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俺式異世界冒険譚!  作者: 明智 烏兎
第六章 ~最強の片鱗~
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黒と岩の大陸

 ──ティリスを仲間に加えた後。

 無事にリ・ゼイラムの町に到着した俺達は各自で情報の聞き込みをして回ったが、相変わらず何の情報も得られなかった。やはり小さな町では情報量も少ないので中々手掛かりは掴めない。

 そんな事もあり、早々に見切りを付けた俺達は足早にリ・ゼイラムを後にし──現在。

 ガルツァーク大陸に渡るため、ザーグガルド大陸の最西端に位置する港町ミノーに来ていた。


「リ・ゼイラムもハズレだったし、何かここも期待薄いな~」

「ぶつくさ言わないの。ガイルロードでさえ何の情報も掴めないような探し物を私達はしてるんだよ? そう簡単にはいかないでしょ」


 ミノーに着くなりボヤいた俺を、ルナが肩をすくめつつたしなめる。


「港町は大陸の玄関ですし、何か手掛かりがあるかもしれませんよ?」


 気乗りしない顔をしている俺に、ティリスから励ましの声。……あぁ、優しいなぁティリスは。

 ちなみにティリスが背負っていた骨鎌だけど、今は人目に触れないように隠してある。鎌のデザインがあまりにも不吉かつ不気味だったせいで、道行く人が気味悪がって情報収集に支障が出るほどだったのだ。

 そんなリ・ゼイラムでの反省を活かし鎌を隠す事になったのだが……その隠し場所というのがさらに驚きで、何とティリスの体内に隠してある。

 この手品師もビックリな魔法の原理は、博識なルナを以てしてさっぱり分からないという。ティリスは本当に謎の多い女の子だ。


「そうだよなぁ~、端から諦めてちゃ見つかるものも見つからない。気を取り直して聞き込み開始と行きますか!」


 ぐっと背伸びしながらそう言って、俺達は手始めに酒場へと足を運ぶのだった……。



 ……で、数時間後。


「残念無念。ま、最初から分かってたけどな。しょうがない、とっとと船乗って、ガルツァークに行こうか?」

「だね~。これ以上この町にいても意味ないし」


 俺の意見にルナが賛同し、他のみんなも頷いた。

 ……ついに俺達はザーグガルド大陸を出るのか。俺、地球にいた頃も海外旅行とかした事なかったし、何だかワクワクするな。

 確かティリスの故郷だったケイネル村もガルツァーク大陸にあるんだったっけ。ガルツァーク、一体どんな大陸なんだろう。

 俺は少しの不安と、大きな期待を胸に港の帆船に乗り込んだ──。



 ○   ○   ○



「ぅぐ……おぇ、気持ち悪ぃ……」

「大丈夫? 全く……頼りになるんだかならないんだか」


 船からやっとの思いで降りた俺は、新天地であるガルツァークの大地にガクッと膝をつく。何故だか馬車は平気だったからすっかり忘れてたけど、俺は基本的に乗り物酔いが酷いんだった。

 俺はしばらく動けそうになかったので、少しの間ガルツァークの港町ジャークの酒場で休む事になった。その間に他のみんなが聞き込みをしてくれていたが、やはりというか何と言うか、ここにも手掛かりになるようなものはなかった。

 その後俺の体調も回復し、俺達はガルツァークの首都『アスラート』を目指し、再び旅を再開した。


「わぁ……何だかおっきな岩がゴロゴロしてるトコだねぇ?」


 ジャークを出てすぐ、セイラがそんな感想を漏らす。そう思ったのは俺も同じで、このガルツァークにはザーグガルドと違って草原が極端に少なく、茶色や灰色が目立つ。一見して岩だらけの荒野という印象だ。


「そうだね。文献によるとこの大陸は昔、何度も戦争の舞台となった大陸なんだって。この荒れた大地はその名残みたいなものだね。でもまぁ、この大陸は“黒と岩”を象徴しているから、国民は誇りに思ってると思うけど」


