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43 古竜絶対殺すビーム

 伝説の古竜。

 アリアやミミリィたちの怯えかたを見ても、俺は正直、舐めていた。

 自分なら一撃で倒せるだろうと、そう思っていた。

 だが、カルバ山の山頂にいたその黒い巨体を見た瞬間、俺は冷や汗をかいてしまう。


 まずデカイ。

 頭から尻尾までの全長が確実に百メートルを超えている。

 そして、体の周りにたちこめている暗黒のオーラが、触れてはならぬ存在であると如実に語っていた。

 おそらく、並の兵士や冒険者では、あのオーラに近づいただけで死んでしまうだろう。


 だが、まだ古竜は完全に復活していない。


 その全身には光の鎖が巻き付いていて、山の岩肌に縛り付けていた。

 おそらく、あの鎖こそ、五百年前に勇者が施したという封印なのだろう。

 あれが千切れたとき、古竜は真の復活を果たす。


「くっ……分かっていたことだが、こうして改めて見ると、凄まじいな」


「テ、テツヤさん大丈夫ですか!? さすテツ出来ますか!?」


「私は引き返して皆と合流することをオススメする……」


「お、お兄ちゃん、早く逃げようよ!」


 古竜の姿を間近で見た彼女らは、逃げることだけを考えている。

 実際、俺だって恐ろしい。

 しかし、ここで逃げるわけにはいかない。


 俺のレベルは現在5000丁度。

 古竜と戦うため、庭を歩いて鍛えたのだ。

 対する古竜は……なんとレベル10000。

 俺を遥かに超えている。


 あんな化物と戦ったら、何人死人が出るか分かったものじゃない。

 下手をすれば全滅だ。

 ならば……俺一人で倒すしかない!


「皆はベッドに乗って逃げるんだ!」


「え? ちょっとテツヤさん、何をするつもりですか!」


 止めるアリアの声を振り切って、俺はベッドから飛び降りた。

 古竜の眼前に着地。

 それと同時に攻撃スキルを発動。


地平の(ホライゾン・)彼方まで絶対零度(アブソリュート・ゼロ)!」


 俺の前方に巨大な氷が広がり、古竜を閉じ込めてしまう。

 その氷の塊は、見える範囲全てを覆い尽くす。

 しかし、分厚い氷の奥から、古竜の咆哮が聞こえる。

 恐るべき超振動で、氷を溶かし、そして打ち砕いた。

 あっという間に、古竜の周囲から氷が消えてしまう。


「ちっ、流石だな古竜! レベルが5000も違うだけある。けれど、俺だって勝算なしで来たわけじゃないぜ。見ろ!」


 そう。

 俺には必勝の策がある。

 それは超高速反復横跳び。

 こうして古竜と対面しながら、俺はずっと左右に動き、レベルを上げ続けていたのだ。


「よっしゃぁ! とりあえずレベル8000の時空断裂剣を喰らえ!」


 俺の手から暗黒の刃が伸びる。

 それはあらゆる物質を空間ごと切り裂くという、最強の剣だ。

 これなら古竜といえど切り裂けるはず。

 と、思いきや。


「GOOOOOONNNNNNN!」


 古竜が唸り――そして喉の奥から黒い塊が発射された。

 それは時空断裂剣と激突し、俺の腕に激しい振動を伝える。

 それどころか――。


「時空断裂剣が消滅した!?」


【気をつけてください。今のは時空断裂ブレス。時空断裂剣と同等の力を持った古竜の必殺技です】


 な、なんだってー!

 俺よりレベルが高いうえ、そんなものまで持っているのか。

 だが、絶望にはまだ早いぜ。

 俺もようやくレベル10000になった。

 これで互角!

 そして覚えた新しいスキル!


「古竜絶対殺すビーム!」


 俺の手の平からもの凄い光が噴き出し、古竜に直撃する。


【説明しましょう。古竜絶対殺すビームとは! 古竜を絶対に殺すビームなのです!】


 メニュー画面がテンション高めに説明したとおり、ビームを喰らった古竜は息絶えた。

 首や四肢が地面に落ち、轟音が鳴り響く。

 勝った! 歩くだけでレベルアップ、完!


「テツヤさーん!」


 空からアリアの声が聞こえる。

 俺の勝利を見た彼女らが、ベッドを急降下させてきたのだ。

 まったく、逃げろと言ったはずなのに近くで見ていたとは、悪い子たちだぜ。

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