やるやろ会の電脳妖精、ツキヨミ・ソウギョク③
ツキヨミの案内の下辿り着いたベールシッチ学院、エラルナ女子学院と比べると確かに普通、でもこの国の高校ってのは画一的な建物ではなく色々と趣向を凝らしているのか。
公共機関であるから税金で建てられているものの、格差を許容するベールシッチ学院らしく基本は平等でも結果は当然のことながら不平等であると。
「普通の学院と言えど相当高度なセキュリティがかけられているんだよ。学校はそのまま政治活動単位にもなるからね。そこらへんはおいおい説明するとして、さて」
ツキヨミは端末を操作後見上げる。
「解除完了、さて、中に入ろうぞ」
そのままツキヨミはふよふよと中に入るけど。
「入るのはいいけど、ちらほら人がいるけど大丈夫なのか?」
「許可されれば大丈夫。例えばここの生徒なんかは自分のクラスには入れるけど他のクラスには許可制になっているのさ」
「ふーん、本当に分かりやすいように視覚化されているわけか、変装して潜り込んでいるのと一緒、ちょっと浪漫だね」
「うんうん、まあボク達は幽霊みたいなものだよ、誰からも認知されることは無いけどね」
「了解、んで例のデータは何処にあるんだ」
「2階にある更衣室だね」
「なんで更衣室にあるんだ?」
「まあ視覚化だからね、更衣室に身体データがあるなんてロマンじゃないか」
「さっきから思ってたんだけどお前の中身って実はおっさんだろ」
「いやん♪ ってなわけで行こうか、男の浪漫の更衣室へ!」
まあ抵抗はあるが、しょうがないだろうな、うん、これは正義のためだ、女子更衣室に行くのはしょうがない、しょうがない、しょうがないなぁもう。
●
目的の場所は簡単にたどり着いた、地図を頼りに行けばそんなに広い学院ではないし、拍子抜けするぐらいだ。
目の前にはご丁寧に「更衣室」を書かれたドアがある。
(おおう、ここが女子更衣室か、ドキドキするぞ)
「ウキウキだねえ~?」
「げふんげふん! さあ行くぞ!」
と誤魔化すように扉を開けた時だった。
「…………え?」
とドアを開けたまま固まってしまう、何故なら更衣室の中央に、やたらゴツイ棍棒を持った小太りのおっさんがいたからだ。
おっさんが入ってきた俺の方を向き、目と目が合う。
「え? なんで女子更衣室に棍棒を持ったおっさんがいるんだ?」
「これがセキュリティシステムだよ」
「ああ、そうなんだ、あのさ、さっきから凄いおっさんがこっち見てるけど、このセキュリティシステム、俺らのこと認知してね?」
「ああ、さっき不可視化は解除したからね、思いっきり認識しているよ」
「ってことはこのおっさんの次の行動は」
と予測する間もなく思いっきり棍棒を振り上げた
「うおー!」
思いっきり後ずさる形で何とか回避して、ドスンという音と共に床が割れる。
「あぶねぇ! ってなんで見えてんの!?」
「説明しよう! 向こうから見えないってのはこちらからも何もできないってことなんだよ! だから実体化する必要があるんだ!」
「なるほどぉ! ってことはこいつと戦う訳か、なら背中は任せたってことでいいんだろ!?」
「任せられてもなぁ」
「はい!?」
「ボクの防御力は無限でも、攻撃力は0なんだよ、出来るのはボスのいる位置とかサポートだけさ」
「言っている意味が分からない、じゃあさ、どうするの?」
「ん、だからね、要はね、ボクがデータを消す間は無防備になるわけさ」
「段々話が見えてきた! つまり俺は囮ってことなんだ!? ぎょうふわ!」
という変な声と共に再び棍棒が打ち下ろされて拳銃を構える。
「ちょっと待ってくれ! セキュリティシステムを壊してしまっては、壊してしまったという証拠が残るんだ!」
「え? ってことは?」
「だから逃げて、ひたすら逃げて」
「逃げて!? サポートは!?」
「ない、これからいろいろ探すからちょっと頑張ってね、終わったらそっちに行くから」
「ふざけんな! 校内を不審者が走り回ったら他の奴らに認知されるだろうが!」
「おおう鋭いね、そこらへんはボクの能力を舐めないでくれたまえ、可視化しなければならないといったが、どう可視化するかは選べるのさ」
「もう今更だが一応聞いておこう、どう可視化された?」
「一言で言うと、他校の不良生徒、んで実力行使可」
「アウトだろ! 何されても文句言えねぇじゃねえか! しかも命がけで身体データって! 泣きたいんだけど!」
「仕方ない、なら更に報酬としてボクの履いているパンツを見せてあげよう、男の子には女子のパンツを見せればそれだけでハッスルハッスル、万事解決♪」
「この野郎! お前絶対見せろよ! はふわ!!」
と返す刀で振り上げてきた棍棒を回避してそのまま走って逃げて、更衣室から脱出した。




