06 もみもみ
アリアの部屋は五階建てのアパートメントの最上階だった。
どう考えても玄関からベッドを入れることは出来ないので、ベランダから侵入する。
ベッドごと人の部屋に行くのは非常識かも知れないが、このベッドと俺は最早、一心同体。
離れることなど出来ないぜ。
「何もない部屋ですが、どうぞ、くつろいでください」
アリアの言葉どおり、その部屋には古びたベッドに、タンス、あとは小さな机と椅子があるだけだ。
女の子の部屋なのだから、もっと華やかでもいいのに……きっと借金を返すのがやっとで、遊ぶ余裕などなかったのだろう。
「あれ!? 何もない部屋だったのに、いつの間にか豪華なベットがど真ん中に出現しています!」
「ごめん……邪魔かな?」
「いえいえ! 今のはただのボケなので、適当につっこんでください! あ、いや、私のボケが分かりにくかったんですね! ごめんなさい!」
「いや、こちらこそ……」
元気な子だなぁ。
「ところでテツヤさんはいつまでベッドの上にいるんですか?」
「え……歩くのが面倒だから、可能な限りここに寝転がっていたいんだけど……」
「…………きっと私には想像も出来ない深い理由が」
「いや。本当、単純にダラダラしたいんだ」
「え……うーん……ちょっと待ってください。今、擁護する言葉を考えます!」
アリアは腕を組んで悩み始める。
「別にそう無理して持ち上げなくてもいいんだけど」
「いえいえ。テツヤさんは私の命の恩人ですから。必要以上に持ち上げていきますよ!」
「あんまり嬉しくないから、やめて欲しいなぁ」
「そうですか! 私も疲れるのでやめます! 正直、ベッドから動かない理由はどうかと思いましたし!」
アリアはグサっと突き刺さることを言い放つ。
これ、リアルにショックですよ。
さっきまでヨイショしてくれた人が急に叩き付けてきたんだもん。
うわーん、ゴロゴロ。
「ご、ごめんなさいテツヤさん! 泣かないでください! ああ、よしよし。好きなだけベッドの上にいていいんですよー」
俺が半べそになっていると、アリアはぎゅっと抱きしめてくれた。
おっぱいに顔が埋まる!
更に頭をなでなでしてくれた!
おぎゃーおぎゃー。
くぅぅ、バブみ高いぜ!
「ありがとうアリア……俺、気が済むまでベッドの上でゴロゴロするよ!」
「……あ、はい。頑張ってください」
微妙に憐れんだような声色になっていたのは気のせいだよね?
「けどテツヤさん。真面目な話、ずっとベッドの上にいたら、運動不足になってしまいますよ。私、テツヤさんのように強い人が運度不足で弱体化するのは、ちょっと看過できません!」
そんなこと言われてもなぁ。
ここはしょせん夢の中だから、運動不足も何もないんだよ。
どうせ朝になったら、嫌でも飛び起きなきゃいけないんだし。
「そうだテツヤさん。ここまで歩いてきたら……私の胸に触ってもいいですよ!」
アリアはそう言って、部屋の端に立つ。
「マジで!? マジで触っていいのッ? そんなこと言われたら俺……触るって言うか揉むよ? 揉みしだくよ!」
「大丈夫です! さっき飛んでいる最中にテツヤさんに揉み揉みされたのが気持ちよかったので……むしろ望むところです!」
「スケベ娘! これはお仕置きが必要だな!」
「はい! えっちなアリアにお仕置きしてください!」
俺はベッドから這い出し、アリアに飛びかかった。
【レベル137になりました】
【ステータス鑑定を習得しました】
揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み。
揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み揉み。
もみもみもーみもみ!
「あ、ちょっとテツヤさん……それはやりすぎ……ひゃん! そんな的確な揉み方されたら私……はぅ……力抜けちゃいます……」
俺がもみもみしまくると、アリアは恍惚とした顔になり、くてんと倒れてしまった。
「だ、大丈夫かアリア! ごめんやり過ぎた!」
「ふぇぇ……大丈夫です……気持ちよかったので」
なんて嬉しいことを言ってくれる子だろうか。
しかし腰が抜けて立てなくなっている。
仕方がないので、抱き上げて俺のベッドまで運んであげる。
【レベル141になりました】
「ところでアリア。君、何歳なの?」
「え? 十四歳ですけど……それが何か?」
俺、十四歳の少女のおっぱいを揉みしだいたり、顔を埋めてオギャーとかやってたのか。
最高にアレな感じだな。
夢でよかった!
「大丈夫ですよ。私をドラゴンから助けてくれたテツヤさんは最高に格好良かったです。あの男気と強さで全てのマイナス要素を相殺できます。私はテツヤさんがどんなにグータラでも、ロリコンでも受け入れます! テツヤさんはすでに私のハートをグッと鷲掴みしてます!」
「そんなに? 俺、そんなにアリアのハートを鷲掴みしてるの?」
「そうですよ。あんなことされて好きにならない女の子はいません。だから気をつけてくださいよテツヤさん。私以外の女の子に惚れられてはいけません! ああ、しかしピンチの女の子を見捨てろと言っているのではありませんよ。あんまり格好良くない感じで助けてあげてくださいね」
割と無茶振りだなぁ。
まあ、善処しよう。
それよりも、アリアが寝転んでいるのだ。
俺も隣に寝転がろう。
ゴロリン。
「あのテツヤさん。私、さっきのもみもみで結構疲れてるので、今日はもう……」
「大丈夫。今日は何もしない。添い寝するだけ」
「テツヤさんが紳士で助かりました! ああ、しかし、どうしても我慢できなくなったら言ってくださいね。私、頑張ります!」
いい子だなぁ。