表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/46

24 レベルリース発動!

 俺たちが砂浜でじゃれ合っていると、「巨大イカだ!」という村人の叫び声が聞こえてきた。

 慌てて海に視線を向けると、もの凄い水しぶきが上がっていた。

 その中心には巨大な影があった。

 こちらに近づいている。


「あれがイカ!?」


「水中なので、いまいち姿が分かりにくいですねぇ」


 と、俺たちは呑気にしていたのだが。

 そのイカは不意に立ち上がった。

 バシャーンと海を叩き割るようにして姿を現わしたイカは、思っていたより遥かに大きかった。


 二十……いや三十メートルはあるかもしれない。

 でかい!

 これもう怪獣じゃん!


 こりゃ確かに普通の冒険者には無理だ。

 というか、こんな大きなイカがいたのに、よくこの村、今まで無事だったな!?


「ど、どういうことだ! 情報よりも更に大きいぞ!」


 ロゼッタさんが叫ぶ。

 ああ、今まではそんなに大きくなかったのね。

 どういうことだろう?

 海にいる生き物を食べまくって大きくなり、そして食べる物がなくなったから陸に上がってきたのか?

 ということは、あのイカは今、お腹を減らしている!


「キミたちは早く逃げろ! あれと戦うのは騎士である私の役目だ!」


 ロゼッタさんは竜にまたがり、空を飛ぶ。

 そして剣を抜いて、そこに魔力を溜め込んだ。


「くらえ!」


 巨大イカの触手が竜に迫る! しかし、すれ違いざまにロゼッタさんの剣がそれを切断してしまう。

 刃渡りとほとんど変わらない太さの触手だというのに。

 ロゼッタさんの腕が凄いのか、剣が凄いのか。

 多分、両方だろう。


 しかし、イカも凄い。

 何と斬られた断面から、新しい触手がすぐに生えてきた。

 どうもイカのくせに回復魔術を使っているらしい。

 そして、新しい触手でロゼッタさんを竜ごと叩き落す。


「なっ!?」


 流石のロゼッタさんも、こんなに早く触手が生えてくるとは思っていなかったようだ。

 防御も回避も間に合わず、海に落ちてしまう。


 それにしても、レベル70のロゼッタさんを翻弄するなんて、あのイカどのくらいの強さなんだ?

 調べてみよう。



名前:巨大イカ

レベル:141

HP:49060

MP:2511

攻撃力:650

防御力:737

素早さ:344

幸運:289



 こりゃ凄い!

 レベル100オーバーということは、俺が森で倒したドラゴンより強いってことだ!

 しかもHPが滅茶苦茶高い。

 ボスキャラの風格があるぞ。


 けれど大丈夫。

 なにせ、今の俺はレベル900を超えている。

 そのステータスはこれだ!



レベル:905

HP:71165

MP:69101

攻撃力:3432

防御力:2464

素早さ:2010

幸運:2799



 確信して言える。

 絶対、俺が勝つ。


「た、大変です! ロゼッタさんを助けに行きましょう!」


「私を小さいと言ったことを撤回させるため、助ける」


 アリアとミミリィまで張りきっている。

 けれど、この二人は無理だ。

 巨大イカに一撃でやられてしまう。

 ロゼッタさんを助けたいという思いは分かるけど、今度ばかりは大人しくしているべきだ。


 あ、いや、待てよ。

 昨日覚えたスキル。

 レベルリースというのが気になる。

 なにせリースといえば貸賃契約のことだ。

 もしかして、俺のレベルを他の人に貸したり出来るのか?


 と思って説明文を読むと、

【キスをすることにより、十分間だけ自分のレベルを望むだけ相手に貸し出すことが出来る。ただし、その相手はあなたと相思相愛でなければいけない】

 と、書かれてある。


 ふむふむ、なるほど……ってキスっ?

 しかも相思相愛じゃないと駄目だって!?

 それはハードルが高い。

 けれど、確実にレベルリースが使えそうな女子がここに一人いる。


「アリア! 君は俺のことが好きか!?」


「ふぇっ! きゅ、急に何ですか! 好きに決まってますよ!」


「よかった! 実はレベルリースというスキルを覚えて、それを使うと、キスした相手に俺のレベルを十分間だけ貸すことが出来るらしい! アリア、俺とキスしてくれるか!?」


「は、はい! 喜んで!」


 なんてスピーディな展開だ。

 流石はアリア。さすアリ。


「テツヤ……私もキスする……」


「え、ミミリィも!?」


「ロゼッタを助けたい」


「けど、相思相愛じゃないと駄目なんだよ! 俺はミミリィのこと好きだけど……」


「私も……実は好き」


 チョロインだった!

 万歳!


 よーし、ベロチューしちゃうぞ。

 ちゅ、ちゅぱ、んちゅ、ぺろぺろ、ちゅ……んちゅ!(かける2)


「ふぁぁ……これがキスの味……」


 アリアは恍惚とした顔になる。


「……ここまでペロペロする必要あったの?」


 ミミリィもトロンとした顔になって呟いた。

 ペロペロする必要、ないと思う。

 これは俺の気持ちの問題だ!

 君たちだって抵抗しなかったでしょ!


 キスのおかげで少女二人はレベル25から一気にレベル225だ!

 代わりに俺は400ダウンでレベル505になった。

 しかし十分強い。


 俺たちがキスしている間、ロゼッタさんは再び竜を飛ばして、果敢に戦っている。

 流石は騎士団だ。

 しかしレベル70とレベル141では、どんなに戦術を練ったところで、勝負は覆らないだろう。


「よーし、ロゼッタさんを助けるぞ!」


「今の私ならドラゴンだって一撃です!」


「今夜眠れそうもないほど力が沸いてくる」


「ミミリィ、今夜眠れないのはキスが忘れられないからじゃないかい?」


「……は、恥ずかしいこと言わないで」


「それを言うなら、私だって眠れそうもありません! あ、いや、そんなことを言っている場合ではありませんよ!」


 確かにアリアの言うとおりだ。

 ロゼッタさんを助けるため、巨大イカに突撃だ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