 と、ルナが腰に手を当てて説明してくれた。


「ルナって……結構何でも知ってるって感じだな」


 感心して俺が言うと、ルナは「え?」と聞き返してきた。


「色々詳しいじゃん。頭いいんだなぁ」

「そっ……そう? えへへ、そんな事ないよ……」


 赤面して謙遜するルナ。その仕草が可愛かったので、俺はもっとおだててみる事にした。


「あはは、謙遜する事ないよ。それに料理も上手いし、ホント、ルナがいてくれて助かってる」

「そう……かな? ま、まぁおだてられてるのは分かるけど、そこまで言われると悪い気しないかな? ふふっ」


 照れくさそうに笑うルナ。最近はセイラやティリスと話してる事が多くてつまらなそうにしてたけど、これで少しは機嫌直してくれたかな? それからのルナは、その日一日ずっと上機嫌だった。

 ジャークを発ってから二日目の昼過ぎに、俺達はティリスの故郷、ケイネル村の跡地に到着した。話に聞いていた通り、そこは荒れ果てた廃墟と化している。昔の悲しみを思い出したのか、ティリスは暗い表情になったが、それを悟られないよう必死に堪えているのが俺には痛いほど分かってしまった。


「何か、この村を壊滅させたヤツの手掛かりがあるかもしれない。少しだけ見て回ろう。地球では“現場百遍”と言うしな」


 とは言ったものの、ティリス自身が一度調べているだけに、望み薄だろうけど。しばらく探索していると村の隅の方にたくさんの墓を見つけた。聞くと、その墓は全部ティリスが遺体を埋葬し、建てたものらしい。

 だが、結局それ以外のものは何も見つからなかった。悲しみが詰まったこの場所にあまり長居するわけにもいかないので、みんなで墓に手を合わせた後、俺達はすぐにケイネル村跡地を立ち去るのだった。


 ガルツァーク大陸にも、当然のように魔物が存在する。ザーグガルドは基本的に獣型の魔物が多かったけど、ここガルツァークには鳥型の魔物がよく現れる。足場が悪いため最初は手こずったものの、慣れれば逆に岩を利用できた。大きな岩の陰に隠れたり、小さな石は投擲に使える。結局この大陸でも、魔物ごときに苦戦はしないって事が分かって、とりあえず一安心といったところかな。

 ケイネル村を出発してから三日目の昼前、俺達は目指していたガルツァークの首都『アスラート』に到着した。ガイルロードにはやや劣るものの、その規模は首都だけあってかなり大きく、古代遺跡を思わせる外観と相俟って何かいい情報が得られそうな気がしてくる。とりあえず見物も兼ねて、俺達は街中を軽く回る事にした。


「? ……ねぇねぇお兄ちゃん、あそこに変な人がいるよ?」


 少し街を歩き、そろそろ昼食時かな~と思い始めた頃、セイラが目敏く何かを見つけて指をさした。その指先から視線を伸ばすと、白銀の甲冑に身を包んだ男が何かを叫んでいる。おそらく、アスラート城に仕える兵士だろう。

 好奇心が命じるままに兵士の元へダッシュするルナはいつもの事として、俺達ものんびりとその後を追った。


「カエデ、遅いよ! でも大変だよ、ミリーがまた現れるらしいんだって!」


 先に兵士から話を聞いたルナが、追いついた俺達に情報を伝える。


「何だって!? また予告状が来たのか?」

「ううん、来てないって。お城の諜報騎士が極秘に入手した情報らしいよ」

「へぇ、なるほど。で、今度はいつ、どこで、何を盗む気なんだ? ヤツは」

「それが……」


 と、ここでルナは言葉を区切り俯いた。そして再び顔を上げると、いつになく引き締まった表情でこう告げる。


「15神具の一つ……『地走剣ちそうけんネフアール』──」

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