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黒き騎士《ナイト》  作者: 悠夢
第1章:誕生パーティー 黄金の皇女と黒き騎士
14/22

闇夜を駆けよ

 「くそっ!どうやって抜け出した!?」

 クレイアが行ったと思われる方角を見る。

 「すみません、私がいながら。どうしますか?ルドルフ様」

 「俺はアイツを追い掛ける!お前は先に城に戻ってろ!」

 ルドルフは会話を終えるとすぐにクレイアの向かった方角に走り出した。


 クレイアが向かった先は城ではなくドラゴンが住まう山だった。そもそも城に向かっても結界が張られて中に入れない可能性の方が高い。

 目的地に向かいながら思考する。クレイアが疑問に思う事。昼間に戦ったドラゴンの事。

 城に向かったドラゴン。普通にドラゴン達が襲撃してきてもそう簡単に城の騎士たちがドラゴンに侵入を許すだろうか。さっきの会話で得た情報でドラゴンが急に現れた事も気になる。

 最後に最近頻発していた地震。

 クレイアの考えが合っていればドラゴンの巣であっているはずだ。そうこうしている内に目的地の山が目に入る。

 村の山は草木が生い茂り綺麗な緑の山なのに対しドラゴンの山は緑が一切ない。木は枯れ土や岩が剥き出しの状態。荒れ果てた山。

 ドラゴンの山に近付くにつれ頂上付近に半透明の壁のようなものが見える。

 「あれは結界か!」

 山の頂上を囲むようにドーム状に張られた結界。近くで確認しようとスピードを緩めながら近付く。すると、目の前の結界の一部が消えクレイアが通れるくらいの穴が開く。

 「罠か!?・・・でも行くしかない」 

 意を決し中に入る。近くで見てもやはり緑がない。しかし、こういう所の方がドラゴンにとっては棲みやすいのかもしれない。

 道なりに頂上に進むと周りを囲むように土の壁があり上が吹き抜けのような広めスペースの場所に出る。

 そして、その中央部には巨大な穴がある。

 「・・・・・・」

 エアバイクを降り巨大な穴を覗き込む。ずっと見ているとこっちが吸い込まれそうだ。この巨大な大穴を目の当たりにクレイアは自分の考えに確信を持つ。

 まず、クレイアと戦ったドラゴン。あれは結界を張った時点で住処から離れていてここに戻れなくなり彷徨っているうちに村の山に来てしまった。

 次に頻発している地震。地震にはたしかに大きい小さいの波はあった。しかし、ここの地域には大陸どうしのプレートの重なりもなければ噴火まじかの山もない。地震が起きること自体珍しい。しかも、大きな揺れがあったのは5日前。そして離れるように段々弱いものになっていった。まるで移動しているかのように。つまり、ここの大穴は城に繋がっている。

 最後に城に向かったドラゴン。これはドラゴンの山と城が穴で繋がっているとしての考え。ドラゴン達は結界を張った人物にここから放たれた。しかし、何故、城に向かったか。いや、向かわずにはいられなかった。そこまでドラゴンを引き付けたもの。それは自分達の主。ドラゴンのボス。多分、この大穴を抜けて行ったのがソイツだとクレイアは考えた。

 「クレイア!」

 不意に背後から声を掛けられる。言うまでもなくルドルフがそこにいた。クレイアは呼ばれても振り返らなければ返事もしない。

 「クレイア!馬鹿な真似はやめて村に戻れ!」

 「・・・・・・」

 「お前が行ったところでどうなる!?」

 「・・・・・・」

 「逆にお前行ったら悪い方向にしか動かないだろうし迷惑をかける!」

 「・・・・・・」

 「こんな時だからこそここにいなければならない!」

 「・・・・・・」

 「クレイア、お前の気持ちは分かる。分かるがお前が行っても今の状況を悪くするだけだ!ここは俺に任せて・・・」

 「それで家で寝て待てって言うですか!」

 すべての説得に反応しなかったクレイアが爆発する。

 「城が襲われて危ないって言うのにじっとなんてしてられませんよ!それにルドルフさんまで呼び出されてる!それだけあっちが危ないってことでしょ!?」

 すべてをぶつけるようにルドルフに言い放つ。クレイアの言う通り城が危険なことは間違いない。本当ならばここで言い争いなんてしている場合ではない。

 「確かにそうだ」

 「なら俺も連れていってください!」

 「それは駄目だ!」

 「どうしてですか!?」

 「駄目なものは駄目だ!」

 両者ともに1歩も譲らない状況。しかし、時間は、城の被害は刻一刻と進んでいく。

 「どうしても行かせてくれないんだったら・・・」

 振り向きと同時に剣を抜く。

 「ルドルフさん!あなたを倒してでも俺は行きます!」

 切っ先がルドルフを捕らえ殺気がクレイアから立ち込める。その殺気が黒いオーラとなりクレイアを包み込む。しっかりと見える黒いオーラ。まるで魔法光を纏っているようだ。

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 2人の鋭い視線が交わる。

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 2人の間に重い沈黙がのしかかる。一触即発の状況。些細なことで動き出す。

