しっぽりと、ぐえふっ!!!」

と最後だけ女の子が出しちゃいけない声を出したククリ、丁度歩き出したところでイシスに襟首を掴まれたから首が締まった形だ。


「なんだと思う、その凄い物って?」


「さ、さあ~、皆目見当つきませんよ~」


「あらそうなの? なら教えてあげる、その不良グループが使った物はね」



「高さ5メートルの巨大ロボ」



「………………………へー、すごーい(小声)」


「ククリ、私は駄目だと言ったよね?」


「たはは~」


 イシスによると、ククリは時計塔が完成した時、折角能力者になったのだから夢だった巨大ロボを作りたい作りたいといってダダをゴネまくったそうだ。

 だが作ったところでどうしようもないし、目立つからという理由で当然の如く却下されたらしい。


「あれだけ駄々をこねまくった割にはあっさり引くから変だなと思っていたのだけど、訓練スペースの充実は大方ご機嫌取りってところかしら?」


「…………フッ」


とやたらニヒルに微笑むと立ち上がると。


「すみませんでした、イシス先輩」


と深々と頭を下げ、ククリはイシスの顔をしっかりと見据えて発言する。


「もちろん後始末は私と天御先輩でちゃんとします」


「……え!? なんで俺!?」


「駄目よ、貴方は後衛、そしてこの依頼は十中八九武力行使を伴う、能力としても戦いに向く能力ではないでしょう」


「でも天御先輩だけだと地理に不案内でしょう、そして49区だとサクヤ先輩だと「浮き」ますね」


 ククリの言葉にイシスは少し考えた後、発言した。


「分かったわ、クサナギ、ククリを頼むわ」


「いや、いやいや、いやいやいやいやいや!! 当然のように話が進行しているけど、頼むわって、巨大ロボ? それを俺にどうしろと?」


「大丈夫ですよ、操られているだけで普段は大人しくて私のいうことを聞くいい子ですから」


「絶対ヤダ!! また変なことに巻き込まれるんだ!! そんな流れだもん!!」


「天御先輩」


「ヤダ!!」

「あまみせんぱい♪」


「ヤダ!!」


 部室の柱にしがみついている俺を見てククリはやれやれとため息をつく。


「そうですか、残念です、巨大ロボには巨大ロボ、そのパイロットに天御先輩を任命しようと思ったのに」


「任せろ」


 俺はサムアップして答えた。







次回は29日か30日です。

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