表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

帰り道


2027年 4月11日 PM6:50

「すまんな、ちょっと遅れたわ」

校門で待っていた輝夜は眠そうな目をしていた。

「うんうん、私も今来たとこ!」

「そうか、なら帰ろうぜ。もう暗くなる」

「うん!」

横からついてくる輝夜はテニスの服を着ている。お似合いだな。




歩く。




「なぁ、輝夜?今日の部活は楽しかったか?」

「うーん…まぁまぁ!」

「そうか………」

おいおいおい、何を喋ればいいんだよ。帰り道だぞ!家だと普通に会話出来るが帰り道では訳が違う。まず話題がわからない。ってか普通はやっぱり妹と下校するやつなんかいないだろ。高校生と中学生だぞ。

「ねぇ、お兄ちゃん?」

「な、なんだ?」

「もし………人間に羽が生えたら、どうすると思う?」

輝夜は目を閉じている。

「そりゃ……飛ぶだろ?その生えた羽で」

「やっぱりか………じゃお兄ちゃんならどうするの?」

少し沈黙が続く。

「飛ばないな」

「なんで?」

「だって………意味ないだろ。空を飛べても何も変わらない。もし遠くに行きたければ車や飛行機を使えばいいだろ」

「やっぱりね。思った通りだよ!お兄ちゃんわ!」

輝夜は笑う。

「なら輝夜ならどうするんだ?」

「うーん…………私なら飛ぶかな。何か楽しそうだし」

「ふーん」

俺は片目を閉じた。





2027年 4月11日 PM9:55

俺の部屋に本をめくる音とイヤホンから漏れる音が響く。

その音は懐かしく悲しくなる音に似ている。いや違うな。そんな音は本当はない。俺が勝手に作り出した音。その音とよく似ている。

「はぁぁぁぁー」

深くため息をつく。特に意味もないため息。

その時、部屋のドアが勢いよく開いた。

「お、お兄ちゃん!何かリビングに置いてある!」

何か?虫か何かのことか?まぁとりあえず見てくるか。

「どこに置いてあるんだ?」

「リビング!さっきお茶とりに行ったら置いてあったの!」

階段を降りる二人の速度はいつもの二倍はある。いや三倍かな?

「動くのか?」

「わかんないけど虫とかじゃないよ」

その声を聞き俺はリビングのドアを開けた。

ドアを開け目の前にはソファ。その左隣に机。さらにその左にテレビ。ソファの左隣に一枚壁がありキッチン。ぱっと見は普通だな。

「ど、どこにあるんだ?」

「キッチンの所」

俺は恐る恐る覗いてみた。

「う……ん?」

目の前には丸くて光る、そうビー玉みたいな………。

「こ、これか?」

「うん、ビー玉みたいでしょ。でも私さっき触ったけど重いの!」

重い?

俺はビー玉みたいな玉に手を伸ばす。そして摘まむ。後は上に……。

「あれ、持ち上がらねぇ……」

俺は力一杯持ち上げる。しかし動かない。


あれ?


何か横にスイッチが………。


ポチ。


目の前が光る。

とっさに俺は輝夜の手を握りしめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