23 サンオイルぬるぬる
そして次の日。
海には入らないという予定を守り、アリアとミミリィは砂浜で大きな城を作って遊んでいた。
俺はそれを眺めながら、ベッドにゴロンと横になる。
せっかくなので日焼けしてみよう。
ベッドを飛ばして売店に行き、サンオイルを買ってくる。
寝転がったまま買い物できるなんて……便利な世の中になったなぁ。
しみじみ。
「おーい、二人とも。サンオイルを塗ってくれ」
「ベッドに寝転がったままですか?」
「布団がベトベトになりそう」
言われてみればそうだ。
これほど質のいい布団はもう手に入らないと思う。
大切にしないと。
というわけで俺はベットから転がって降りる。
ゴロゴロ。
砂浜の上に仰向けになり、準備完了。
「さあ、塗ってくれ!」
「はーい。ミミリィさん、砂のお城作りは一時中断して、テツヤさんをヌルヌルにしますよ!」
「ぬるぬる」
可愛らしい水着の美少女二人が、俺の体にサンオイルを塗っている光景は、とてもエロい!
うつ伏せだと見えないから、仰向けで正解だった。
いっそのこと、もっとエロくしてしまおう。
「アリア、ミミリィ。手じゃなくて、体で塗ってくれないか?」
「へ? 体でですか?」
「そう。まず君たちの体にサンオイルをたっぷり塗って、それを俺に擦りつけるんだ!」
「い、いくらなんでも駄目ですよ! えっちにも程があります!」
アリアは顔を赤くして首を振る。
流石に照れくさいらしい。
可愛いなぁ。
「ドスケベすぎて引く」
ミミリィは本気で嫌そうな顔をしていた。
これはこれでゾクゾクするぞ!
「えっちじゃないって。ちょっと普通とは違う方法でサンオイルを塗るだけだよ。他に誰もないし……ほら!」
俺がそんな屁理屈を言うと、アリアは「え、でも……」などと呟きながらも、結局、サンオイルを自分の体に塗り始めた。
既にエロい!
「で、では失礼します……」
そしてアリアは俺に覆い被さろうとした。
そのとき、思わぬ邪魔が入る。
「こらこらキミたち。さっきから見ていたが、いくら何でも節度がなさ過ぎだろう。まだ昼間で、ここは外だぞ」
俺とアリアが熱く燃え上がろうとしていたのに、それを冷ますような声が降ってきたのだ。
女騎士のロゼッタさんである。
「ロゼッタさん、見ていたんですか……!」
「えっちです! 覗きです!」
「人聞きの悪いことを言うな! 私が海を監視していたら、キミたちが勝手に始めたんだろうが!」
「じゃあ、そのまま海を監視していてください。俺たちは俺たちで勝手にやってるんで」
と俺が言うと、ロゼッタさんは真剣に怒り始めた。
「バカかキミは! いくら観光客がいないとはいえ、地元の子供が見たらどうするんだ! 教育に悪すぎるだろう!」
「なぜです? サンオイルを塗っているだけですよ?
「そ、そうですよ! 邪魔しないでください!」
アリアまで一緒にロゼッタさんに反論し始めた。
いいぞ!
一度スイッチが入るとエロいことしか考えられなくなるタイプだ!
「どう見たっていかがわしい行為にしか見えん! キミたちの関係をとやかく言うつもりはないが、周りの迷惑を考えろ!」
くそう、反論が思いつかないぜ。
確かに子供に見られたらマズイな。
「もっと言ってやって」
横からミミリィがロゼッタさんを応援する。
この裏切り者!
不思議ちゃんのくせに常識的なことを言うんじゃありません!
これじゃ俺たちが不思議ちゃんよりも非常識みたいじゃないか!
……よく考えたら非常識だなッ!
「分かりましたロゼッタさん。本当に、とてもとても惜しいですが……アリアに体でサンオイルを塗ってもらうという夢は諦めます……」
「テツヤさん、そんな……夢を簡単に諦めたりしないでください! 頑張りましょう! 諦めなければ夢は叶います! いつかきっと!」
「アリア……俺が間違っていたよ! いつか本当に誰もいない海にいって夢を叶えよう!」
「はい!」
俺とアリアは誓い合う。
しょーもない誓いのような気もするが、しかし夢を持つのはいいことに違いない。
よし、頑張るぞ。
「……誰もいないところでやる分には文句はないが……しかし、ミミリィに聞かせる話ではないだろう。こんな小さな子を連れているというのにキミたちは……」
ロゼッタさんは呆れた声を出す。
それを聞いたミミリィはロゼッタさんの服をグイグイと引っ張る。
「昨日も言ったとおり、私はもう十五歳。だから大人」
「あ……そういえばそうだった……しかし、うーむ」
ロゼッタさんは短く唸る。
ミミリィは何か文句でもあるのかという感じで睨み返す。
「こんなに小さいのに十五歳……もしや虐待か!? 御飯を食べさせてもらえなかったのか!?」
「いつもお腹一杯食べてた」
「ではなぜこんなに小さい! 獣人はむしろ人間より体格がいいはずだ!」
「理由なんて知らない。そんなに小さい小さいって馬鹿にしないで」
「すまない、決して馬鹿にしたわけではないのだ……!」
「けど、小さいと連呼したのは事実。私は怒った。あてつけにテツヤにのしかかる」
ミミリィは自分の体をサンオイルでべたべたにし、俺に覆い被さってきた。
胸はないけど可愛いからOKだぜ!
「こらこら! 小さいといったことは謝罪する。だからそういう行為に及ぶな!」
ロゼッタさんは大慌てで竜から飛び降り、ミミリィを抱き上げる。
なんだか世話好きな人だなぁ。
普段はキリッとしているイメージだから、こういう風に慌てた姿はギャップがあって面白い。
この人も水着になって俺にサンオイルを塗ってくれたら最高なのに!