集会
どこかの空間。辺りは真っ暗でよく見えない。唯一ある明かりはロウソクが数本ある程度でそんなに明るくもない。
そこに一人ソファーを占領している者がいる。
仕草からからして退屈そうにしている。しかし、フード付きのコートのせいで顔も性別も分からない。
「ふあぁーーーあ」
大きなあくび相当、暇なのだろう。
そこに現れる一つの影。
「今、戻った」
女性の声。やはり黒のフードで顔が見えない。言葉には空間を凍らせるような雰囲気がある。しかし、それほど年上ではなく多分、20になるかならないかくらいだろう。
「おっそいよ〜、セル姉」
「お前が早いんだ。それよりシャドウ、ちゃんと調べてきたのか?」
「あったり前でしょ。僕をなめないでよ」
シャドウと呼ばれた者は幼さが残る声で言う。
「そう。なら、どうだったの?」
セル姉と呼ばれた女性が調べた結果を求めてくる。
「なんかね〜、ちょっとがっかりかな〜。もうちょとやれるのかと思ったけど、ぜ〜んぜん」
「なら私達の出番は無しってところかしら」
「あっと!あくまで僕は全然って意味だからアイツらだけじゃちょっとキツイと思うよ」
「そう。たいしたことはないのね。アルバス王国のマリクも。あの人達でキツイとなると・・・」
彼女は考える。
「それなら少し手を貸してやろう」
もう一人現れる。力強い青年の声。仕草、雰囲気などからリーダー的存在の人だと思われる。
「ルナ兄!やっと来た」
ルナと呼ばれた青年。
「ルナ、それでは誰か一人が加戦すると言うことですか?」
「いや、丁度いい駒がいる。コイツを使う」
「ふ〜ん。丁度いい駒ね〜。ソイツ強いの?」
「ああ、名の知れた者だ。お前も見れば分かると思う」
「へぇ〜。それは楽しみ」
「それでは準備に取り掛かれ」
ルナが解散の号令をかける。
「了解」
「りょ〜かい」
シャドウが先に消える。
「セルシウスちょっといいか?」
シャドウにはセル姉と呼ばれていた女性はセルシウスという名前のようだ。
セルシウスは違う場所に向かおうと向きを変えたが呼ばれたため振り返る。
「はい。何でしょうか?」
「ヤツはどうだった?」
「力を使わないようにはしてるようです。しかし、魔力変換程度の力は使いこなしているようです。手負いだったドラゴン相手にそれだけで勝てるとはたいした剣術と身体能力です。そこはさすがと言ったところですね」
手負いと言う単語が気になる。
「このことから完全には使いかなしてはいない。それに力を使っていない為、魔力も育っていないと思われます」
セルシウスは調べてことを報告し結論を述べる。
個人の魔力量は最初はもちろん低い。しかし、魔力を使えば使う程、戦えば戦う程大きくなる。個人差で限界はあるが。
「そうか、暴走を恐れているか。なら力を使わせる状況を作ればいい」
不適な笑み。
「分かった。セルシウス、お前も持ち場に戻れ」
「はっ」
頭を下げ、もう一度上げた瞬間にセルシウスは消えた。
「ふん、いつまでも力を使わずにいられると思うなよ。お前が使わないなら無理にでも使わせてやる。あの方の復活のためにはお前の力が必要なのだよ。それまで死ぬことは断てじ許されない。それまでに強くなっているんだな、クレイア」
誰かに言うでもなく話している。何故ここでクレイアの名前かはまだ謎のままだ。
「お前にも役に立ってもらうぞ。そのために連れ出したのだからな」
「言われなくてもわかってるよ」
いつの間にか後ろに控えていた大柄な男がルナに近寄ってくる。大柄な男はフードを付けていないため顔が確認できる。赤い髪の短髪。
何か良くない事が起きようとしている。
明日はアリアンティアの誕生パーティー。
謎の集団がひそかに動きはじめていた。
謎の集団の集会でした
いつもより短かったですけどどうですか?