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幸せな日常

 私の生活の中心は、さくやをメインで回っている。

 何とか、彼女らしきものが出来ているのは私が仕掛けた結果だからなので、それは認めざるを得ない。

 しかし、愛息子を取られた感は拭えない。


 たまにセンチになる事もあるのだけど、そんな姿をさくやに見せたいとは思わない。

 見栄のようなモノだと思うのだけれど、私は母親なのだから息子を信じよう。


 夕食の支度をしていると、この頃さくやは私にまとわりつくことが多くなって来た。

 私としては嬉しい限りなんだけれど、何かを言いたいのだが、言い出せないみたいだった。


 仕方ないかな。

 晩御飯の時に聞いてあげよう。


 私が料理をしていることなど、誰も知らない。

 実家ではメイドやコックがいるのだから自分のですることは無かった。


 料理なんて簡単なのよ。

 レシピを丸暗記して、調味料の加減と少しの隠し味に愛情をたっぷり入れると出来上がるものなのだから、失敗する人の気が知れないわ。



 誰かのために作るのは嫌いではない。

 むしろ、好きなぐらい。

 今日はクリームシチューにハンバーグ、あとはご飯にふりかけの簡単メニューです。

 私にはビールがあることは言わ無くても分かっていることでしょうけど。



 さくやは手伝いを良くしてくれる。

 あまり手が掛からない子供だと思うけど、もう少しは甘えて欲しい。

 小4になってからはお風呂も別々になってしまったし、添い寝もあまり強請らなくなってきた。

 サッカーが上手になって来たから、自信がついたのか知らないけれど、親としては嬉し悲しの複雑な気分がしている。



 さくやがサッカーに興味を持ったのは、幼稚園の年長さんの頃だった。私はサッカーには興味が無かったので、母様に珍しくも相談したことを思い出す。

 あの頃の母様はある意味で私よりも無茶苦茶だったと思う。


 国立競技場を借り切って、外国の有名選手を呼んでコーチをさせるなど、今の私でもしないことだ。

 まあ、そのお陰でJ1のジュニアで練習出来ているのだけどね。


 これには、私は口出しをしていない。

 母様の傘下の企業にもJ1のチームスポンサーはあったのだが、やはりスポーツは実力次第だから、自分の力で勝ち取ることを学んで貰いたい。

 とは言えども、私の子供だから素質は十分にあるらしい。


 サッカーの専門誌にもデカデカと記事が載ることもあり、私もサッカーのルールを学んだ。

 もちろん、試合には全て駆けつけ大きな声で応援するのだが、他の黄色い声に負けてしまう。


 かなりのフラッシュでさくやの姿が浮かび上がる。

 観客席を見ると、小学生から大学生までがカメラを構えているのだが、年増は止めとけと言っておこう。

 私と年齢が近いなら、私を見て自信を無くしてしまう恐れがあるからだ。


 そう思えば、沙由里ちゃんはかなりの強者と思う。

 その沙由里ちゃんがなんとなく彼女になっているから私も少しは安心していられる。

 私にガンを飛ばす度胸があるなら、ガキどもを軽くあしらうことなど造作も無いだろうし、親と祖父母は買収しているから、さくやを大事にしてくれることは確実と断言出来る。


 だから、たまにお泊まりさせている。

 小4にもなると、顔立ちもハッキリして来て、グッと美少女度が上がっているし、何より私をお姉様と呼んでくれる。


 まあ、躾けたんだけどね。


「おば様」と言われた時に、私も意識せずに反射的に沙由里ちゃんの頭を(はた)いていたことがあった。

 小学1年生の頃のことだけど、それからずっとお姉様と呼ばれている。

 今は黙認しているが、さくやを構うことで張り合うこともあったのだけど、彼女はやはり可愛い。


 頭も良く、美少女で、今は私を慕っているし、さくやも満更でもないようだ。


 明日は、私も飲み会なので、篠田さんにさくやをお願いしている。篠田さんの返事は即答で了解済み。


 姫方の御曹司なのだから、断わる理由がない。

 さくやと沙由里ちゃんが出来ても構わないと考えていることだろうし、あの娘なら私も心配はいらない。


「さくちゃん、おはよう。お母さんは今日、夜遅いから沙由里ちゃんの家にお泊まりしなさい。もう連絡しているから大丈夫だからね」


 朝、目を擦りながら起きて来た愛息子に強制的にハグしながら話し掛ける。

これを他人にするならば、警察に捕まるレベルの猫可愛がりなんだろうが、さくやはかわゆいので仕方ないのだよ!



「えっ、ゆりの家?

 お母さん、僕一人でも大丈夫だから家にいるよ」


 なにっ?

 う、嬉しいことを言ってくれるけど、心配だから却下しないとね。

 しかし、理由も聞きたいな。


「どうして? 沙由里ちゃんが嫌いって訳じゃないんでしょう」


「まあ、ゆりは嫌いじゃないけど……」


 くぅー。

 この照れた表情を記録しておきたいよ。

 すっごく、かわゆいぜ!


「なあに? お母さんに言ってみなさい」


「だって、ゆりのベッドに二人で寝るなんて、友達には口が裂けても言えないよ。

 ゆりはすごく人気あるんだから、男連中からハブにされてしまうじゃん」


 えっ、ベッドに二人?

 私でさえ、この頃は添い寝して無いのに?


 篠田さん、本気みたいね。

 それに沙由里ちゃんも。

 私も落ち落ち飲んでいらないみたいだわ。

もし、楽しければブクマや勝手にランキングをお願いしますm(_ _)m

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