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恋する変態  作者: うらら
3/7

異世界

話を足しました。編集前の「異世界」はこの話と次話で分けました。


 私は目を開けていられないくらい強烈な光に包まれて、身体はあっちへ行ったりこっちへ行ったりしていた。まぁ、ずっと目を瞑っていたから”あっち”と”こっち”の方向は分からないけれど。

 結構長い時間ふらふらとして正直飽き始めたとき、誰かに腕を掴まれた。でも、目を開けて確認することが出来ない。――この光、絶対目に悪いと思う。腕を振ってその誰かの腕を振り払おうとしたら、声が聞こえた。


『お願いです、子供のように暴れないで』


 ……失礼な。でも優しいその声に危険はないと感じて言われた通りに大人しくする。


『本当はこんなことしてはいけないのです。私も彼らも。でも私は罪には問われない。そう思ったら我慢出来ませんでした』


 何の話だろうか? まったく話についていけない。彼女は私の腕を掴んだまま何処かへ進んで行きながら、尚もよく分からない告白を続けた。


『貴女には謝っても謝りきれません。でも私も、この、貴女という幸運を逃す訳にはいきません』


『ちょっと待って。貴女の言ってること、よく分からない』


 私が口を挟むと彼女は言った。


『今はそれでいいんです。貴女はそのままでいてくれたらそれだけで』彼女が止まると私も止まった。彼女は続ける。『……お願いがあります。どうか、どうか諦めないでください』


 ダメだ、会話になって無い。相変わらず何の話かさっぱり分からないもん。ただ私は巻き込まれたらしいことだけは理解したけれど。思わず溜め息が出る。


『ごめんなさい。ちゃんと話してあげたいけれど時間が無いの。でもきっと貴女はこの世界を気に入ってくれるわ』


 ――この世界!?

 彼女の声に突飛な発言に今の自分な立場を実感する。これ絶対おかしな事に巻き込まれてるって。


『本当にちょっと待って! この世界ってどういう事!?』


『大丈夫、次に貴女が目が覚めたときに混乱しないよう、此処での記憶は今は、記憶の奥深くに眠らせておきます。嗚呼もうダメッ! さぁ、行ってください!!』


 そう言うと、彼女は力一杯私の背中を押した。




 ――夢を見た。

 凄く良い夢。何か温かいものが触れて、ゆさゆさと揺らされ目を開ければ、桜の木をバックに従えた孤独の騎士ルシフェル様がいた。

 最初は驚きでいっぱいだったけれど、その麗しい顔を見つめていればじわじわと嬉しさが込み上げてくる。しかも顔が近い。――嗚呼幸せ。


 ルシフェル様に出逢って早三年、毎晩欠かさず枕の下に小説を入れ、”夢に出て来て下さい”と願い続けた甲斐があったというものだ。


(綺麗な顔……)


 うっとり見つめているだけじゃ物足りなくて、手を伸ばして触れてみた。


(……幸せ……)


 幸せ過ぎて胸がキュンと締め付けられる。


「ルシフェル様だぁ……」


 もう分かっていたけれど、言わずにはいられなかった。言葉にすれば更に実感できるような気がしたから。

 ……なんて良い夢なんだろう。涙が出てくる。


 あっ慌ててる。泣いたせいだろうな。なんか可愛いー。でもいいな~桜の精はいつもこうやってルシフェル様に愛されてるんだもんね……って思いだしたぁぁぁあああああ!!!!

 ついついルシフェル様に夢中になって忘れるところだった。


 ”ルシフェル様に会ったらしたい事(いや、必ずするけどね)BEST3”……を!


 私としたことが。危ない危ない。目が覚める前に気づいてよかったー。

 ということで早速。


(やっぱりまずは私も――)


「私も桜の精に立候補させてくださいっ」


 これ重要!


(立候補のつぎは――)


 ルシフェル様の顔を掴む。力を入れ過ぎた気もするけど、まぁいいや。夢だし。

 顔を近づけた。ルシフェル様の息がかかる。ふふ。


(良い香り)


 口臭まで素晴らしいなんてさすがルシフェル様。そんなことを思いながら更に顔を近づけた。


 ――トン。

 首に何か強い衝撃が当たったと思ったら、急速に意識が遠のく。恋する乙女が好きな人の前で絶対に出したくないような変な声が出た。


(くっここまでか……っ! 無念!)


 私は意識を手放した――



 だんだんと覚醒していく意識の中で、私は今し方見ていた夢を思い出していた。


(……やっと、やっと会えた。ルシフェル様ったら中々会いに来てくれないんだもの……。――照れ屋さんなんだから……)


 寝返りをうつと、布団がはだけて夜の冷えた空気に背中があたった。


(うわ寒いっ)


 もぞもぞと腕を動かして布団を掴んで引っ張りあげようとした。でも違和感を感じて手を止める。

 生まれてこのかたサラサラフワフワな高級羽毛布団しか使ったことが無いのに、何故かこの布団はざらざらする。とにかく今まで出会ったことのないタイプの肌触りをしている布団で寝ていることに驚いて、起き上った。


 ――そこは見知らぬ部屋だった。


作者「編集疲れたー」

美鈴「作者が悪い」


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