14 温泉が噴き出した!
アリアとミミリィの『胸』と『胸らしき場所』を触っていたら、ベッドのコントロールがおろそかになっていた。
どうやらずっと同じ場所をグルグル回っていたらしく、全く目的地に近づいていなかった。
二人の少女は寝てしまったので、俺は真面目にベッドをコントロールする。
そして辿り着いたのは、随分と乾燥した場所だった。
かつては青々とした草原だったのだろうが、今は枯れ草がどこまでも広がっている。
かなり長い間、雨が降っていないようだ。
「テツヤ。こんな場所に温泉あるの?」
まだおっぱいが大きくなっていないのに、ミミリィは布団から顔を出して呟いた。
「あるはずだ。俺の温泉脈探知魔術がこの真下だと言っている!」
さっきから頭の中で〝ピコーンピコーン〟と反応しているのだ。
「テツヤさんがそう言うなら間違いありません! テツヤさんは、えっちなのと変態なのを除けば完璧なのです! いえ、最近はそれすら素晴らしいと感じるようになってきました!」
もうそれ信者だよ!
あと、言うほど俺は変態でもえっちでもないと思う!
君たちが可愛すぎるから性欲を持て余しているだけだよ!
「さて。どのスキルを使えば温泉掘るの楽かなぁ?」
あんまり次から次へとスキルを覚えたから、何が何だか、全く把握していない。
それにステータスも凄いことになっている。
レベル:261
HP:20856
MP:19005
攻撃力:939
防御力:692
素早さ:556
幸運:770
HPとかアリアの二百倍だ。単位にすると200アリアだ!
……そんな単位はないか。
とにかく凄い。
もっと普通に歩き回っていたら、今頃レベル二万とかになってたのかな?
今の時点で無双してるから、そんなに強くならなくてもいいし、歩きたくないからいいけど。
もしヤバくなったら、ベッドの上で足踏みしてレベル上げよう!
うわぁ、我ながら酷い。
真面目に頑張っている人たちに対する冒涜な気がする。
もっとも、必要とあらば俺は遠慮しないけどね!
「時空断裂剣……どんな物質でも空間ごと削り取る……よし、これが良さそうだ」
レベル100で覚えたスキルだ。
出力の調整をミスると惑星ごと切り裂いてしまいそうな説明文が横に出ているけど、気をつければ大丈夫だろう。多分。
「顕現せよ、虚無の刃。我が意に従い世界を削り取れ――時空断裂剣!」
俺が気分を出すために適当な詠唱をすると、手に黒い剣が現われた。
ベッドから身を乗り出し、下に向け、刃を伸ばす。
すると豆腐に針を刺すように、何の手応えもなく、スルスルと潜っていく。
「テツヤさん、今の言葉はなんっだったんですか!?」
「格好いいと思って呟いてみたんだけど……」
「素晴らしいセンスです!」
俺が何をしてもアリアは褒めてくれる。
君がそばにいてくれて、本当によかった。
「あ、テツヤさん見て下さい! 水が、穴から水が噴き出してます! いえ、湯気が上がっているのでお湯ですよ! 温泉です!」
アリアの言葉どおり、お湯の噴水が地面から上がっている。
人工の間欠泉だ。
よし、次はお湯を貯めるための窪地を作ろう。
時空断裂剣を使って、地面を抉り取る。
三人しかいないけど、思い切って学校のプールくらいの広さにしよう。
「完成だ!」
「凄い……あっという間に温泉が出来上がった」
ミミリィが目をまんまるにして驚いている。
可愛いから撫でてあげよう。
なでなで。
「くすぐったい」
ミミリィは耳を押さえて布団に隠れてしまった。
「ミミリィさん。隠れている場合ではないですよ。せっかくの温泉なんですから。入りたくないんですか?」
アリアがそう言うと、
「入りたい」
ミミリィはぴょこっと顔を出した。
素直でよろしい。
「それじゃ、高度を落とす。いやぁ、風呂に入るのは久しぶりだから楽しみだなぁ」
少女二人と一緒というのを抜きにしても、温泉はワクワクする。
日本人の心だ。
その心に美少女が加わるのだから、これはもう無敵である。
「あ。バスタオル持ってきてない」
地面に降りたミミリィが、耳をひょこひょこ動かしながら呟いた。
しかし、問題ない。
このベッドの収納スペースにバスタオルが入っている。
「じゃじゃーん」
と俺は口に出し、三枚の白いバスタオルを取り出す。
「流石はテツヤさん! さすテツ!」
「認めざるを得ない。さすテツ」
さすテツ二つ頂きました!