部活
2027年 4月10日 PM6:30
俺の目の前には一つの教室がある。
真後ろの窓からオレンジ色の光が射し込む。
「話が違うんじゃないか?俺は部活には入らないっていっただろ」
隣で俺と同じように立っている担任の赤井美紗子を見た。
「しかし君は部活調査表に ※※部、と書いたではないか?あれは入るという意味だろう?」
「はぁ、あれは部活に入るって意味じゃないだろ?普通」
俺の反論に赤井先生は少し笑みを浮かべ言った。
「知らなかったのか?この学校にはあるんだ。※※部が!」
この出来事を理解するには四時間ほど前に戻らなくてはならない。
さぁ、共に見ようではないか、四時間前を。
2027年 4月10日 PM2:30
前に座ってる女子から一枚のプリントを渡された。
部活調査表。
「おーい、皆プリント配られたか? オッケーだな」
教壇では赤井先生が無駄に大きい声で喋っている。
「説明に入るぞ。えっと今、配られたプリントには君たちが入りたい部活を書いてくれたまえ。第三希望までちゃんと埋めろよー」
赤井先生の声を片耳に俺は考えた。
部活か。
中学校の時は何にも入ってなかったな。まぁ興味もないし意味もないと思う。
しかし待てよ。ここで部活をしないを選択すると、リア充にはなれないな。多分。
部活繋がり以外に俺に友達が出来るとは思えない。
ならここは部活に入るべきか?
はぁー。俺よ考えるのはよせ。もう決まってるだろ?
あぁ、決まってるよ俺。こんなのプリント配られてきた瞬間に決まってたよ。
俺は少しニヤつく。
鉛筆を持ちプリントに近づける。
そして迷わず第三希望まで書いた。
帰宅部と。
2027年 4月10日 PM6:30
俺はまだ抗議していた。
「だから何でだよ。俺は帰宅部と書いたんだ。部活には絶対入らないからな」
「では聞くなぜ君はそこまで部活に入りたがらないのかな?」
俺は目を閉じた。
「だって入っても意味がないからだ。しかも興味もないしな」
赤井先生がまた少し笑みを浮かべる。
「そんな事はないんじゃないか?意味は多分あるぞ。どの部活にも」
「ないな」
「いや、ある」
俺はため息をつく。
「じゃ質問だ。まず、この部活は何をするんだ?」
「見てからのお楽しみだ!」
「部員は何人居るんだ?」
「先輩はいないが、部員は居るぞ。君と同じことを書いた生徒が二人いる」
「この部活が存在する意味は?」
赤井先生は少し間を開け言った。
「教えないよ。知りたければ君が見てくればいい。多分………わかるだろう」
廊下に無音が響く。
やけに長くその時間が続いた。
俺の口元が少しニヤつく。
「はぁー、めんどくせーなぁー」
俺は目の前の教室の、いや今日から俺の部室になるドアを開けた。