13 大おっぱい、無おっぱい
空飛ぶベッドは町の城壁をあっという間に跳び越え、平原に出る。
そして温泉脈探知魔術を発動。
俺の頭の中でピコーンと音が鳴る。
「あっちだ、多分!」
「テツヤ。本当に? 適当なこと言ってない?」
「信じろ! 大丈夫だから!」
多分ね。
「私はテツヤさんを信じていますよ!」
アリアはいつも俺の言うことを全肯定してくれて、いい子だなぁ。
君のそばにいると駄目人間になりそうだよ……。
けど、もっと甘えたい!
よーし。一生懸命、駄目人間になるぞ!
「しかし、温泉脈の反応は結構、遠い感じだなぁ。もう少し速度を上げるか」
「ちょっと待ってください、テツヤさん。あんまり速くすると、風圧で飛んでいきますよ。布団とか枕とか。私とかミミリィさんとか」
それは困る。
布団も枕も、俺のお気に入りだ。
アリアとミミリィはもっとお気に入りだ。
というか、高度二百メートルくらいあるから、落ちたら死んじゃう!
「あ、そうだ。なんか『風の結界』とかいうスキルがあったような……使ってみよう」
念じると半透明のウインドウが視界に広がる。
そこから風の結界を選び、発動。
ベッドを包むくらいの大きさがいいなぁと思っていたら、丁度いい感じに包んでくれた。
「テツヤさん、凄いです! 無風になりました!」
「快適。ぐっじょぶ」
アリアとミミリィが喜んでいる。
特にアリアは髪が長いので、今まで大変そうだった。
しかし、これからは風圧を気にせず飛ばせるぞ。
とりあえず、時速五百キロくらい出してみよう。
ぎゅーん!
「ちょ、ちょっとテツヤさん、いくら何でも速すぎませんか!?」
「ビビる」
速度を上げると、二人の少女が俺にしがみついてきた。
アリアのおっぱいが俺の腕に当たる!
ミミリィの耳が俺の鼻先をかすめる!
凄いぞ、もっと速くしよう!
ぎゅーん、ぎゅーん!
「はわわ……テツヤさん、どうしてこんな加速を!?」
「アリア、怖いならもっとしがみつくんだ! もっと、おっぱいを押しつけるんだ!」
「は、はい……って、何ですかそれ! おっぱいなら好きなだけ弄っていいですから、もっと減速してください! 本当に怖いんですよぉ!」
「がくぶる」
二人とも涙目だ。
ちょっと虐めすぎたかもしれない。
「分かった、分かった。もっとのんびり行くよ」
何せ音速超えてたからね。
飛行機とかならともかく、剥き出しのベッドだと、風圧がなくても怖い。
実は俺も怖かった!
「ふう……これで安心です」
「さて、アリア。おっぱいを揉ませてくれ」
「ふぇ!?」
「好きなだけ弄っていいと言ったじゃないか! あれは嘘だったのかい?」
「いえ、嘘じゃないですけど……今ですか、ここでですか!? ミミリィさんが見てるのにですかッ!?」
アリアはあたふたする。
「……あまり感心しないけど、二人がどうしてもしたいというなら、したら?」
ミミリィはとても冷めた声で呟く。
小さい子にゴミを見るような目を向けられると何かこう……ゾクゾクする!
癖になりそう!
「ミミリィのお許しが出たから、ほら!」
「うぅ……恥ずかしいですが、よろしくお願いします!」
恥ずかしいと言いながらも、アリアは俺の眼前に正座し「どうぞ」という感じで胸を突き出してきた。
そんな痴女的行動のくせに顔は真っ赤だからたまらないぜ。
俺は欲望のまま揉みまくった。
そして十分ほどたち、アリアが疲れ果て、くてんと倒れた頃。
ミミリィが俺の袖をくいくいと引っ張る。
「……私のは揉みたくないの?」
「え。ミミリィ、急にどうした?」
「テツヤがおっぱい大好き人間だというのは把握した。そんなに好きなら、私のを揉ませてあげるのも、やぶさかではない」
いつも無表情なミミリィが、頬をほんのり赤くして俺を上目遣いで見つめている。
これは何事だ!
「あ、分かった。俺に揉まれているアリアがあまりにも気持ちよさそうだったから、揉んで欲しくなったんだな?」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
ミミリィは目をそらした。
「嘘はよくない。嘘を付く悪い子のおっぱいは揉んであげない」
「ごめんなさい。揉んで欲しいです」
正直でよろしい。
さーて、揉むぞ!
「って、あれれ?」
俺は指をわきわきと動かしながらミミリィに腕を伸ばしたが……どこを揉めばいいんだろう?
「えっと、ミミリィ。君の胸って……どれ?」
平らすぎて分からない!
「こんな侮辱を受けたのは初めて」
ミミリィは頬を膨らませ、涙を一杯ためる。
本気で怒ってるぞ、これ!
「ご、ごめん……俺が悪かった! 揉むよ!」
しかし、いくら揉もうと思っても、ないものは揉めないのだ。
仕方なく、俺はミミリィの胸部らしき場所を撫でる。
「……気持ちよくない。がっかりした」
意気消沈したミミリィは、布団にモゾモゾ潜り込み、頭まで隠れてしまう。
「おーい、ミミリィ。機嫌を治してくれよ」
「おっぱいが大きくなるまで機嫌悪い」
「ええ! 一生ってこと!?」
その言葉がトドメとなり、ミミリィは甲羅に閉じこもる亀のようになってしまった。




