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黒き騎士《ナイト》  作者: 悠夢
第1章:誕生パーティー 黄金の皇女と黒き騎士
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怒りの炎

 塔は破壊され瓦礫が地上へと落ちる。王と女王は絶句してしまう。喉に言葉がつまり何も出てこない。

 「さすが、ドラゴンの主。強力な《ファイア・ブレス》ですね」

 今の光景を冷静に述べる。

 「これではアリアンティア王女も・・・」

 「それ以上、言うな」

 絞り出す。意外にも小さい声だったが凄みはある。

 「亡くなって・・・」

 「貴様ぁぁぁーーーーー!」

 その一言で王が吠える。いつもは優しい王が吠える。

 相手が言い終わる前に動く。王の咆哮と共に目の前に炎が出現する。荒々しい炎。今の王の心情をそのまま表しているようだ。その炎に手を翳す。すると炎が姿を変える。

そこには両刃の巨大な剣があった。

 王はその剣を軽々と片手で持ち謎の騎士に迫る。

 「あなたも所詮は1人の親。そんな感情に振り回されてはいけませんよ、王」

 対する騎士も右手を王に翳す。怒りの炎を纏った王がヤツを殺さんとばかりに迫る。激突する前に騎士の手から光の鎖が現れる。

 「何!?」

 光の鎖は王の手足を縛り上げイエス・キリストのように十字に動きを封じる。炎の剣は悲しい音を立てて床に落ち消える。

 「あなた!」

 「少しそこでじっとしてください。出来れば争いたくはないので」

 動きを封じられながらも抵抗をしている王に向けて言う。

 「・・・まさかとは思いますがあなたもそんな愚かなことはしないですよね」

 念の為と言った感じで女王に釘を刺す。

 「・・・っ!!」

 言葉は返さず鋭い視線を向ける。

 「それでいいです。私はあなた方が抵抗しない限り危害は加えたりはしませんので大人しくここでご鑑賞してください」

 女王が抵抗しないことを感じ取り2人にこの状況を見るように(うなが)す。

 (すべての状況は整った。後はお前だけだ)

 仮面に隠された騎士の口元が歪む。

ドラゴンの山の大穴を進むクレイア

無事に城に向かうことができるのか

次回:懐かしの町は炎に包まれて

(アリア・・・今すぐ行く!)


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