異世界2
「異世界」の続きです。編集前とそんなに変わりません。
私は見知らぬ部屋にいた。というか寝ていた。
「えっ……ここ何処?」
もしかして誘拐された……? もしそうなら悠長に寝ている暇は無い。
不安になって辺りを見渡すと木の窓が目に入った。
(落ち着くのよ。まずは状況確認しなきゃ)
そろそろとベットを降りて窓まで音をたてないように近づくと、金属の留め金を外した。
ゆっくり窓を開けて、外を覗く。
絶句。
──月が二つある……。
青白い満月が二つ。その下には月光に照らされた小さな町──明らかに日本ではないし現代でもない──があった。そして、町よりもちょっと遠くにある巨大な建物。
(な、なにあれ……お城?)
子供の頃に行った旅行先で似たような建物を見たことがある。
月が二つもあるおかげで、月明かりだけで思ったよりもよく見えた。――全く嬉しく無いけれど。
一旦窓を閉めることにした。背中を尋常じゃない量の冷や汗が流れ落ちているのが分かる。
深呼吸をしてから勇気を出してもう一度窓を開ける。
(私はタヌキに化かされてるだけ。私はタヌキに化かされてるだけ)
──希望の呪文に効果は無かった。窓を閉めずにベットに戻る。もう窓には用は無い。
(ま、まぁ誘拐じゃないことだけは確かね。いくら誘拐することに長けてる人でもこんな異世界になんて……)
冗談でしょ……。
「……異世界……」
自然と口から出ていた。頭の中で今まで読んだ沢山の小説がピックアップされていく。
月が二つの異世界……読んだことある。……中世ヨーロッパの様な町並み……これも読んだことある。ていうか大体そうよね。……お城……王道すぎる。でも私、事故にあったわけでもないしどうやって……。
──あっ!!!
そこで自分の部屋に居たときのことを思い出した。
天井から降ってきた桜の花びら、窓は開いてなかったのに吹いた風、突然の虹色の光。
それに今いる──月が二つもある──知らないこの世界。
頭の中で、仮定が確定に変わっていくためのパズルのピースが一つ一つ、着実に、はめられていく。
開けっぱなしの窓に視線を向けた。
「ここは……異世界なのね……」
不思議と悲しくはならなかった。
ただ、今まで生んで育ててくれた両親の顔を思い出すと、そんな自分にすごく罪悪感を感じた。
(お母さん、お父さん、みんな……ごめんなさい)
それでもこの解放感を否定しようとは思わなかった。
それよりも美鈴には考えなければいけないことがある。
これからどうやって生きていくのか。私はどうしてここにいるのか不思議と悲しくはならない。ただ、今まで生んで育ててくれた両親の顔を思い出すと、そんな自分にすごく罪悪感を感じた。
それでもこの解放感を否定しようとは思わなかった。
それよりも美鈴には考えなければいけないことがある。
これからどうやって生きていくのか。私はどうして此処にいるのか──
作者「あー疲れた。今午前三時だよ。こんな時間まで起きてるの久しぶり。中学生に戻った気分」
美鈴「へぇー中学生?」