やるやろ会の女性騎士、サクヤ・コンゴウ⑤
――学院長室
「天御クサナギか……」
荘厳なつくりの学校長室の窓を背にイシスの報告を受けている学院長エイル、長身のセミロングの金髪で煽情的な服を着つつ麗人の雰囲気を併せ持つ女性だ。
その横で時計台や学生寮の方向に向けて片手で望遠鏡を作り、片目で何かを見ているイシス。
「何か見えるのか?」
イシスの能力は、能力者の探知、範囲は異世界でも探知できる能力ではあるが、能力者の索敵能力も兼ねている。
サクヤには任せていたけど大丈夫かと思って確認していたのだ。
「あらら、クサナギが女子風呂に入って注意をされてるわ」
「女子風呂に入る? 覗きでもしたってことか?」
「いいえ、窘められて終わっているところを見ると、間違えたみたいね、大方サクヤが何言わず案内してクサナギも何も聞かず入ったのでしょう」
ははっと吹き出す学校長。
「サクヤは本当に、まあそこが可愛いのだけど。ただ間違えたとはいえ早速やらかしてくれたね、早速処分をしなければならないわけか」
「あら、その程度で動揺するお嬢様ではないはずですわ」
「そういう問題ではないよ。それでは学院の体裁は保てないし、私の体面もあることは理解しているな?」
「お察しします」
「彼の処分と待遇については明日までには連絡する、天御についての報告書はいつもの書式で同じように明日までにお願いするぞ、それにしても……」
やれやれとばかりにため息をつく学院長。
「まったく、娘に甘いと言われても言い訳できんな、頼むからやるやろ会を早く軌道に乗せて貢献をしてくれよ」
愚痴る学院長に対してイシスは微笑む。
「はい、わかっておりますわ、母様」
――時計塔・やるやろ会・共用スペース
「ということよ、貴方の覗き行為について現在学院長は処分を検討中よ」
「シクシク、初日で変態のレッテル、シクシク、元の世界じゃ性犯罪だけはしなかったんだぞ」
「心配しなくても大丈夫よ、ここから出ていけとかにはならないと思うから」
「ホントかよ……」
というか、あの女子達もあんまり動じてなかったよな。うん、女って意外とたくましいよね。
「ただ湯船の件についてはククリに頼んではみるけど、しばらくはシャワーで我慢してちょうだいね」
「はい、お手数おかけします」
ククリ、あの爆弾でボーリングしていた子か、その子が機械とか作るんだろうな、不安しかないが、ペコリと頭を下げる俺に微笑むイシスであったが、ポンと手を叩く。
「さて、今日はもう寝るだけだけど、最後に私のお気に入りの場所に案内してあげるわ」
●
イシスのお気に入りの場所、そこは一旦部室を出て、廊下の両端にある階段を上った先、そこは時計塔の屋上部分、ここで洗濯物を干したりするそうだけど……。
「おお~」
と手すりに身を乗り出して見える光景に感嘆のため息が出る。
凄い、ここが小高い丘の上にあるから学園都市が一望できる、夜景が綺麗だ。
「リーディエル王国唯一の教育機関である学園都市、それがここからだと一望できるの、昼間も見ごたえがあるけど、私は夜の方が好きなのよ」
同じく手すりに身を乗り出す形で景色を眺めるイシス。
「あの灯りの一つ一つに人々の生活があって、そのほぼ全てと関わることは無いのだろうけど、何故か心が穏やかになるのよ」
「ん、なんかそれは分かる、ちょっとホッとするよね」
と言ってイシスを見ると既にイシスがじっとこちらを見ていたのでびっくりしてしまった。
そんな俺にクスクス笑うと笑顔でこう告げてくれた。
「ようこそ、エラルナ女学院へ、そしてやるやろ会へ」
――第2話・完。
――次回・第3話「買い出しの日常①」へ続く
――10日か11日に更新予定
登場人物・メモ
<サクヤ・コンゴウ>
・リーディエル王国女性騎士、エラルナ女子学院高等部1年、身長154センチ。
神々しいまでの美貌、成績トップ10の常連、そして天才女性騎士ということで、学院では一目も二目も置かれているが、目を離すと何をするか分からない、ハイスペックハイパー天然残念女。




