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44 大ピンチ

「いやー、まさか本当に古竜を倒してしまうとは。流石はさすテツ。さすさすテツですよ」


「ちょーかっこ良かった。今日は帰ったら、好きなだけモフモフしていい」


「お兄ちゃん、お兄ちゃん。うわーいお兄ちゃぁぁぁん!」


「くっ、まさか伝説の古竜をたった一人で……何という男なんだキミは……!」


 降りてきた皆が、俺のことを褒めてくれる。

 まあ、今回ばかりは俺も真剣に頑張ったから、素直に褒められておこう。

 もっと褒めて!


「ロゼッタさん。ご覧の通り古竜は死んだので、進軍してくる人たちに伝えてください。もう帰っていいよ、と」


「ああ。しかし信じてくれるだろうか……」


 なるほど、確かに。

 一国の総力をあげて討伐しようとしたモンスターを、ベッドの上でゴロゴロしてるだけの男が倒しちゃったんだもんなぁ。

 俺だったら絶対に信じないね!


「ともかく帰りましょうよ。あとは私たちの仕事じゃありません。信じようが信じまいが、古竜の死体はここにあるわけですから」


 アリアの言うとおりだ。

 皆が信じず、ここまで行軍してきたとしても、死体を見れば分かる話。

 とにかく、これで大陸は救われたのだ。

 明日からまたぐーたら出来る。

 それが一番大切である。


「よし、帰るぞ。風呂に入りたい気分だぜ」


 俺たちはベッドに。

 ロゼッタさんは竜のまたがる。


 全員が完全に安心しきっていた。

 が、そのとき。


 古竜の背中が割れる。そして闇が噴き出した。


「な、何ですか……!?」


 まっさきにアリアが声を発する。

 それっきり、誰も喋らない。

 それほど……それほどのナニカが古竜の死体から出てきたのだ。


 真っ黒なモヤというか霧というか、そんなものが広がり、集まり、固まり……人の形を作っていく。


「……くくく。よくぞ我が外殻を破壊してくれた、人間よ。感謝する。おかげで真の姿になることが出来たぞ」


 集まった黒いモヤは長身の若い男の姿となる。

 俺はそいつのレベルを見て、頭が真っ白になった。


 レベル、60000。


 何度確認しても、そう表示される。

 まさに、桁が違う。

 なんだ、これは。どうなっている?

 ここに封印されていたのは古竜のはずだ。

 こんな訳の分からない男がいるとは聞いちゃいない。


「誰なんだ、お前は……」


 俺はかろうじてそれだけを口から絞り出す。


「誰、であると? 愚問。我は竜神よ。竜が古竜となり、やがて竜神へと進化する。長き封印のときを歴て、そしてそなたの一撃を吸収し、我はついに竜神へと到ったのだ!」


 いきなり新設定を出してんじゃねーぞ!

 というか、古竜絶対殺すビームを直撃させたのに生きてるなんて、どうなってんだ!


【古竜は絶対に殺せますけど、竜神は無理なんですよ】


 おまけで竜神も殺せるようにして!


【無理です!】


 無理なのか。

 くそ、俺のレベルは10000。相手は60000。

 50000の差を覆す時間はない。

 こうなったら、一先ず……。


「逃げようッ!」


 俺は大声で叫ぶ。

 それで皆が正気に返り、脱兎の如く竜神に背を向けた。

 こうして走っていればそのうちレベル60000になるだろう。


「くくく……愚か者。逃がすと思ったか。貴様ら人間どもを滅ぼし、この地上を竜の楽園にしてくれるぞ」


 背後から、巨大な魔力を感じた。

 ヤバイ。これでは全員が木っ端微塵にされる。

 俺が足止めをして、皆を逃がすか!?

 しかし俺が死んだら、本格的に人類が終わるぞ!

 どうしたらいいんだ!

『勇者と賢者の酒蔵 ~酒造りの天才が異世界で日本酒を造ってガンガン駆け上がる~』という新作を書いているので、そちらもよろしくお願いします!

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