やるやろ会の電脳妖精、ツキヨミ・ソウギョク
こんな夢を見た。
朝起きると掛布団がこんもり盛り上がっており何やら柔らかい感触、なんだろうと思って布団をめくってみるとサクヤがベッドの中に潜り込んでいた。
びっくりして「お前何しているんだよ!」とか顔を真っ赤にして慌てつつラノベ主人公のような突っ込みにサクヤはこんなことを言うのだ。
「寝顔を見てたら思わず潜り込んじゃった♪」
とか言って、んでそんなオマセなくせに男の朝の生理現象を見て真っ赤になっちゃうみたいな。
そんなベッタベタなラブコメな夢だった。
嫌いじゃない、むしろ好き、いいよね、そういうの、まさにお家芸、いや伝統芸能と言い換えてもいいのではないだろうか。
とそんなことを思いながら、目が覚めた。
なかなか悪くない目覚め、と思ったらベッドがこんもりしていて、なにやら柔らかな感触した。
ん? なんだこれと、もぞもぞと動いてみると、フニッとなにやら柔らかい感触がした。
え? ひょっとして夢が現実とリンクしているパターン? ドキドキ。いやいや女の子が男の寝床に潜り込むって、あのサクヤだったらあり得るかも。
そのままめくると……。
女の子特有のいい香りがして……。
――薄いタオルをぐるぐる巻きにした、鼻と口しか出ていないミイラがそこにいた。
「ぎゃああああ!!」
俺の叫び声にミイラはビクッと震えるとムクリと起き上がった、
「びっくりした」
「こっちがね! ってその声はサクヤ!? な、なんだよ! 驚かすにしては悪趣味だぞ!」
毛布を取ると確かに声のとおり、サクヤの顔が出てきた。
「驚かす? そうじゃない、昨日怖い夢を見た、ブルブル、イシスはいなかったし、一緒寝てほしかったの」
「あ、ああ、それは分かった、って一緒に寝るとか男だぞ俺は、ってもうどこから突っ込んでいいのやら、そもそもそのぐるぐる巻きは何?」
「女心が分かってない」
「へ?」
「女は寝顔を見られるのを嫌がるもの」
「それは女心の問題なのか?」
と思いつつ洗面をサクヤと並んで終わらせる、そのあと制服に着替える、着替えはしっかりとサクヤは自分の部屋に戻って、って当たり前なんだけど、くそう残念。
そんな悶々としたリビングへ出た時だった。
カタカタとリビングで全裸で何やら機械、コンピュータだろうかパソコンだろうかをいじっている女の子がいた。
(ええーー!!)
無言で驚く俺に全く気付いてもいない様子で作業に没頭している。凄い集中力でひたすら熱心に作業をしているようだ。
って凄い困るんだけど、目の保養とかの問題じゃなくて突然過ぎて理解が追いつかない、でもここにいるってことはこの子もやるやろ会の一員なのかって、どうしよう、どうしたらいいんだろう、もう、参ったな、寝起きで既に頭が限界なんだが……。
と立ち尽くしているときに制服に着替えたサクヤが現れた、よしここはもうサクヤに頼むしかない。
「なあサクヤ、ほら、あの」
俺が突っ込むとろくなことにならなそうだ、小声で女の子を指さしながらサクヤは女の子を見ると「うんわかった」と頷いてくれた。
「前に言った彼女がツキヨミ・ソウギョク、私の言ったとおり基本全裸でしょう?」
「ああ、そうだよな、そんなこと言ってたな、ははっ」
「それとこのモードの時に話すと怒られるからスイッチがオフになるまで放っておくのが一番、さて、私は朝食を作るね、それとイシスは生徒会の仕事があるから席を外している」
とテキパキと朝食の準備を始めるサクヤ。
そんなこんなで、スイッチがオフになるまでに裸の女の子の横でモーニングコーヒーを飲むまでマッタリするというシュールな時間を過ごしたのであった。
●