 「ん!?」

 「っ!?」

 何かに気づいた2人の表情が険しくなる。

 「クレイア」

 「はい、ルドルフさん。どうやら俺達で争っている場合じゃないみたいですね」

 上から刺さる無数の気配と視線。2人の視線が自然と上に向かう。

 2人の侵入者を射ぬく視線。

 「まだ、残ってたんですね」

 「そのようだな」

 この山を登って1体とも出会わなかったためすでにいないものと思っていたドラゴンが土の壁の上側から見下ろしてきている。ざっと見ても10体くらいはいる。よく見れば空を旋回するドラゴンもいる。合わせても20、30はいるだろう。

 「どうしますか?」

 クレイアが思わずルドルフに聞いてしまう。さっきまで戦おうとしていた相手に。

 「どうするもこうするも・・・」

 そんな2人の都合は知らずに見下ろしていたドラゴン達が一斉に崖を降り襲い掛かってくる。

 「戦うしかないだろ!」

 「やっぱり、それしかないですね」

 その言葉を皮切りに2人も動く。しかし、戦うと言っても2人でもこの数を相手するには厳しい。ここで時間を裂いてはいられない。

 「クレイア!そのままでいから聞け!」

 ドラゴンの攻撃を回避しながらクレイアに話しかける。

 「はい!」

 クレイアの方も剣でドラゴンの攻撃を捌きかわす。

 「お前も馬鹿じゃない!ここに来たのも何か考えがあって此処に来たんだろう!?」

 「はい!俺の考えがあっていればここの穴は城と繋がっているはずです!」

 「ちゃんとした確証があるんだろうな!?」

 「それは・・・」

 はっきりと聞かれると少し不安になってしまう。実際の処クレイア自身が最近の出来事を繋ぎ合せてだしたことだった。100%の確証はなかった。しかし・・・

 「・・・はい!間違いないです!」

 憶測でも自分の考えと予感を信じる。

 「分かった!なら、その穴を通って城に向かえ!」

 「えっ!?」

 予期せぬ答えに戸惑う。

 「聞こえなかったのか!?」

 「いえ、聞こえてます!でも、俺でいいんですか?」

 「馬鹿言え!お前をここに1人で置いていくより城に行かせた方がマシだ!暴走するなら城の方でしろ!」

 出来れば城にも行かせたくはないが城には騎士団長がいなくてもそこそこな強者がいる。少なくともあっちでなら誰かしらクレイアを止められると踏んでのこと。

 「それにここにはあの結界を張った氷使いもいるはずだ!ソイツの相手も出来るのか!?」

 結界最強を誇る氷属性。結界の強度は個人差があるがルドルフの言い方を聞いた感じでは中々の実力者なのかもしれない。

 「分かりました!行ってきます!」

 ドラゴンの攻撃を受け流しつつ答える。

 「無理しない程度に暴れてこい!」

 クレイアは最後のドラゴンの攻撃を横に反らせた後、エアバイクの方に走り出す。エアバイクに跨がりエンジンを吹かし上空に飛び上がる。

 (アリア!今、行く!)

 ある程度、上がった後、垂直に急降下しクレイアは大穴の中へと姿を消した。

 1人取り残されたルドルフはクレイアが相手をしていたドラゴンとも戦うこととなる。振り下ろされた鋭い爪が地面に傷を付けるがルドルフは後方に大きくジャンプし相手との距離を取る。

 眼前には数十体いるドラゴンがルドルフ1人に照準を合わせて荒い息を零す。普通の人ならば恐怖を感じ自分の死を覚悟してしまうだろう。こんな時にも関わらずルドルフの口元には笑みが浮かんでいる。

 「久し振りに本気を出させてもらう!」

 元騎士として体が無意識に戦いを求めているようだ。ドラゴン達は一斉に動き出してルドルフに襲い掛かってくる。


 ドラゴンとルドルフの戦闘が始まっている中。その戦いを少し離れた場合から冷たい視線を送る者がいる。セルシウスだ。

 「こちらも予定どうりルドルフを足止め完了」

 たんたんと言葉を発するセルシウス。

 「後はいつまで持つか。もしもの時は私が相手をしますができるだけ避けたいですね」

 その言葉を最後にセルシウスはルドルフの戦いを高見の見物をすることにした。

説明がもっと上手になりたいです。はい


大穴に入っていったクレイア。無事に城に辿り着けるのか。

一方、城の地下に誘導された王と女王。そこである人物と出会う。

次回:もう1人の侵入者

「これも1つの余興です」

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