城へ向かう途中
上空を飛ぶクレイア。久しぶりに見る町。あちこちに光があり周りを照らしている。しかし、その光は優しい光ではなかった。
火。それは時に人を温め勇気付けてくれるもの。しかし、今は違う。すべてを燃やし尽くし人々に恐怖を与えるように荒々しく燃える。そこに炎として存在している。
そこにはクレイアが5年前に見た風景はなかった。5年も経てば新しい建物が建ったり少し見知らぬ町になっているかもしれない。でも面影は残る。
しかし、今はその面影すら残っていなかった。すべてを破壊し燃やし尽くしている。
光景を見てクレイアは懐かしくも悲しく思う。
この町の状態以上にも異質な存在感を醸し出しているものがいる。その存在を見ただけでも険しい顔になる。
巨大ドラゴンの進路上の先には多分・・・いる。
クレイアが城に進路を向け進む。アリアも気になるが商店街区画の上空に差し掛かり町を見下ろす。そこはかつてクレイアが住んでいた場所。両親が経営している宿屋が目に入る。
外見は奇跡的に無傷に近い程だった。そのことに対しクレイアはほっと胸を撫で下ろす。
店の前の通りは逃げる人が何人かいる。恐らく大体の人は先に逃げたのだろう。
(多分、大丈夫だよな)
家族のことが気になったが父もいることだし大丈夫だと思う。
視線を地上から正面に戻そうとした瞬間、建物から人影が現れる。その顔ぶれを見て驚き目を丸くる。
「何でまだ、ここにいるんだよ!」
それは10年間共に生活してきた家族だった。