「初めまして、ボクはエラルナ女子学院中等部3年、ツキヨミ・ソウギョク、先ほどは面白みのない体を見せてしまい失礼した、一回スイッチが入ってしまうとそのままの没頭してしまうのさ、昨日は妙にテンションが上がってね、何故かやるやろ会に1人もいないから勢いで全裸になった瞬間にスイッチが入ってしまってね、こうなったというわけさ」
(凄いなこの子)
そんな自己紹介から始まったツキヨミと名乗った女の子、もちろんちゃんと制服を着ている、というかちゃんと制服を着ているとかそんなことをいちいち言わなければならないのが凄いけど、黒髪ロングの小柄な俺より年下の女の子だ。
「えっと、俺は」
「知っている、天御クサナギ先輩だね、異世界から呼び寄せた能力者で能力名は、拳銃輪舞だね」
「思いっきり中二病…………って」
そういえば、サクヤの剣舞大乱闘とか光学迷彩とか、今のツキヨミの言葉とか、思えばそれだけじゃなくて、俺が元いた世界についても色々と情報は仕入れいていた様子だったが、そもそもどうやって情報を仕入れたんだろう。
そんな疑問を察したのかツキヨミが端末をポンポンと叩きながら衝撃の事実を教えてくれた。
「ああ、これでさっきまで君の元いた世界の情報を収集していたところだよ、日本という国はエンターテイメントコンテンツが豊富で素晴らしい国だね」
「そんなことできるのか!?」
「出来るよ、イシスの感知能力を晄水化して、この時計塔と連動、つまり君を感知して呼び寄せた要領なんだけど、詳しい説明は省くとして、この端末から君の世界の「インターネット」につなぐことができる。面白いよ、イシスも言っていたが純粋な物質文明なんだね、だから能力者がいないのかな」
「インターネット、まじかよ、すごいな能力者、なああの光学迷彩とかは」
「あれはボクじゃないよ、ボクの能力についてはひとまず置いておくとして、実は今日は用事があってきたんだよ」
「用事?」
でもそろそろ学院に登校しなければいけないと思うのだが、そんな俺の思いをよそにツキヨミは続ける。
「ボクは普段、学園都市のネットワークの海を泳いでいるのだけど、ちょーっとしたトラブルが発生してね、天御クサナギ先輩、先輩に、色々と手伝って欲しいことがあるのだけど、いいだろうか」
とのこと、ちょーっとしたトラブルか。
淡々と話しているが本来登校する学院をサボってまでの用事という事だ、これはもうわかるぞ、明らかにちょーっとしたじゃないな。
「なんかすごい嫌な予感がするからヤダ」
「…………」
「…………」
「そういえば、君が風呂で乙女たちを視姦した時の話なんだが」
「言い方!」
「その風呂にボクも入っていたんだよ」
「…………ふーん」
「知らない男の人に裸を見られて、ボクはとってもショックで、呆然自失のまま自室に戻り、事実を認識したとき、あふれ出る涙が止まらなかったんだよ」
「お前さっきまで裸で俺の前に堂々と姿現してたじゃねーか」
「というわけで、お詫びとして手伝ってもらうよ、というか手伝わなかったから学園ネットワークに匿名で覗きを中心としたあることないこと拡散しまくる」
「結局最後は脅しかよ! わかったよ! 何を手伝えばいいんだよ!」
「それはボクの遊び場で説明しよう、サクヤ、イシスが来たら、天御先輩を借りると伝えておいてくれ」
「ちょっとまって、ツキヨミ、ちゃんと真面目に部活を出るようにイシスが言っていた」
「断る、出席は自由であるという条件で引き受けたんだ、力は貸すけど、それはあくまで自分の意志だよ」
「そうだった」
「分かればよろしい」
「こうやっていつも丸め込まれてしまう
「丸め込まれる要素は無いと思うが……」
次回は明日投稿します。




