プロローグ
初めて小説を書くので稚拙な文でお恥ずかしい限りですが、楽しんで頂ければ幸いです。
深夜、超高級住宅街の中でも群を抜く大邸宅の一室に――鈴の音のような声で――ぐふぐふと涎を垂らして笑う美少女がいた。
彼女の名前は別宮美鈴。都内の女子高に通う17歳で、誰もが称賛を送りたくなる才色兼備なお嬢様。
そんな美鈴にも人に言えない秘密があった。それは正真正銘の”隠れオタク”であること。
何故”隠れ”なのかというと、美鈴がオタクであることを周りが許さない環境だからである。
学校はお嬢様教育に忙しく、友達はたくさんいてもみんな美鈴に憧れを持ちすぎていて、親友になろうとは思わなかった。一度母にそれとなくほのめかしたときは、部屋の空気が冷えた気がしたので最後まで言うことができなかった。一人娘の美鈴には完璧なお嬢様でいてくれることを望んでいるからだ。
それでも美鈴はブランド物のワンピースよりメイド服が着たくて、ついでに猫耳をつけたくて、ピンクの髪に憧れて、恋するのはお坊っチャマより騎士や王子様(あるいは宰相様だったり魔術師)だった。
だから美鈴は日中は完璧なお嬢様を演じ、本来の自分でいられるオタクとしての時間を楽しむのはいつも深夜だけと決めていた。
そして今夜もココア片手に、パソコンの画面に熱中していたのだ。
”愛しのルシフェル様に会うために”
《ルシフェル・ウィースハーデン》(この人については美鈴さんが解説)
マイナー小説『桜の騎士』の主人公。癖っけの黒髪、紫の瞳、左目には眼帯、長身、鍛えられた身体。近寄りがたい雰囲気を持つ麗しき青年。
辛い過去を背負いながらも、日々、騎士として国のために鍛練に励む。
そして、私が夢中になっている彼の想い人なのよ! きゃ~~~~~~!!(終)
今、熱い視線が送られている画面には剣を持ち汗をかきながら訓練をしているルシフェル様が映っている。
「あーん、ルシフェル様ったらなんて格好良いの! 舐めたくなるじゃない!!」
美鈴が剣豪と称えられるルシフェル様ですら大切な剣を放って逃げ出したくなるような妄想に花を咲かせているとき、彼女の足元には金色の文字いくつもが浮かび上がっていた。
文字は数を増やしていき、円を描くと文字の色が濃くなる。
次の画像の移ろうとしたとき、美鈴の目の前に白っぽいものがひらひらと落ちてきた。
埃?とキャッチして見てみると、それは桜の花びらだった。
(えっなんで……)
――次の瞬間
風が吹き、美鈴は虹色の光に包まれた。
翌朝。
お手伝いさんが美鈴を起こしに来たとき、部屋は散乱し、床には焼け焦げた文字のような跡が出来ていた。
そしてもちろん、美鈴はいなかった。
美鈴「なっなんなの!? 何が起きたのよ!」
作者「まぁまぁ、美鈴ちゃん。落ち着いて、ね」
美鈴「明日は『桜の騎士』最終巻の発売日だっていうのにぃ~~~~~!!!」
作者「……」
読んで頂きありがとうございました。




