挨拶回り
今村信長が運転する車中で
田中勝GMは、後部座先で
グッタリと寄りかかり、座っています
疲れた表情で、田中勝は今村信長に話しかけます
「今村、どの選手が良いのか
分らないんだけど全然
一週間も見続けたのにさあ」
「田中、それが分れば
俺は、日本には居ないぜ
まだ原石なんだよ、これから磨くんだよ
選手自身がな、それを近くで見られる
俺たちは幸運なんだ」
「結局、分らないんだな今村も」
「分るかそんな事、俺は神じゃない
サッカー好きな大馬鹿野郎
を獲得しよう
三部からでも、一緒に這い上がって行こうとする
奴らを」
「分りやすく言うと、三部でも入団してくれる
選手だね、環境は悪いけど
頑張れる選手だね」
今村信長は、ため息をつきます
「今、現実を思い知らされている
ところだ、監督さんに顔だけでも
覚えてもらおうな」
「そうだね」
今村信長と田中勝GMは、余りにも時間が無く
山口一郎社長に、頼み込み
クラブ新設の手続きを、総務課に任せ
横浜の大学、高校のサッカー指導者へ
コネクションを作るべき
一週間動き回っていました
「クラブユースは、好意的だったよな
早く選手を、プロで活躍させたいし
選手も、ピッチに立ちたいからな
プロの選手として」
「そうだね、高校や大学は
大事な生徒を、実績の無い
クラブには、預けたく無いだろうね
苦労するのは、目に見えてるからね
三部でも、試合のレベル高いんだけどね」
「まあ、気長にやろう
監督リストに載っていた、山田大と契約結びに行くからな
今から」
「なんとしても、安く抑えるよ
年俸はね
選手寮とか練習場使用料で、金が無いんだからね
出費が予想外に増えて、資金もう無いよ」
「田中、ユニフォームとかは?」
田中勝GMは、頭を抱えます
(田中、山口一郎社長に頼めば
何とかしてくれるさ、ドームスタジアム
建設してくれる位だから)
ネイチャーエネルギー
本社ビル
山田大が、契約書類に目を通しています
その姿を、心配そうに見つめる
田中勝GM
(年俸抑え過ぎたかな、断られると今村に悪いし
山田さんにも、失礼だったかな)
山田大は、契約書にサインし印鑑を押します
「一つ希望が、有るんですがよろしいですか?」
今村信長は、田中勝を見ます
田中勝は頷きます
「どうぞ、山田さん一つでも二つでも」
(今村、増やしてどうするんだよ)
「選手寮に、私も住まわせてください
実は、今ホテル暮らしでして
寮に住めば、選手達をよく知ることが出来ますし
お金も節約できますので」
(良かった、もっと凄い事言われると
思ったよ)
「分りました、山田監督
早速指示しときます」
今村信長は、二人の手を取り
「これで、契約成立だ
まあ、がんばろう今はまだ三人だが」
三人は、しっかりと手をとりあいます
よろしくお願いします