ゲームスタート!
―数十分前―
お昼をまわった頃。アルバス王国に一番近い港にヤツはいた。
「ふぅ、やっと着いた〜。船旅も楽じゃないね」
フードを被った者。シャドウがいた。
シャドウは船から港に下りる。今日はアリアの誕生祭ということもありいつもより利用客が多い。
「平和だね〜」
賑わっている人達、場所を見て言う。これから何が起こるかも知らずにと思う。
「おい、待て。お前手伝ったらどうだ?」
シャドウの乗っていた船から大柄な男が現れる。
「え〜〜〜!イヤだよ!僕は肉体派じゃないから」
「お前、それでも協力者か?」
「たしかに協力はするって言ったけどそれは自分達でやってよ」
親子には見えない2人の会話。
「チッ!ふざけやがって!おい、お前ら積み荷を下ろせ」
「あい、親分」
どうやら大柄な男はこの集団の親分だったらしい。その親分は舌打ちをし子分に命令を下す。何人もの子分が船から下りてくる。子分は命令されたとうり積み荷を港にどんどん下ろしていく。木材を何枚も張り合わせた四角形の箱。その箱の中身が重いのか2人3人で運んでいる。
「今日はいい天気ですね〜」
「・・・・・・」
緊張感のないシャドウの会話にシカトをキメる。
「・・・そんなに怖い顔して少しはリラックスしたらどうですか?」
「・・・」
チラッと親分を見る。それでも無視。
「ハァ〜。・・・あっちの人達はちゃんとやってるんですかね〜」
「お前はさっきから何なんだ!それに俺の仲間を信じられないのか!?」
「そんなことないよ〜。信じてますよ〜。でもこの作戦の成功率を上げる為に僕がここにいるんじゃないんですか」
「そうかよ」
胡散臭そうにシャドウを睨む。そんなことを話している間にも荷物を半分ほど運び終わったところだった。そこで派手な破壊音が響く。港に来ている大勢の客が一点の方向に注目する。
「いっててててて」
何かに躓き倒れたのだろう。転んだ本人は地面にぶつけた膝をさすってている。
「あんのっ馬鹿!」
親分が声をあげる。そう転んだのは先程の子分の1人。周りにいた子分は急いで辺りに散らばったものの回収する。散らばったものは運んでいた木箱の破片。そして中身の物。
そんなこんなしているうちに港の警護にあっていた騎士2人が様子を見に来る。騎士は何が起きたのか見て状況を把握した。しかし、見ても分からない物ある。明らかに不自然な物が散らばっている。中身の物。それは剣や銃、武器が散らばっている。
「お前達それは何だ」
「えっと、これは・・・」
返答に困る子分。
「あ〜あ、派手にやっちゃったね〜。どうするのさ」
「お前が何とかしろよ」
少し離れた所でこの状況を見ている2人。親分は苛立ちを言葉に隠すことができずにいた。
「見つかっちゃったら僕にも無理だよ〜。・・・ここまで来たら戦うしかないんじゃないんですか」
「クッソ!」
いつまでも考えている時間もない。こうしている間にも子分達に近づいていく騎士。
「・・・・・こんな所で、捕まってたまるか!力押しで城まで行くぞ!」
親分が大型の曲剣のシミターを抜き放つ。そのまま騎士へと突撃する。子分達もそれに続く。
「敵だー!船の近くだー!」
残りの警備の騎士を呼び寄せ応戦する。
「フッ、こっちは計画どうりだよ」
不適な笑みとともに言葉を発する。周りは悲鳴や気合いの掛け声で騒々しくなっていて誰も聞いていない。いや、聞こえない。単なる独り言。
「さぁ、ゲームスタートだ!」
歓喜の声を発しシャドウも騒動の中へと飛び込んでいった。
港での出来事でした。
次回はもう一度アリア側です。
クレイアの活躍はその次くらいで。