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33 いい湯加減

 水着に着替えた俺たちは風呂場に行く。そして俺の指先からほとばしる草津の湯シャワーで体を洗った。


「お兄ちゃん、エリーにもっとかけて!」


「テツヤ、私にも」


「もっと! もっとぶっかけてください!」


 普通にお湯をかけてるだけなんだけど……なぜかいかがわしい。


「ああ テツヤさんのが熱いです! テツヤさんから出てくる熱い液体を私に沢山ぶっかけてください!」


「アリア。ちょっと落ち着こうか」


「ごめんなさい、悪ノリし過ぎました!」


 アリアは舌をペロリと出す。


「ねーねー。お兄ちゃんとアリアも早くお風呂に入りましょう」


「とてもいい湯加減」


 俺とアリアが下ネタまがいのことをやっているうちに、エリーとミミリィは一足早く湯船に浸かっていた。


「なにかこう……自分がバカになった気分がしませんかテツヤさん!」


「言っておくけど、バカなことを言っていたのはアリアだけだからね」


「ぐぬぬ!」


 などと言い合いながら、俺たちも湯に浸かる。

 しかし、本当にいい湯加減だ。

『いい湯加減のお湯が指先から出てくるスキル』という名前、伊達じゃない!

 しかも日本三名泉のお湯が選べるらしいから、草津温泉だけでなく、有馬温泉と下呂温泉も出せるのだ。

 今度試してみよう。


「テツヤ。このお湯は体にいいお湯?」


 ミミリィがそう呟いた。


「草津温泉だから、いいだろうね」


「おっぱい大きくなる?」


 やはりそれが気になるのか。


「……可能性はゼロじゃない」


「私は今、あせっている。可及的速やかにおっぱいを大きくしたい」


「……それはなぜ?」


 ミミリィは今までも胸の小ささを気にしていた。

 しかし、どうして急に『可及的速やか』なんて言い出したんだろう。


「エリーの身長が私より小さいから油断していた。胸はエリーのほうが大きい」


 と言ってミミリィはエリーを指差す。

 ……なるほど。

 ミミリィの胸は完全無欠に平らだ。まったくの無だ。

 対してエリーは一応、膨らみかけである。


「ふふふ。エリーは立派なレディへの道を歩んでいるのよ。大きくなったら、ナイスバディになるのよ。そして、お兄ちゃんのお嫁さんになるの!」


 そう宣言し、エリーは俺の腕を抱いた。

 可愛いなぁ。

 けど、エリーって大きくなるのかな?


【実体化しても幽霊は幽霊ですから、もう成長しませんよ】


 やっぱりそうなんだ。

 可哀想だから黙っていよう。


「テツヤさんのお嫁さんは私ですよ。エリーさんは可愛いですが、これだけは譲れません!」


 アリアもまた俺の腕に抱きついてきた。

 ムニッっというこの感触。

 うむ、素晴らしい。

 こればっかりはアリアの圧倒的な勝利だ。


「いやよ、お兄ちゃんはエリーのなんだから。お兄ちゃん、今ここで決めて! 婚約しましょう!」


 エリーが無茶を言い出した。


「婚約は……もっとじっくり考えて決めようよ。エリーはまだ子供だから早いよ」


「そんなことないわ。だって私、十歳のときに幽霊になって、それから十年経ったから、合わせて二十歳よ!」


 そういう計算で来たか。


「けど、十年間、ずっとこの家から出てないんだろう?」


「出てないわ。暇だからほとんど眠っていたし」


「だったら、十年分の人生経験にならないね。やっぱり君は子供だよ」


「むー。お兄ちゃんのイジワル!」


 エリーはほっぺを膨らませる。やはり子供だなぁ。


「ということはテツヤさん。私と婚約を!?」


 なにが『ということ』なのか。


「アリアだって子供だから婚約は早い」


「子供じゃないですよ、十四歳ですよ!」


「子供じゃないか」


「違います! こんなに大人ですよ! ほら!」


 そう言ってアリアは胸を張る。

 すると、たわわに実ったおっぱいが水面に浮き上がった。

 むむむ、これは確かに大人かもしれない。


「ふっふっふ。どうですかテツヤさん。もし私が子供だということになれば、テツヤさんは子供のおっぱいに興奮している犯罪者ということになってしまいますよ。それがイヤなら、私を大人と認めるのです!」


 別に犯罪者でもいいのだけど、しかし困った。

 なんとかアリアを子供ということにしないと、婚約することになってしまう。

 アリアのことは大好きだけど、まだ婚約とか結婚は考えてないからね。

 というか、いくら胸が大きくても十四歳は十四歳だよ。


「さあさあ、テツヤさん。この胸があなたのものになるんですよ。しかも、まだまだ成長中ですからね! 日々大きくなっていく私の胸の変化をお楽しみください!」


 おお、それは楽しそう!

 けど、墓穴を掘ったなアリア!


「成長中ってことはつまり、子供ってことだぞアリア」


「はっ、言われてみれば!」


「それに婚約しなくても、アリアの成長は楽しめるしなぁ」


「ぐぬぬ……いいですよ! 確かに婚約なんかしなくても、私の全てはテツヤさんのものですから! ですから一生そばに置いてくださいね!」


「まあ、俺のほうから離れることはないよ」


「ならば問題ありません!」


 アリアは安心したらしく、それ以上何も言わずに再び抱きついてきた。

 右にはアリア。左にはエリー。

 ならば、残るミミリィも抱きついてくるのかなぁ、と思っていたのだが。


「私は温泉成分を胸に染みこませるので忙しいから。期待を込めた眼差しを向けられても」


 と、断られてしまった。

 しくしく。

 まあ、ミミリィはぺったんこだから、抱きつかれてもあんまり気持ちよくないんだけどね。

 やっぱりミミリィは耳と尻尾が一番!

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